先日の「自分が進むべき方向は、自分の心が一番知っている」という記事には、多くの反響を頂き、びっくりするほどでした。みんな(特に会社員よりも自由を多く手に入れている自営の人)、自分の心の声と、周りからの期待の間で揺らいでいるんだな、ということを、改めて感じました。
つまり、それくらい、「心の声」を信頼して生きるって、簡単そうで難しいことなんですね。
いや、本当は、簡単なことなのだけれど、思考が物事を複雑にしてしまっているのでしょう。
以前ベストセラーになった小池龍之介さん(お坊さん)の「考えない練習」という本にも、こんなことが書かれていました。
(本当に思考しなくてはいけない場面以外で)脳が余計なことを考え続けるから、「今」「ここ」から意識がそれ続けてしまう。
「今」「ここ」から意識がそれ続ける状態が続くと、生きている実感が希薄になります。そして、「感覚」も鈍っていくのです。
つまり、普段から色々なことを考えすぎてしまう人は、感覚を置き去りにしていることが多いから、いざというときに、自分の感覚を信じて、それを元に決断をくだせなくなる、ということができると思います。
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魅力的な人は、頭がいい人ではなく、感覚のまま動ける人じゃないだろうか?
とても頭が良くて、先の先まで読んで、次の手を考えられたり、ものすごく論理的なプレゼンができる人は、恰好いいと思います。
(私は色々考えた挙句、結構空回るタイプなんで(^^;) 先の先を読むゲームとか苦手だし。オセロも弱いから、将棋とか囲碁とか無理そう……)
でも、自分が魅力的だと思う人は、「頭がいい」人より、自分の感覚を信じ、周りのことなど気にせず、突っ走っているような人の気がします。
このブログの「素敵な仕事人」の定義は、
- 「自分らしいことをやっている」
- 「自分の仕事に誇りを持ち、好きだと言える」
- 「無理しすぎている悲壮感を感じさせない」
というものですが、これって、突き詰めると、
「感覚的に『これがやりたい』と思うことから目をそらさず、素直に、その方向に突き進んでいる人」
とも言えます。
以前インタビューさせていただいた下田直人さんは、私が社労士になったときからあこがれの存在だった先輩社労士です。
でも、就業規則コンサルタントとして社労士業界で有名になり、本も何冊も出すほど活躍し、事務所も大きくしながら、数年前、沖縄に移住し、沖縄にリトリートスペースを作る活動を始められました。
社労士を辞めたわけではなく、東京に事務所も残っていますが、顧問先は知り合いの社労士にすべて託したそうですし、社労士を半分リタイアして、新たな事業を始めたという感じです。
最近の活動を見ていると、沖縄にカフェを開かれ、下田先生自身もコーヒーの淹れ方を研究されていて、そんな動画や写真がfacebookにもよくアップされています。どう見ても、社労士っぽくはありません。
でも、下田先生はインタビューでも、「大事なことほど直感で決めてきた」と話され、自分の進む方向が、過去してきたことの延長線上にはないような道であっても、迷いはないようでした。
これは、一度成功した人は、成功した方法を知っているから、他の分野でも成功しやすいということなのかもしれませんが、この自信は、「ビジネスセンスに対する自信」ではなく、「自分の感覚に対する信用」のように感じました。
まずは、小さなところから感覚を大事にしてみよう
ただ、普段、頭で考えることを基本にして生きている人間が、重要な決断を感覚でするのは難しいものです。
でも、「頭で考えることがいつも正しいわけじゃない。むしろ、ふと思いついたことや、理由はよくわからないけれど、なんかしたいと思うことに重要なことがあるのかもしれない」と、まずは認め、その考え方を頭の片隅に常に置いておくことは、人生を変化させるのに役立つように感じます。
これは一つの提案ですが、こんな順番に意識を持っていくと、少しずつ「思考だけ」から「感覚も大事に」の人生に移っていかれる気がします。
- 「やらないといけないかなぁ」と思うことをやめてみる「やらないといけない」と思うことをやめるのには勇気もエネルギーもいるので、まずは「やらないといけないかなぁ」をやめる。「かなぁ」と思っている時点で、多分、やめても大丈夫(笑)
- 以前よりちょっと時間的にも精神的にも余裕ができる。そうすると、「あれをしたいな」と思えることも出てくる。そうしたら、可能な範囲で、それをしてみる。
- 「1」「2」を続けていくと、「やらないといけないかなぁ」と思っていたことは、やらなくても案外大丈夫ということに気づく。「したいなぁ」と思ったことは、やってみると8割がたうまくいく。
- そうすると心が満たされてくる。それが次第に自分の感覚に対する自信になっていく。
- 次第に大きなことについても、あまり考えすぎずに選択できるようになる。そうすると、自分の心の中だけでなく、もっと大きな流れにつながれるような感覚が持ててくる。
オールを手放せ?!
前回の記事は、TOKIOの宙船の歌詞で締めたのですが、今、思うのは、
「他人に任せていたオールを取り返し、自分で漕ぐようにする」
のは、第1段階。
実はその先にあるのは、
「無理に自分の力でオールを漕いで流れに逆らわなくても、流れに身を任せれば、もっと素敵なところに辿り着けるはず、と流れと船を信頼すること」
だな、ということ。
努力家で、優等生気質の人間ほど、頑張ってオールを漕いじゃうのだけれど、がむしゃらに漕いでいるときって、案外、辿り着いても嬉しくない場所を目指しているかもしれない。
もっと力を抜いて、周りの景色を楽しんでもいいかもしれないね。
「今、ここ」を生きることが、今も未来もしあわせに生きる近道だから。
なんて、半月ほど自分をいつもより甘やかし、ちょっと余裕が出てきた私は思ったりします(笑)