つらいときに自分を支えてくれた名言2つ

先日、「素敵な仕事人の名言集(1)」と「素敵な仕事人の名言集(2)」を書いたのですが、今度は、素敵な仕事人以外の「名言」を2つ。

というのも、先日、素敵な仕事人の一人でもあるやちよ補聴器の宮崎さんから「若いころに聞いたかもしれないことだけれど、今になって、本当にそうだと分かることもある」というメールを頂き、「以前から心に引っかかってはいたけれど、今になって、自身のこととして腑に落ちた言葉もあるなぁ」など、色々考えたのです。

今日は、若いころから「好きな言葉」としてきた2つの言葉を紹介したいと思います。


命の力によって、偶然を必然と観ずることができる

高校時代に出会って、その後「好きな言葉を書いてください」と言われると選んでいたのが、この言葉です。

命の力によって、偶然を必然と観ずることができる。

新装版 命の器 (講談社文庫)私は宮本輝の「命の器」というエッセー集で読んだのですが、元は、小林秀雄の本にある「命の力には、外的偶然を、やがて内的必然と観ずる能力が備わっているものだ」という文章だそうです。

「起こる出来事にはすべて意味がある」ということと、でも、「そうしっかり理解するためには『命の力』が必要だ」という2つの意味が込められていて、深く、心に残る言葉でした。
神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)この「起こる出来事にはすべて意味がある」ということには、私は昔から関心を抱いていたようで、大学時代にはジョゼフ・キャンベル「神話の力」という本を読み、下記の文章も手帳に書きとめていました。

ある程度歳をとり人生を振り返ってみると、そこにはひとつの秩序があるように見える。
まるで誰かの手で構成されたかのようだ。
ただ偶然に起きたように見えた出来事も、実は次の展開のために重要な要素だったことがあとになって分かる。
この筋書きは一体誰が作ったのだろうか。

以前、人生は「計画された偶然」の積み重ねという記事でも書いたのですが、キャリアカウンセラーの理論にも、「プランド・ハップンスタンス(直訳すると「計画された偶然」)」という考え方があります。

スタンフォード大学のクランボルツ教授が、数100人の成功したビジネスパーソンのキャリアを分析したところ、そのうちの8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたということをきっかけに構築された理論です。

予期せぬ偶然の出来事を、まるでもともと計画されていたかのような必然のこととして上手く人生に取り入れられた人が、良いキャリアを形成できるということで、「命の力」通ずる思想を感じます。

先日の起業塾でも「自身の辛かった経験にこそ、自分の“使命”につながるヒントがあるかも」というお話をして、それが心に残ったと言ってくださった人も多かったのですが、一見マイナスに思える出来事を、どう「明日からのプラスの行動」につなげられるか、それがやっぱり大切で、それこそが「命の力」なのだろうな、と思います。

 

あしあとが一つだったとき……

もう一つ、これは大学時代だったか、卒業後だったか忘れましたが、まだ若いころに出会って、読むたびに泣けたのが、こんな詩でした。

「あしあと」マーガレット・F・パワーズ

ある夜、私は夢を見た。私は、主とともに、なぎさを歩いていた。

暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出された。

どの光景にも、砂の上に2人のあしあとが残されていた。
1つは私のあしあと、もう1つは主のあしあとであった。

これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
私は砂の上のあしあとに目を留めた。

そこには1つのあしあとしかなかった。
私の人生でいちばんつらく、悲しいときだった。

このことがいつも私の心を乱していたので、私はその悩みについて主にお尋ねした。

「主よ。私があなたに従うと決心したとき、あなたは、すべての道において私とともに歩み、私と語り合ってくださると約束されました。
それなのに、私の人生の一番辛いとき、一人のあしあとしかなかったのです。
一番あなたを必要としたときに、あなたがなぜ私を捨てられたのか、私にはわかりません」

主はささやかれた。

「私の大切な子よ。私はあなたを愛している。
あなたを決して捨てたりはしない。ましてや、苦しみや試みのときに。
あしあとが一つだったとき、私はあなたを背負って歩いていた。」

キリスト教色のある詩ですが、クリスチャンでなくても、何か伝わってくるものがありますよね?

つらいときがあったとき、「本当に乗り越えられない試練は与えられないはず」と思い、「どんな経験にもすべて意味がある」と考えられるなら、半分は乗り越えられたようなものです。

そういう意味で、目の前の出来事の捉え方を変えてくれる「言葉」の力は大きいなと思います。

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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