独立して「好きなことだけで食べていく」は現実的なの? それって、本当にしあわせなの?

私は今は「フリーライター」という立場で仕事をしています。

「文章を書くのが好き」で、「書くこと」を仕事にしているわけですから、「好きなことを仕事にしている」部類の人間です。

それは本当にありがたいことです。

ただ、自分自身の生活について「好きなことだけで食べていけている」と言い切るのには、ちょっとした違和感があります。

今日はそんな、自分自身の考えと、周りの友人や、「素敵な仕事人」の生き方や言葉から感じたことなどを合わせ、「好きなことだけで食べていく」ことについて書いてみようと思います。

物事は複数の仕事の組み合わせだから、「好きなことだけ」取り出すのは難しい

「好きなことだけで食べていく」と思っている人でも、100%好きなことだけして、1%も嫌だと思うことはしないぞ、と極端なことを考えているわけではないと思います。

でも、実際に独立してみないと、1つの仕事がどれだけ多様なパーツの組み合わせなのかを実感するのは難しいかもしれません。

以前、インタビューさせていただいた夢の空想画家の栗原進さんは、季節ごとに絵の個展を開き、弾き語りのライブまで開いているのですが、そのことについて、こう話されていました。

栗原さん

好きなことには、嫌いなこともついてくる。

絵をかくのも、歌を歌うのも好きだから、好きで個展は開いているけれど、個展を開く限り、やっぱり集客しないといけない。集客するのはあまり好きではないのだけれど、そうは言っていられない。

独立してやっていける人というのは、そういう「好きなことにくっついてきてしまう嫌いなこと」も含めて、楽しめる人じゃないかな。

というように、1つの仕事なり、イベント開催なりを考えただけでも、そこにはいろいろな仕事の要素があるのです。

私は前職で、セミナーの企画・告知・運営をするような仕事をしていました。小さな会社でしたし、一つ一つのセミナーの立ち上げから、終了後のフォローまで全部通してみてはいました。でも、レジュメの印刷や、受講料の入金確認、当日の受付や運営などは、同僚に任せきりのことも多かったです。

遊部香

で、フリーになって、初めて自分で一から企画・集客してワークショップを開いたのですが、全部一人でやるのが大変なこと!!

自分がどれだけ周りの人に、当たり前のように助けられていたのか痛感しました。

 

会社を大きくして、苦手なこと・嫌いなことを人に振っていくということも考えられますが、人を雇ったら、今度は、マネジメントや労務管理など、また様々な仕事が発生します。雇わずに人と組むのでも、やっぱり交渉ごとなどが複数発生します。

多分、書いたものを読んでも、「それくらい、分かっているよ」と捉えられると思うのですが、社員からフリーになると、絶対「世の中って、こんなに様々な仕事から成り立っていたのか!」と痛感するはずです。

好きなことをするために独立したはずなのに、人を雇ったら、マネジメントに追われて、「社員時代より好きなことができなくなった」というのも、冗談ではなく、普通にある話です。

自分の望む仕事の範囲とか、仕事のスタイルは、初めにしっかり自分自身で理解しておいたほうがいいですよ。

……と、ここまでは、「好きなこと」と「その周辺にある好きではないこと」のお話でした。

ここまでは、あくまで「好きなこと」を核として仕事を作る話です。

でも、そうでない「好きなことを仕事にする方法」もあるのではないかと思うので、それについて書いてみたいと思います。

 

「好きなことだけ」で安定した収益を上げようと考えると、つらくなるかも

独立すると、「安定収入を得る」ということは大きな課題になります。

配偶者がしっかり稼いでいるから、自分はお小遣いだけ稼げれば……という人もいるかもしれませんが、今は、そういう人の話はおいておきます。

ちょっと前にフリーランス仲間と話をしていて、「フリーで働いていても、週に何回かはどこか会社に行って働いているという人も多いよね」ということが話題に上がりました。

その友人は週に2回、決まった企業に「出社」して働いているという話でしたし、最近会ったカウンセラーの方も、週に3回は学校でスクールカウンセラーをしていると言われていました。

私も、前に働いていた会社から今も「月いくらで、この仕事と、この仕事と、このあたりの仕事が発生したらやってね」というなんだか微妙にざっくりとした契約で仕事をもらい、週に1度は社内の会議に出席するべく神保町に行っています。

そんな「半分フリーランス」仲間と話していると、「早く一人前になって、自分の仕事だけで回せるようにならないと」という声も多く聞かれます。

私も、神保町の仕事は、営業して自分でとってきた仕事ではないので、「早く自立しないとなぁ」と思わなくはないです。それに、社員時代の仕事の一部をそのままもらっているので、「好きな仕事だけ」なわけでもないです。ときどき心の中で「あ“~!」って、なったりもします(笑)

でも、必要としてもらって、仕事を頼み続けてもらえるのはありがたい、しあわせなことだなと思うので、自分としては、そこの仕事を「卒業したい」というより、自分自身の活動ももっと充実させて、良い循環を生めたらいいんだけどな、というような気持ちでいます。

(優等生的な回答(笑))

金銭的なことを書くと、やっぱり、企業相手に仕事をしたほうが、安定して、良い金額がもらえることが多いです。

自己啓発系のセミナーなどだと、法人より、個人のほうが高額を払ってくれるという話も聞きましたが、「本当に必要な人に、必要なサービスを届けよう」と思うと、まとまった金額を安定して稼いでいくのは難しいです。

できている人もいるので、不可能ではないです。ただ、やり方をきちんと考えることと、手順を踏んでいくことが必要かなと思います。

個人相手で定期的な収入を得るためには、会員制ビジネスがメジャーですが、会員制ビジネスは、運営が非常に手間です。(前の会社では数千人規模の会員管理などもしていたので、大変さが分かる……)

それこそ「物事は複数の仕事の組み合わせだから、「好きなことだけ」取り出すのは難しい」の章で書いたように、好きなことではなく、会員制度運営の雑務に追われてしまう可能性も出てきます。このあたりのバランス、本当に難しい!

遊部香
これは私個人の考え方ですが、「ちょっと好きじゃないことも含まれる“得意なこと”」で安定収入を確保し、生活の基盤と精神的な余裕を生み出し、そこに上乗せする形で「好きなこと」を仕事にしていくという選択も悪くないんじゃないかな、と思います。

そのほうが、自分が本当に納得できる形で、余裕をもってサービスを提供でき、本当に「好きなことを仕事にしている」という手ごたえが得られると思うんですよね。

 

仕事のステージは変わっていく

それからもう一つ、伝えたいのは、「ずっと今と同じスタイルで仕事をしていくわけじゃない」ということです。

私はフリーになって4年半ですが、そのあいだに妊娠・出産・大変な子育て(^-^; があり、まだまだ自分は「駆け出し」の感じがしています。

でも、素敵な仕事人インタビューで、フリーランス歴が10年以上の方などと話をしていると、正しい方向に努力していけば、少しずつ頼まれる仕事の質も、働き方のスタイルも変わってくるんだな、ということが分かります。

フリーで働くために大切なのは「信用の貯金」と、ライフコーチの小松沙矢香さんは言われていましたが、本当にそうだと思います。

始めはコツコツ貯めていくしかないのです。でも、少しずつその信用が、自分に還元されてきます。

そうすると、仕事のステージが変わるのだと思うのです。

まだ自分自身が10年積み重ねてきたわけではないので、うまく言えないのですが、独立して1,2年の頃には、

せっかく独立したのに、なんだかしょぼい仕事ばかりで、収入のメインはアルバイトだし、これからどうなるんだろう……。

なんて感じる人もいると思うんですよね。でも、最初は金額的には「しょぼい仕事」かもしれませんが、それを積み重ねていき、自分自身がスキルアップしていけば、必ず、その仕事を五倍、十倍の金額で頼んでくれる人が、将来的には出てくるんです。

低価格競争に乗るのではなく、「いずれは十倍の金額をもらえるようになる」と信じて、スキルを磨き続ければ、ですけれど。

独立してすぐに「好きなことだけで食べていく」というのは、よほど運や器用さを持った人しか難しいと思います。

遊部香

でも、最初の何年か、あまり好きではないことも含めて「好きの周辺」でコツコツ努力を続けられた人は、そこに行き着けるはずです。

そう未来を夢見て、最初は足元を固めていっていいんじゃないかなと思います。

あと、アルバイトをしながら……というのを、「不本意な過渡期」と考えずに、「それも含めて、自分らしい働き方」と受け入れて生きている人も、素敵だなと思います。

イラストレーターでありながら、接客の仕事をしている茶谷さんの言葉も、私にはとても響きました。

「1つの仕事しかしちゃいけないって、誰が決めたの?」まったく、その通りです!

みんな疲れたままでは働けない。だから人を元気にする仕事がしたい:イラストレーター茶谷順子さん

2016.10.20

本業と「魂が磨かれること」「魂が喜ぶこと」を分ける方法もある

あとは、「好きなこと」をなにがなんでも仕事の核にしなくてもいいんじゃないかな、とも考えます。

インタビューさせていただいたなかにも、本業と「心からしたいこと(自分がするべきだと感じていること)」を分けて考えている方もいました。

たとえば、ハナダサトシさんは、収入をしっかり得る仕事としては、クリエイティブディレクターの仕事をされています。

でも、もっと世の中の人にコミュニケーションのしかたを伝えていきたいという熱い想いで、コミュニケーショントレーナーとしての活動もしているのです。

正直、こちらだけでは、とても食べていかれるような収入は得られないそうですが、「魂磨きになるかどうかで決める」と話されていたハナダさんらしい、お金とは別のところに価値を置いた選択なのだと思います。

魂磨きになるかどうかで選択する:クリエイティブディレクター&コミュニケーショントレーナー・ハナダサトシさん

2016.12.15

また、大阪でWEBデザイナーをされている田川恵子さんは、ここ数年、地域活性の仕事にも力を入れられています。

活動的で、人脈もある田川さんは、必要な人を必要な人に引き合わせ、プロジェクトを大きくし、盛り上げていらっしゃいますが、「本業のWEB制作が必要になったときには、仕事としてお金をもらうけれど、それ以外のところでお金をもらうつもりはない」と言われていました。

家族を一番にしながらできる起業もあると伝えたい:Access&web制作 田川恵子さん

2016.10.25

最近インタビューした、ハーブセラピストの山本聡子さんの例はまたちょっと違うのですが、山本さんのこんな言葉も、非常に心に残りました。

「いちかわメディカル&ファームで開くハーブのイベントは本当に楽しい。でも、本当に魂が喜ぶことは、別にあるのではないかと思い始めた」

そう言って、今はアレルギーらいふの活動にも力を入れられています。

楽しいことをしないと病気は治らない:ハーバルセラピスト 山本聡子さん

2017.05.21
遊部香

「楽しいこと」「好きなこと」ばかり追い求めているあいだは、実は、本当の使命や役割には近づけていないのかもしれません。

そういう意味では、「好きなことだけをやりたい」などと思うのは、人生の一つの過渡期でしかないのかもしれませんね。

 

まとめ:独立して「好きなことだけで食べていく」は現実的なの? しあわせなことなの?

話が広がりすぎてしまいましたが……。

まとめると、

  • 独立してすぐに「好きなことだけで食べていく」のは難しい場合が多い
  • でも、コツコツ、正しい方向に努力を積み重ねれば、不可能ではない
  • ただし、好きなことの周辺には、色々な仕事や作業があるので、それを自分でするか、人に任せていくかの選択には迫られるかもしれない
  • また、「安定収入を得る仕事+好きな仕事」という選択もある。そのほうが本当に好きなことを好きなように仕事にできるかもしれない。
  • 本当に仕事を極めていくと、「好き」「楽しい」ではなく「魂が喜ぶかどうか」という域の天職の話にたどり着く

なにか参考になることがありましたら幸いです。

執筆者:遊部 香(あそべ かおり)



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