昨日の記事で、人の悪口に同調しているだけだと、自分まで巻き込まれるだけで、何の解決にもならないですよ、ということを書きました。
今日は、Aさんに
「Bさんって、いつも仕事を抱えてしまうし、単独行動が多くて、一緒に仕事、しづらいんだよね」
と言われたときの解決策について考えてみましょう。
これは、Aさんという部下に同僚であるBさんについて相談された「上司」の設定でも使える手法です。
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まずはAさんとの信頼関係を築く
最終的なゴールは、
「AさんにBさんの良さにも気づいてもらい、Bさんと一緒に気持ちよく仕事をしてもらうこと」
とします。
でも、はじめからAさんに
「でも、そうは言っても、Bさんにもいいところはあるよ。たとえば……」
などと話をしても、あまり効果は期待できないでしょう。
すぐ「でも」と考えを否定されたAさんは、あなたに心を開かなくなってしまうはずです。
ですので、まずは具体的にどんな出来事があったのか、どんな点に不満をもっているのか、Aさんに話をしてもらうことが大切です。
Aさんがいくつか具体例を挙げたあと、
「他にもあるの?」
「それ以外に気になることは?」
など、あなたの方から聞いていってあげるてもいいですね。
そうすると案外、Aさんも途中から「言いすぎたかな」という気分になって自分から、
「あ、でも、Bさんも●●してくれたこともあるし、いいところもあるかも」
と、Bさんを認めるような発言をしてくれるかもしれません。
(そうなったらラッキーですが、ならなくても大丈夫です)
次のステップ:冷静に問題を分析してもらう
そうやってAさんとの信頼関係が築けたら、
「Bさんの単独行動のなかで一番困るのはどんなこと?」と、聞いてみます。
“単独行動”といっても、色々な種類がありますから、分かりやすくテーマを絞るのです。
そこで
「お客さんからの電話があったとき、部の全体に関係のある話でも、一人で解決しようとして、抱えてしまうことかな」
とAさんが言ったら、それをテーマにします。
テーマが決まったら、次に、
「じゃあ、お客さんからの電話でのBさんの単独行動が全然なくなって、理想的な状態になったのを10、全然情報共有してくれていない状態を“0”とすると、今はいくつくらい?」
と訊いてみます。
以前の「落ち込みから抜け出し、1歩踏み出すための考え方」を読んでくださっている方は、「あれ、あの技法?」と思うかもしれませんが、そうです。これも「ソリューション・フォーカス」です。
この考え方は、自分自身のことにも使えますが、人の問題にも使えるのです。
「2くらいかな……」
と言ってもらえれば、こっちのものです。
「なんで0でなくて、2なの?」
と、すかさず尋ねます。そうすると、
「まぁ……このあいだ、大きなクレームの電話のことを教えてくれなかったのには腹が立ったけど、私宛の電話は当然回してくれるし、絶対電話を受けたことを教えてくれないというわけではないから」
と、Aさんの視線が、Bさんの「できているところ」に少しずつ向いていくのです。
Aさんも自分で「2」くらいはできていると言ってしまったので、どうにかその根拠を見つけないとと思うから、積極的にBさんのいいところを探すわけですね。
これは、こちらから
「でもBさんにもいいところはあるんじゃない?」とか
「でも、Bさんもちゃんとやってくれること、あるよね?」
などと言ってしまっていては出てこなかった台詞です。
ラストステップ:生産的な解決方法を聞き出す
「2」など、0でない数字と、とその理由を聞き出したら、
「じゃあ、“2”が“3”になるためには、どうしたらいいのかな?」
と訊いてみましょう。
「とりあえず自分が受けた電話について、時間と相手と簡単な用件を共有してもらえればいいかな。メモのフォーマットを渡しておいて、電話を受けたら、それに書いて、部の皆が見える場所に貼っておいてもらえたら、気になる人がBさんに詳しいことを訊けばいいわけだし」
と、Aさんが解決に向けて一歩踏み出したようでしたら、大成功です。
もしあなたがAさんのただの同僚ではなく、上司や先輩の立場だったら、
「私もBさんの電話には注意しておくね」とか、「私も気になったことがあったら、Bさんに注意してみるからね」と、一言付け加えれば、Aさんも心強く感じられていいですね。