一昨日、「過労死について考えること」という記事を書きましたが、そこで、仕事がストレスになるとき、「仕事」に問題があるとは限らないという話をしました。
確かに毎日5時間しか眠れず、ふらふらしながら働いているとか、毎日どうやっても昼ご飯を食べる時間をとれないとか、物理的にストレスがかかりすぎる職場というのもあると思います。
そういう場合は、早々に転職を考える必要があるのかもしれません。
でもそうではなく、他の人は「しんどいよな」と言いながらも、それなりに軽口も叩いたりして、たまには笑い声も響くような環境で働いているのに、自分だけ胃が痛くなるような毎日なのだとしたら、仕事自体よりも、自分自身の「考え方」や「捉え方」が問題である可能性もあります。
それはどういうことなのか? 考え方を変えるにはどうしたらいいのか、具体的な手法を今日はご紹介します。
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ストレスを感じる考え方と感じない考え方ができる
とてもよく言われる話なので、みなさんご存知だと思いますが、
「半分水の入ったコップを見て、“まだ半分もある”と思うか、“もう半分しかない”と思うか、どっちの考えかたをしても正解ですが……」
という話がありますよね。同じ「出来事」に接しても、それを肯定的に解釈する人もいれば、否定的に解釈する人もいるというたとえ話です。
それと同じように、日々、同じ出来事にあっても、人によって、「悲しい」と思う人、「悔しい」と思う人、「腹が立つ」と思う人、「面白い」と思う人、何も感じない人……など、実は様々なのです。
つまり、環境や出来事ではなく、考え方の癖のせいで、ストレスがたまるということも、往々にしてあります。
たとえば、口うるさい上司がいたとして……
たとえば、上司が細かい人で、毎日午後になると「●●の案件、今、どうなっている?」と訊いてくるとします。
あなたにとってはそれが、ストレスで、毎日、「今日もあの案件が終わったかどうか訊かれるんだろうな」と、昼休みになると胃が痛くなるとします。昼休みに休まず、その仕事を片付けておかなくては、と思い、ランチもまともにできないかもしれません。
結構、つらい状況ですよね。
でも、同じ上司の下で働いている人のなかには、あなたのようにストレスを感じない人もいます。
たとえば他の同僚に「上司が毎日進捗を聞いてくるのが、嫌じゃない?」と訊くと、
Aさんは「え? そうかな? ま、いちいち答えるのは面倒だとは思うけど、あっちも進捗を確認するのが仕事なんだから、しょうがないよね」と言うかもしれません。
Bさんは「私は訊いてもらった方が、安心するな。毎日確認しないでおいて、急に締め切りを過ぎてから“あれ、終わってるよね。出して”なんて言われたら、逆に焦ると思う」と言うかもしれません。
つまり、ストレスはあなたの考え方が作り出したものかも
人は、自分の思考回路が「当然」だと思いがちです。
だから、腹が立ったとき、「あの人がああいう人だから、腹が立つのは当然だ」と思ったり、落ち込んだとき、「こんな出来事があったら、落ち込んで当然」と思ったりします。
でも、実はその考え方は正しくないのです。
感情はあくまで、「あなた」が作り出したものだからです。
そう認めづらいこともありますが、そう認め、思考の癖を修正しようとすることで、ストレスは減らすことができます。
こういう、「事実」と「認知」と「感情」を分けて考え、認知をコントロールする手法を、心理学では「認知行動療法」と言います。
うつ病の人の治療にも効果的だと言われている手法です。
ストレスを減らすためのワーク
では、「認知行動療法」の考え方を使って、ストレスを減らすワークをしてみましょう。
何か自分にとって良くないと思える出来事があり、それによって、悲しいとか、辛いとか、腹が立つとか、マイナスの感情が浮かび、その状況を変えたいと思っていたとしたら、その出来事を下記のような要素に分けて、分析してみてください。
(1)出来事・状況
(2)そのとき浮かんだ考え(その出来事・状況に対し、自分がどう考えたか)
(3)それによる気分
先ほどの上司の例ですと、
(1)上司が毎日午後、私の抱えている案件の進捗状況を確認する
(2)私がその仕事を忘れているのではないかと思われているのかもしれない。
それか、まだ終わったと報告がないのは仕事が遅いと思われているのかもしれない。
(3)プレッシャーを感じて、息苦しい
信頼されていないようで、憂鬱になる
と、分解することができます。
(1)の起こった出来事や、状況は変えられません。
(3)の感情もなかなか変えることは難しいと言われています。
しかし、(2)を変えることで、(3)は自動的に変わっていきます。
そこで、次に(4)(5)というプロセスも追加してみます。
(4) (2)で浮かんだ考えに対する反証を挙げる
(5) (1)の出来事や状況に対する、他の考え方がないか、考えてみる
上の例でいうと、
(4) 上司は私だけではなく、他の部下に対しても同じようにしている。
本当に急ぎの仕事の場合や、いつもよりスケジュールが押してしまっているときは、「●●の案件、今、どうなっている?」ではなく、「●●の案件、今日中に頼むぞ」など、具体的に締め切りを設定する言葉を言う。
(5) 上司が毎日進捗を確認するのは、特に私のことを信頼していないとか、早く仕事を仕上げろと催促しているわけではなく、コミュニケーションの一環の、挨拶程度のものなのかもしれない。
などとなるかもしれません。
上手く(5)の「別の考え方」が導き出せれば、その結果として、(3)で挙げた思考は変わっているはずです。
進捗確認がただの「挨拶程度のもの」なら、昼休みをつぶしてまで、その言葉をプレッシャーに感じる必要など、どこにもないわけです。
まとめ:ストレスを減らすための考え方を実践しよう
上記のような例を見ると、「この人の元々の考え方が偏っているよ」と笑えるかもしれませんが、自分のことになると、案外人は盲目になり、咄嗟に浮かんだ一つの考え方と、そこから生まれる一つの感情の虜になってしまいがちです。
もし自分が周りの人よりストレスを感じやすいようだと思ったときには、ストレスを感じているとき、自分がその出来事をどう捉えているのか、「思考の道筋」を冷静に見返してみてください。
その際、上の(1)~(5)を実際に書き出してみてもいいと思います。
「よく考えたら、あの人はそういう意味で言ったのではなかったのかもしれない」とか、「あの出来事にも、こういういい側面もあるかもしれない」など、初めとは違う可能性に気づけたら、成功です!
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