人との衝突を解消するヒント 「私とあなた」を「私たち」に変える

NHKの「助けて! きわめびと」という番組が好きで、毎週録画して、気になるテーマの回を見ているのですが、先日、かなり遅ればせながら9月10日に放送された「合気道に学ぶ争わない”チカラ“」という回を見ました。

きわめびとは、世界24カ国3万人の弟子を持つ、心身統一合気道会会長の藤平信一さんという方。

聞いたことある名前だなと思って調べたら、この方のお父様の藤平光一さんの本(「氣の呼吸法」)を私も持っていました(結構「気」って、気になるんですよね。あ、だじゃれじゃなくて(笑))。その方の後継者の方のようです。

テレビで見る限り、藤平信一さんは、非常におっとりとした感じの方なのですが、その分、揺らがない感じがして、逆に“本物感”を感じました。

最近思うのは、本当に強い人というのは、決して強そうには見えない人なんじゃないかなということ。色々なことを「柳に風」と受け流せるしなやかさが、本当の強さのように感じています。

そんな藤平信一さんの教えには、人との衝突を解消するヒントがありました。今日は、それをお伝えします。


相手とひとつになって、一緒に動くという意識を持つ

nimg_5574で、「合気道に学ぶ争わない”チカラ”」では、喧嘩が絶えない女子3人組のお笑いコンビの人間関係を良くするというのがテーマでした。

30分の番組ながら、この回は特に面白かったのですが、なかでも「反論されるとすぐかっとなって言いかえしてしまう」というリーダー的存在の女性が、メンバーの一人と向き合って座って「相手を転がす」稽古をしていた場面が印象的でした。

藤平さんいわく、

相手を転がそうという意識だと、相手は動かない。
相手とひとつの塊になって、一緒に動くという意識でいると、相手も動く。

と。でも、そのリーダー的な女性だけがこの稽古を上手くこなせませんでした。

ただ、それが悔しくて泣いてしまうと、相手をしていたメンバーも一緒に泣き、「頑張ろう。できるよ」と励ましてくれます。そのあと、ようやくうまく行きます。

それはなぜかというと、それまでその女性は相手のことを、漠然と「敵」と思っていたんですね。つまり、その女性は他のメンバーと心の中で常に衝突していた。

お笑いが上手くいかないのは、自分のネタを他の2人が面白くやってくれないからだ、とか、自分がせっかく考えたネタを2人が否定するとか考えながら。

そしてきっと、合気道の稽古の時には、「きっとうまくできない自分のことをあとの2人は、いい気味だと笑っている」などと思っていたのでしょう。

でも、相手が一緒に泣いて励ましてくれたことで、「あ、自分は応援されている。私とこの人は敵同士ではないんだ。一緒の目的を目指している仲間なんだ」という意識が生まれた。

だから、相手を物理的にも動かすことができたのです。

これって、さらりと言ってしまうと、「へぇ」で終わってしまうことだと思うのですが、でも、実はかなりすごいことじゃないかな、と思うんですよね。

できるだけ広い範囲で「私たち」と考えれば衝突しない

以前「「敵」を「味方」にする方法」という記事で、「Aさんの課題はBさん、Bさんの課題はAさん」という状態のときには対立が起こる。でも、相手を「今目の前にある課題を一緒に解決するパートナー」と見られるようになれば、「敵」だと思っていた人が「味方」になる、ということを書きました。

スターリィマン以前インタビューさせて頂いたアート・コンシェルジュの長谷川祐希さんは、両親と3人で活動されているので、たまには言い争いになることもあるそうですが、

「でも、3人の真ん中にいつもスターリーマンがいる。3人だけで向き合っていたら、喧嘩になるかもしれないけれど、3人ともがみんなスターリーマンを見て、どうやったらもっとスターリーマンの活動が良くなるかを考えているから、深刻な対立は起きない」

と言われていました。

つまり、一人一人が、自分のことを考えているとき、一人一人はバラバラで、だからこそ衝突が起こるのだけれど、「私」と「あなた」という考え方を、「私たち」という塊にしてしまえば、もう衝突する「相手」はいなくなるんですよね。

同じく以前インタビューさせて頂いた社労士の桑原先生は、

仏教や老荘思想などによると、私たちは宇宙の一部であり、つまり「私(自己)」という区切りは無意味。

ということも話されていました。

究極的には、「私」という概念もなくなり、世界全体が1つの塊になってしまうということです。そうなれば、小さな争いだけでなく、戦争などもなくなります。

なかなかそこまでは難しいのが現実ですが、でも、一人一人が可能な範囲で「私たち」と思える範囲を広げていく。それが、社会を、世界を生きやすくするための第一歩かもしれないな、と、最近思います。

「私が」「私は」という主語で考えていると、すぐに壁にぶち当たります。そして、世界は自分に厳しい場所に感じられてきます。

今、なんらかの生きづらさを感じている人ほど、意識して「私たち」という主語を使って物事を考えるようにするといいかもしれませんね。

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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