今日は素敵な起業家として、助産師・まるまる育児アドバイザーの平船泉さんをご紹介します。
平船さんは、1990年に助産師免許を取得してから、2万人近い赤ちゃんに会ってきたという大ベテランの助産師さんです。
6年間大きな病院に勤務したあと、結婚を機に退職し、その後はご自身の子育てをしながら、母子訪問や母親教室の講師など行政の仕事を中心に活動されていました。
でも、そんななかで、「それだけでは必要なことが伝えきれない」という想いが募り、3年前に正式に開業届を出し、横浜市を中心に「赤ちゃんの発達」をサポートするクラスを開催したり、「赤ちゃんの発達」の正しい知識を広める赤ちゃんケアの講座を開いたりされはじめました。
起業してからはまだ3年ですが、助産師としての経験は非常に豊富で、まっすぐな想いを持った素敵な方です。
私も、子供を産む前に、こんな素敵な助産師さんに出会っていたかったな、と思います。
今日の記事も、起業家の方、これから起業するつもりの方のヒントになると思いますが、それだけでなく、これから出産される方、これから知り合いやお子さんが出産される予定の方、お仕事で出産前後の女性と関わることの多い方などにも、是非、読んでいただきたいです。
Contents
1年に2400人ほど赤ちゃんが産まれる病院に勤務
子供の頃は看護師になりたいと思っていた平船さんですが、看護学校で学ぶうち、女性や子供を看る仕事に魅力を感じはじめ、3年で看護師としての過程を終えた後、助産師学専攻科に進み、助産師資格を取ります。
(私は全然知らなかったのですが、助産師さんというのは皆さん、「看護師になるための勉強+助産師になる勉強」をされているのだそうです!)
そして社会人としての第一歩は、お産の多い総合病院の産科病棟に勤務する助産師としてでした。
平船さんは、分娩室の担当などもされたそうですが、新生児室にいた時期が長く、毎年本当に多くの赤ちゃんに出会っていたとのこと。
すごいですね!
お子さんがいる方はご存知だと思いますが、新生児というのは、ほとんど、寝ているか、泣いているかで、「笑う」という表情がまだありませんし、産まれてしばらくは目も開いていません。
私は、わが子であっても、「何を考えているんだ? 何を求めているんだ?」という感じでしたが、そんな表現に乏しい新生児であっても、プロはちゃんと、何を訴えているのか、分かるそうです。
平船さんは今も母子訪問の仕事もされていますが、
おなかが空いているのか、眠いのか、赤ちゃんをよく観察すれば分かる。
とのこと。そして、
赤ちゃんを見れば、お母さんが普段ちゃんと赤ちゃんに話しかけているか、それとも赤ちゃんのお世話や家事でいっぱいいっぱいで、赤ちゃんに話しかける余裕がないのか、そういうことも分かる。
うわぁ、1時間くらいの母子訪問で、そんなことまで見られているんですね!!
でも、平船さんはさらりと言われていましたが、そんなことまで分かるのは、2万人近い赤ちゃんを見てきた平船さんだからかもしれません。
平船さんはとても謙虚な方で、「まだ起業してからは3年くらいだから……」としきりに言われていましたが、25年近い助産師としての経験があっての起業ですから、もっとそこをアピールしていいのに!と思ってしまいました。
だって、2万人ですよ! 2万人の赤ちゃんを見たことがある人って、日本に何人いるかと考えたら、すごい貴重な存在ですよね。
15年以上母子訪問をしてきて、赤ちゃんの変化に気づく
6年間病院に勤めたあと、結婚を機に退職し、2人のお子さんを産まれた平船さんは、子育てをしながら、無理のない範囲で、少しずつ助産師の仕事もしていきます。
ただこの「復帰」は、平船さんが強く望んだことというより、「助産師が足りないから、手伝って」という要望に応えてのものだったそうです。
それでも、最初のお子さんが10か月の頃から、少しずつ母子訪問や母親教室の講師などの仕事を始め、お子さんの成長とともに少しずつ件数も増やし、今では15年以上続けていることになります。
ただ、母子訪問で多くの赤ちゃんに会うなかで、「赤ちゃんも、ママも変わってきている」と気づいたそう。
それは、一言でいうと、あまり良くない方向への変化でした。
抱っこでないと寝ない赤ちゃん、泣いてばかりいる赤ちゃん、体が硬い赤ちゃんなどが増え、お母さんには腱鞘炎が増えてきたと感じた。
そして、そんな変化を平船さんは「これはまずい」と感じたものの、具体的にママにどうアドバイスしていっていいか分かりませんでした。
そんなころ、平船さんは、お母さんと赤ちゃんの整体をしている人と知り合い、お母さんの骨盤や赤ちゃんのケアの仕方を教えてくれる場所を知ることができました。
そして「トコちゃんベルト・アドバイザー」「まるまる育児アドバイザー」「骨盤・脊柱調整ベーシック(整体)」の資格を取得し、そこで得た知識を広めたいと独立開業します。
今の日本では、赤ちゃんの正しい発達についての知識が不足している
今回2時間くらいお話を伺って、平船さんの根底にある想いは、
赤ちゃんの発達についての正しい知識を広めたい
ということであることが良く分かりました。
赤ちゃんの発達について話をさせてくれるグループなどがあれば、積極的に話をさせてもらいに行きたい。
とも言われていました。
平船さんは、基本的に落ち着いたトーンで話す、控えめな方なのですが、その部分にはとても熱がこもっていて、あぁ、この人は本当に強い想いで自分の講座を始められたんだな、と感じました。
もしこれを読んでいる方のなかに、例えばマタニティヨガとか、ベビーマッサージとか、何か出産前後のママを集めてする仕事をされている方がいたら(特に横浜近くで)、是非、平船さんとつながってみてもらいたいです。
と、話が先走りすぎてしまいましたが、平船さんが言う「今の日本に足りていない赤ちゃんの発達の知識」というのは、たとえばこんなことだそうです。
大人の背骨はS字カーブだけれど、赤ちゃんの背骨はCの形。首が座る頃にSの上のカーブが出てきて、歩く頃に下のカーブが出てくる。
だから、産まれてすぐの赤ちゃんにとっては、Cの形に近いほうが落ち着く。でも、最近のベッドなどは固いから、Cのカーブが伸ばされてしまって、なかなかカーブを保った、丸まった姿勢になりづらい。
だから、『抱っこじゃないと寝ない』『床に置くとすぐに起きてしまう』ということが起こる。
それに以前は、抱っこするときや寝かすときには、おくるみで包むのが普通だったけれど、その習わしも今は大分すたれてしまってきている。おくるみで包まないと、眠っていても赤ちゃんはときどき、びくっとして手を上にあげて、それで起きてしまう。
まるまる育児で推奨しているおひなまき(左図参照)をしてあげれば、自然とCのカーブを保った赤ちゃんにとって心地よい状態になるし、両手も自然と口の前にそろって、どちらも均等に加えやすくなる。
左右均等に体を使えるようにするって大事。向き癖がついてしまった赤ちゃんは、片方の指しか吸わず、自分の体を片側しか認識できなかったりするから。
あと、授乳するときに、おひなまきを外したとしても、やっぱりできるだけ体を丸めてCの字に近い形にしてあげたほうが、赤ちゃんはお乳を吸いやすい。
そういう、赤ちゃんの本来の姿勢とか、発達について、知識があるのとないのとでは、赤ちゃんの成長も、ママの意識もずいぶん変わってくると思う。
確かに、そうですよね。
私も、本当、子供を産む前に知りたかったことばかりです!
また平船さんはこんなことも言われていました。
最近は育児グッズも増えてきているけれど、赤ちゃんにとって良くない育児グッズも増えている。
たとえば、ちゃんと腰が据わって自分で座れるようになるまえに、グッズを使って無理やり座らせてしまうことで、ずりばいやハイハイをする機会を減らしてしまう。
赤ちゃんの発達の順番にはちゃんと意味があるから、その順番通り、その時期にしかできないことをさせてあげて欲しいと思う。
あとは抱っこひもも良くない。抱っこひもで赤ちゃんが寝てしまうと、首が後ろに垂れてしまう。大人だってそんな首が後ろに折れた姿勢で寝て、起きたら、機嫌が悪くなるはず。赤ちゃんだってそう。そんなふうに寝て、起きて、気持ちがいいわけがない。
股の部分の布が広い抱っこひもは特に赤ちゃんの股関節に負担をかけてしまう。
だから短時間の使用ならまだいいけれど、抱っこでないと寝ないからと、抱っこひものなかで眠らせて、そのなかでずっと寝かせたままでいるというのは、赤ちゃんの発達を考えると、やめて欲しいと言いたい。
と、平船さんが出された抱っこひものメーカーが、まさに私が使っていたものだったので、「?!(^^;)」という感じでした……。
最近の育児グッズは、赤ちゃんの発達ではなく、ママの負担を減らすことを考えて作られたものも多いから、選ぶときは赤ちゃんが快適かどうかという視点でしてもらえたらと思う。
確かに、子供が小さい頃のママは大変だから、なんでも楽にしてくれそうなものにすがってしまうのだと思いますが、でも、短絡的に「楽」を求めるより、根本原因を取り除くちょっとした手間をかけたほうが(おひなまきをするとか、スリングを使うとか)、結果的に赤ちゃんは快適になり、よく眠り、あまり泣かなくなり、ママは楽になるのかもしれませんね。
(私は半分赤ちゃんみたいな3歳児を育てている真っ最中なので、ついママ側の立場にたっちゃいますけど……)
一人一人に寄り添うクラスを大切にしたい
ただ、そんなふうに書くと、平船さんがママに厳しい「赤ちゃんのために、あれはダメ、これはダメ」と言う人のように取られてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
平船さんに
今の仕事で一番うれしいと思うのはどんなときですか?
と聞いた答えは、
悩みを解決する方法を見つけて、ママの表情が明るくなったのを見たとき。
という答えでした。
赤ちゃんにはママの精神状態がとても伝わるというのは私も聞いていましたが、平船さんが母子訪問していても、それはとても感じるそう。
ということは、やっぱり、赤ちゃんの正しい発達のために、ママがご機嫌でいることも、重要なんですよね!
そんな平船さんは、今は、主に次の3つの講座をされています。
赤ちゃんに優しいまるまる育児と抱っこ教室
赤ちゃんが「抱っこでないと寝ない」「泣いてばかりいる」というお悩みを解決するため、おひなまきなどの基本を学ぶ1回講座です。
妊娠35週~生後4か月前後の赤ちゃんとママ が対象です。
募集中の日程があるときにはブログに書かれていますので、ブログをチェックされてください。
>> http://ameblo.jp/baby-marumaru
赤ちゃんの発達を見守るママのための赤ちゃんケア教室
毎月1回定期的に開催されている教室です。
今は、「左右とも寝返りができるようになるまで」と「左右とも寝返りができるようになってから、歩き始めるまで」の2クラスあり、3~5人程度の少人数制で開催されているそう。
発達に合わせたそのとき必要なお話や、手遊び、絵本の紹介などしながら、ママ一人ひとりのお悩みを聞き、赤ちゃん一人一人の状態を見て、アドバイスしていくクラスです。
>> http://ameblo.jp/baby-marumaru/entry-12263343869.html
スリングレッスン
講座を受けて、使い方を理解した人にしか販売されない「エジリング」の使い方を学べ、購入もできる講座です。
まるまる育児教室に参加した方が参加できます。
>> http://marumarubaby.com/lesson-sling/
そのほか、教室には通えないという人のために、自宅に訪問するプライベートレッスンもされています。
赤ちゃんの成長は早いから歩けるようになるまでは、毎月教室に来てもらいたい
赤ちゃんの成長は早いから、「問題があった。教室に来て解決した。また問題ができた。それで来た」という感じで、来るのが2,3か月空いてしまうと、状況が大きく変わってしまっていることがある。
だからやっぱり、毎月会って、その時々に必要なことを伝えていきたいと思っている。
本当は、1か月空くのも長くて、月に2回開催でもいいくらいだとも考えているのだけれど。
確かに、歩き出すまでの赤ちゃんは、「首座り、寝返り、すりばい、ハイハイ、お座り、つかまり立ち……などなど、毎月のようになにかしらできるようにいなりますし、離乳食など食事もどんどん変わりますし、大人の10年以上分の進化をしている感じですものね。
毎月開催の講座は、「一人一人の赤ちゃんに今、必要なことを伝えたい。一人一人のママの不安や悩みを納得できるまで聞いてあげたい」という気持ちから、少人数にこだわって開催しているそうです。
一応毎回プログラムはあるものの、寝てしまう赤ちゃんがいたり、授乳が必要な赤ちゃんがいたら、その時々、プログラムは変更して、臨機応変に進めているとか。
というぎりぎりの料金設定だそうで、「それは、もっと金額を上げないと!」と私も思わず言ってしまいましたが……、でも、平船さんは不器用なほどまっすぐ、自分の使命に突き動かされて、今の仕事をされているんだな、と思いました。
ただ、口コミや紹介で依頼は増えつつあるものの、お客さんは「産まれてから歩くまでの赤ちゃんとそのママ」という限られた範囲で、どんどん卒業していくものですから、集客を安定させるのに課題を抱えているそうです。
2万人の赤ちゃんを見てきたという経験を持ち、常に学ぶ姿勢があって知識も豊富な平船さん。
この知識を狭い場所に限定しておくのはもったない!と思いますので、もし平船さんの知識を必要とされている人がいたら、つなげて頂けると、私も嬉しいです!
★平船さんのサイト・ブログ★
より詳しく平船さんのことを知りたい方は、是非、サイトやブログを見てください!
お近くの妊婦さん、赤ちゃんのいるママは、是非、一度、平船さんの講座に行かれてみてくださいね。
まるまる育児・出張(サイト)
https://marumarubaby.com/
まるまる育児・出張(ブログ)
https://ameblo.jp/baby-marumaru/entrylist.html
年に2400件くらいお産がある病院だったから、新生児室にいた4年ほどで、1万人近い新生児のお世話をしたことになる。