大変な時期を超えれば、仕事は楽しくなる:歯科衛生士・山本典子さん

山本典子

今日は素敵な仕事人として、歯科衛生士の山本典子さんをご紹介します。

典子さんは銀座セントレ歯科という新橋駅近くの歯医者さんで働いている方です。このブログの「素敵な仕事人」には、独立してフリーで働いている方が多いので、珍しいパターンなのですが、典子さんの

「歯科衛生士という仕事をもっと世の中の人に知ってもらいたい」

という熱い想いで、今回のインタビューになりました。

貴重なお休みの日に時間を頂きました。ありがとうございます!

歯科衛生士の仕事は決して楽な仕事ではない

典子さんは、高校を卒業すると、地元静岡の歯科衛生士専門学校に通い、歯科衛生士の資格を獲り、地元の歯科に勤め始めました。途中で東京に移ったものの、歯科衛生士としては20年以上のベテランです。

つまり、高校時代には「歯科衛生士になる」と決め、その道をまっすぐに突き進んでいる素敵な仕事人です。

歯科衛生士というのは、歯医者さんで歯科医の補助をする仕事です。歯医者に行ったことがない人はほとんどいないと思うので、なんとなくイメージは分かると思いますが、歯石を取ってくれたり、ブラッシングの指導をしてくれたりする人ですね。

でも、医者になりたい、看護師になりたいという夢を持つ人は多そうですが、歯科衛生士になりたいと子どもの頃から思う人は少ないようにも感じます。

そこで典子さんには、まずこう聞いてみました。

遊部香

なぜ、歯科衛生士になろうと思ったのですか?

典子さん

高校時代、祖母の介護を手伝っていた。そのとき、下の世話などにも全然抵抗がなかったし、人の手助けをする看護の世界に進みたいと思い始めた。

ただ当時私は体が弱く、毎月のように風邪をひくような体質だったから、母に「看護師は大変そうだし、歯科衛生士のほうがいいんじゃない?」と言われ、歯科衛生士の道に進むことにした。

そう言ったあと、典子さんは、「でも、歯科衛生士が楽なんて、大間違いだったけど」と笑っていました。

歯科衛生士には、看護師のように患者さんを持ち上げたりする重労働はないものの、夜遅くまで開いている歯科に勤めると、一日10時間くらい、ほとんど立ちっぱなしで働くような仕事だそうです。

典子さんの働いている歯科も20:30まで開いているそうですし、確かに歯科は他の病院と違って、夜遅くまで開いているイメージですよね。

歯科衛生士の離職率はワースト2だったことも……

そんなふうに、長時間労働で、体力的にも結構しんどい上、給料が低いという現実もあり、離職率はかなり高い職種だそうです。

大企業のなかにある歯科室などの勤務歯科衛生士になれれば、かなり良い待遇で働けるものの、そういう人は一握りで、大抵は街の歯医者で働くことになります。

そうすると、2~5人くらいのスタッフしかいない狭い世界で働くことになり、歯科医と衝突したり、他の歯科衛生士と上手くいかずに辞めてしまう人も多いとか。

典子さん
私も、そうやって辞めていく人を何人も見てきた。確かに、狭い社会で働く大変さも、長時間労働で賃金が安いという大変さもある。

でも、働き続けると、その仕事ならではの楽しさというのも見えてくる。

そんな楽しさを知る前に辞めてしまうのはもったいないと思う。

なるほど……。

色々な職種を転々として、長く留まってこなかった自分には耳に痛い言葉(^_^;)

長く同じ仕事をし続けている人の言葉には、深い真実があるように感じます。

そして、歯科衛生士は、離職率が高い職業だからこそ、求人には事欠かないという逆の特徴もあります。

私は以前、ダイビングをしていたので、よく沖縄の離島に旅していたのですが、そのとき「沖縄に移住することに決めた」と言っている人に出会いました。

当時は就職も厳しい時期だったので、沖縄は失業率ナンバー1の県でもありましたし、「仕事はあるんですか?」と聞いたのですが、「歯科衛生士だから、大丈夫なんです」と言われました。

離職率が高い職業には、そういう強みはあるのかもしれませんね。

歯科衛生士の仕事の楽しさとは?

と、少し脱線してしまいましたが、「楽しさを知る前に辞めてしまうのはもったいない」と言われていた典子さんに、こう聞いてみました。

遊部香

歯科衛生士の仕事の楽しさとかやりがいって、どんなところにあるんですか?

典子さん

まず、やっぱり「ありがとう」と言われる仕事であるところかな。

普通の仕事は「ありがとうございました」って言うものだけれど、「ありがとう」と言ってもらえる。

口のなかがすっきりしました、とか、歯がきれいになって良かったです、とか。

以前、歯周病のひどいおばあさんが来たことがあった。口の中に問題があると感じてはいたけれど、歯医者が怖くて、なかなか来れなかったという人で、一度チェアに座ったものの、帰ろうとするくらいだった。

でもその方を説得して、治療していくと、ある日「孫から、おばあちゃん、きれいになったと言われた」と嬉しそうに話してくれた。

歯周病があると口が匂ったりするから、それまで、お孫さんも近づきづらかったのかもしれない。

お孫さんに“きれいになった”と言われたおばあさんは、気持ちも前向きになって、紫のウィッグをしてくるくらい活発になっていった。

そういうのを見ると、患者さんと直に接する仕事は楽しいな、と思う。

それに、歯科衛生士というのは、一人の人を一生看ていける仕事。小学生の頃から看ている子が成人して、振り袖姿で彼氏を連れてきたりする。

そういうふうに長く関わっていかれる仕事は、意外に少ないんじゃないかな。

確かにそうですね! 今後、スキル的なものはAIなどに取って代わられても、人と人との交流の部分は、人の大事な仕事として残っていくんでしょうね。

職場が狭い社会でも、自分の世界を広げることはできる

それから、歯科衛生士の仕事の離職率が高いのは、「狭い社会で働く大変さ」にもあると言われていた典子さんですが、典子さん自身は、自分の世界を自らの意志で広げているところがあり、そこが魅力だと感じました。

典子さんは、先にも書いたように、一つの歯科医院に勤務している立場ですが、フリーで活躍している歯科衛生士の方や、他の職場で働いている歯科衛生士の方と勉強会を開いたり、歯科衛生士の学会に入ったりして、活動の幅を広げているのです。

勉強会や交流会に参加するというのは、フリーで働いている人にとっては普通のことですが、勤務している人が自分の仕事の質を高めるために、休みの日にまで勉強したり、交流会に出たりすることは珍しいと思います。

でも、狭い世界で働くことに息がつまり、仕事を辞めたくなるのなら、自分で世界を広げればいいのですよね!

典子さんはこんな話もしてくださいました。

典子さん

前に、20代の女性が来たのだけれど、ちょっと攻撃的な子で、「私、半年前まで歯科衛生士だったのよね。でも、つまらないから、もう辞めたの」と言うの。

で、口の中を見ると、歯科衛生士だったとは思えない汚さだったから、「歯ブラシは何を使っているの?」「どうしてその歯ブラシを選んだの?」など、質問してみた。

そうしたらその子は「学校でそれがいいと言われたから」と言うだけだった。

だから私が「歯ブラシや、はみがきは目的に応じて使い分けないと」「あなたには、その歯ブラシじゃない方がいい」など話すと、「そんなこと、誰も教えてくれなかった」と。

つまり、その子は、良い先輩に巡り会えなかったのだな、と思った。

歯科衛生士の専門学校では、通り一遍のことは習うけれど、それだけでは仕事にならない。実際に働き始めて、先輩に教わりながら、一人前に育っていく。

学校で教わったことを、どんな患者さんにも画一的に伝えるだけだったら、仕事はつまらないと思う。一人一人にアレンジした指導をできるようになることで、相手からも信頼され、自分にも自信がついてくる。そうすることで、仕事は楽しくなってくるものだから。

その子にも色々指導していったら、「おもしろいですね」と言っていた。だから、「もし、歯科衛生士に戻りたいと思ったら、勉強できる場も、良い先輩も紹介できるから」と言っておいた。

典子さん、格好いい!

歯科衛生士の仕事の可能性

そんなふうに歯科衛生士の仕事の可能性を信じ、歯科衛生士の仕事の魅力を世に広めたいと典子さんが思っているのは、典子さん自身が、素敵な歯科衛生士の先輩に数多く会ってきているからのようです。

典子さんは、mixiの「ベテラン歯科衛生士への道」というコミュニティから発生した「深川塾」という勉強会のコアメンバーになって、活動されています。

深川塾というのは、深川さんというベテラン歯科衛生士が主宰している勉強会なのだそうですが、「歯科衛生士の少ない給料からセミナー代を払うのは大変だろうから」ということで、参加費無料なのだそう。

その深川塾のなかには、歯科医で働いている人も、もちろんいますが、歯科衛生士だからこそ分かるポイントを押さえた「歯科医開業コンサル」をしている人や、スタッフの育成にまで力をかけられない歯科医師の代わりに歯科衛生士を育成する仕事をしている人など、フリーで働く歯科衛生士も多いそう。

また、歯ブラシなどを作っているメーカーに勤めて、商品開発に携わる歯科衛生士もいるそうです。

典子さんは、「歯科衛生士の仕事の可能性や、楽しさを、今子供を育てている世代にも、もっと知ってもらって、子供の将来の可能性の一つに歯科衛生士も加えてもらえたら」と言われていましたが、そんな言葉も、典子さんが「狭い社会」に閉じこもっていなかったからこそ、出てきた言葉なのだと思います。

そして典子さんいわく、この深川塾主宰者の深川さんという方も、非常に素敵な方なのだというお話でした。

典子さん
私は、兄がトレーナーをしているから、トレーニングをしている知り合いはたくさんいた。

それで、深川さんにトレーニングと歯の関係について調べて、学会で発表してみたら? と勧めてもらった。そして、知り合いの大学教授も紹介してもらい、発表することができた。

そうしたら今度はそれを、深川塾でも発表してみて、と言われて、発表したところ、学会誌を出している人が来ていて、学会誌に連載が決まった。

私はそんなふうに縁をもらったけれど、深川塾には、色々な方法で深川さんからチャンスをもらった人がいる。

深川さんは自分に来た仕事でも、これはあの人の方が合いそうと思ったら、どんどん振ってくれる。

少し前には、「深川塾には色々な専門を持った人がいるから、深川塾で本を出せたらいいですね」と言った人がいた。そうしたら、深川さんが「じゃあ、企画書、書こうよ。〇月〇日までに書いてみてね」と、話を具体的にしてくれて、実際出版社の人にもつないでくれた。それで、深川塾のメンバー10人ほどが原稿を出し合って、9月に本が出ることも決まった。

深川さんという方も、すごいですね!

どんな業種・職種でも、その仕事を「天職」だと思っている人の割合は変わらないという話を聴いたことがありますが、本当に大事なのは、何の仕事をするかでも、どんな形態で働くかでもなく、どんな意識で、どう働くか、なんでしょうね。

最近、そんなことを考えます。

どんなところにも、素敵な仕事人はいるんですよね。まだまだ発掘しないと!!

仕事で大事にしていることは?

最後に、典子さんにはこんな質問をしてみました。

遊部香

仕事で大事にしていることは何ですか?

典子さん

朝一番の患者さんと、診療時間最後の患者さんと、どちらも同じパフォーマンスで看られるようにすること。

そのために、自分の健康を維持することが大事だなと思っている。

あとは、同じことをしていたら、同じ結果にしかならない、ということ。

患者さんとの対応でも、何か失敗したと思ったら、次は同じことをしないようにすること。違うことを考えてみることが大事だと思っている。

なるほど。

当たり前のように思えるけれど、はまってしまっているときって、こういうことに気づけなかったりするんですよね。

色々深いお話を聴かせて頂き、ありがとうございました!

お勤めしている「素敵な仕事人」も、これからもっと発掘していきたいです!

 

 


★山本典子さんが勤める歯科

銀座セントレ歯科
www.centre-dental.com/

口は一番初めの消化器官であり、最近は、口の中のばい菌が糖尿病や高血圧など生活習慣病と関係が深いという研究もされてきています。

高齢になってからも自分の歯で食事ができるということが、認知症のリスク予防にもなります。是非、歯は大切にしましょう!

ということで、歯が痛くならなくても、3か月ごとに歯科検診を受けることがお薦めだそうです!

お近くにお勤めの方、お住まいの方は是非、銀座セントレ歯科に行って、典子さんを探してみてくださいね♪

※インタビューの時、私と息子へと歯のケアグッズを頂いてしまいました。ありがとうございます! 息子の歯磨き……頑張らねば。

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)



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