在宅勤務(テレワーク)は増える?

リクルートホールディングスが、育児や介護などの理由がなくても、希望者には在宅勤務をさせる新しい制度を10月から開始すると発表し、話題になっています。

在宅勤務(テレワーク)の導入は、ITの進歩に伴い、ハードルが下がり始めています。ただ、在宅勤務の制度を持っている企業は大企業を中心に、増えてきているものの、まだ「育児・介護のため」という「特別な人のための制度」でした。

今回のリクルートの取り組みは、「(育児や介護など)特別な理由を必要としない」「日数制限がない」「全社員対象(一部のグループ会社の社員を含むおよそ2000人を想定とのこと)」ということで、先進的な取り組みです。

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在宅勤務(テレワーク)のメリット

今後、親の介護が必要になり、フルタイムで働ける人が減っていく、というのが、人事業界でよく言われている予測です。

テレワークの導入が進めば、親の介護との両立に、可能性が見えてきます。

また、働く社員側から見れば、満員電車での通勤がなくなるというのは、大きなメリットでしょう。

まとめれば……

【メリット:企業側】

  • 優秀な人材を親の介護などで辞めさせないですむ
  • 家庭などに事情を抱えている人で、優秀な人を、他の企業より有利に採用できる
  • 社員の時間外労働時間が減る=残業代が減る
    (リクルートで6月に約140人に試験導入したところ、4割以上に労働時間が減る効果が出たとのこと)

【メリット:社員側】

  • 通勤時間がなくなることで、精神的ストレスが減る
  • 仕事以外に使える時間が増える(介護だけではなく、子どもと過ごす時間、趣味の時間など含め)
  • 本来は必要のない会議に縛られる時間が減る

※ちなみに現在(2015.8)、テレワークを新たに導入する中小企業に対しては、必要経費の3/4(成果目標が未達成だった場合は1/2。共に1人当たり、1企業当たりの上限額あり)が厚生労働省から支給される助成金があります。

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html

 

在宅勤務(テレワーク)のデメリット

しかし、現状デメリットと考えられる、上手に対処しなくてはいけない課題もあります。

【デメリット=課題】

  • 社員同士のコミュニケーションはしっかりとれるか。

→ コミュニケーションのためのツール(クラウドのシステムなど)を導入し、さらにそれを在宅勤務する社員だけではなく、しない社員もしっかり使えるように教育する必要がある。その手間と費用がかかる。

  • 在宅勤務している人の仕事の状況をしっかり把握できるか。正しく評価できるか。

→ 上記のようなツールを使いこなすことに加え、在宅勤務をする社員の上司の資質も問われる。

  • 会社に掛かってきた電話をどうするか。機密情報の取り扱いは大丈夫か?

→ 会社用の携帯を持たせるのか、個人の携帯にIP電話のアプリなどを入れて、プライベートと別の会社用の電話番号を持たせ、そちらの電話料金だけ会社に請求するようにするか。電話のルール決めが必要。

また、個人情報やその他機密情報を取り扱う必要がある場合、会社のパソコンを貸出し、徹底した管理をし、社員にもルールを守らせる(必ずパスワードをかける、プライベートに使わないなど)ことが必要。

  • 在宅勤務をする人と、しない人と「不公平感」が出ないか。

→育児や介護をしている人だけとすると、不公平感が出る可能性もあり、そうなると、在宅勤務を本当に必要としている人が「他の人に迷惑をかける」「他の人から悪く思われる」という理由で、なかなか在宅勤務を選択できない状況になる。

仕事に支障が出ない範囲で、理由がなくとも希望者には在宅勤務を認めるような制度を検討するなど、無駄なやっかみや気遣いがなくなるようにする。

実際の経験者の声から考える成功の鍵

私が以前、企業研修をさせて頂いたIT系の企業は、小規模の会社であったにも関わらず、1名、在宅勤務をしている男性の方がいました。その方は事情があって、地方に住んでおり、研修や大きな会議などのとき以外、東京にも出てこないということでした。

その会社は、IT系の会社だけあり、勤務時間中は、会社にいようが家にいようが、常にオンラインでつながっていて、必要な連絡はリアルタイムで行っていましたが、在宅勤務している社員の方は、「きちんと働いていると分かってもらえているのか、さぼっていると思われていないか心配」「今日はみんなに会うのも久しぶりだから、緊張する」と言われていました。

ネット上でリアルタイムにつながっていて、声を掛け合っていても、やはり隣にいるかいないかでは、社員の「肌感覚」は違います。

在宅勤務を成功させられるかどうかの鍵は、在宅勤務をする人が、「この働き方はいい」と心から満足できるかどうか、なのかもしれません。

ただ、上の「メリット」の部分でも書いたように、今後、「フルタイムで働ける人」の数は減っていき、優秀で自由の利く人材の取り合いになっていくことが予想されます。

様々な事情を抱える人にも仕事を頼める、在宅勤務(テレワーク)の可能性は、どんどん広がっていくでしょうし、企業によって、在宅勤務での求人が出始めていると思います。

フルタイムで働けない方も、パートしかないなどとあきらめず、様々な働き方の可能性を探ってみてはいかがでしょうか?

 

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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