小学生の頃の「将来の夢」が中小企業診断士だった:中小企業診断士 楊典子さん

今日は素敵な仕事人として、五葉コンサルティング株式会社代表・中小企業診断士であり、五葉レーベン株式会社の代表でもある楊典子さんをご紹介します。

楊さんは、さすが成功されている中小企業診断士!

惚れ惚れするほど、論理的に物事を考え、それを正確に相手に伝えられる、とても格好いい方でした。

でも、決して機械的な冷たさはなく、人としての温かみとか、ユーモアとか、柔らかい雰囲気もお持ちで、完璧!

楊さんのことは、雑貨の店もえぎの小林千津絵さん(ちこさん)から紹介いただいたのですが、ちこさんは千葉県よろず支援拠点経由で、楊さんのコンサルを受けているとのこと。

私もインタビューの後、早速、千葉県よろず支援拠点に電話をして、「フリーのライターなんですが、仕事の幅を広げたいんで、コンサルしてください。楊さんが希望です!」と言ってしまいました。

楊さんのコンサル、受けられるかな~。
(※結局、担当は違う方になりましたが、4月からよろず支援拠点にはお世話になる予定です。進展があったら、またお伝えします!)

小学生の頃の夢は「中小企業診断士」

楊さんは34歳で中小企業診断士の資格を獲り、コンサルタントとして独立されましたが、なんと、小学生の頃から文集に「将来の夢は中小企業診断士」と書いていたそう。

びっくり!

イチローが小学生の頃から文集にメジャーリーガーになると書いていたのもすごいですが、ある意味、それ以上にすごいですよね。

野球選手に憧れる小学生は容易に想像できますが、中小企業診断士に憧れる小学生はなかなかイメージできません。

ただそれには、こんな背景があったそうです。

両親は元々福島の相馬市で割烹を経営していた。ただ、7歳のときに両親が離婚して、母は女手一つで店を切り盛りしながら、私と3人の兄の4人を育ててくれた。

そのあいだに、割烹は居酒屋に業態を変えたのだけれど、母は忙しいし、店の経営にまで頭が回らない。店の冷蔵庫に何の食材があるかも把握せずに、スーパーに買い物に行っては、冷蔵庫をあふれさせるような感じだった。

当時、私は小学生だったけれど、これではいけないという思いだけはあって、買い出しについていくと、母がカゴに入れたものを後ろでこっそり棚に戻すようなことをしていた。

な……なるほど。

当時は店にメニューもなく、母がその日作りたいものを作って出し、同じものでも人によって値段が違うような、本当にどんぶり勘定の店だった。

お金はどんぶり、お店はほこりが積もる。このままでは潰れると、メニュー表を作ったり、店の掃除をしはじめた。

そんなことをしていると、居酒屋の常連だったお客さんが、“こういうことをする職業があるんだよ”と言って、中小企業診断士という名前を教えてくれた。

どんなことをする人なのか、それから特に調べたわけではなかったけれど、そのとき、中小企業診断士という言葉だけが頭に残った。

理由を聞くと、ちょっと理解できます。それでも、「普通と違って、すごい子だな」とはやはり思いますが。

つまり、楊さんのコンサルタントとしての原点は、経営にまで頭が回らない中小企業の経営者などを助けたいという想いなのでしょう。

経営のことを知らないと、知っていたら避けられる落とし穴にはまることもあるし、回り道が多くなる。

だから、あのとき知っていれば、もっとこうしていたら、ということがないようにお手伝いしたいと思っている。

身近な人を助けたいという想いが元になって動いている人は、軸がしっかりとしていて、素敵だなと思います。

会社の土台・基盤を作る仕事がしたい

高校時代にコメの貿易自由化が活発に議論されるようになり、今後、日本の食料事情はどうなってしまうのだろうと問題意識を持ち始めた楊さんは、大学では「食料経済学」を学ぼうと決めます。

そして、「食料経済学」が学べる立教大学に入ります。

しかし大学3年生になり、就職活動を始めた頃は、もう就職氷河期。

食料経済学を極めていっても選択肢は少ないと思ったとき、改めて自分を振り返ります。

そして自分は表に立って脚光を浴びたいのではなく、裏方として土台を固め、そこで輝く人を見たいのだということに気づいたそうです。

そこで、会社の土台を作る仕事に興味を持ち始め、当時出始めだった「ERP」=「基幹系情報システム」に行きつき、日本でそのトップシェアを誇っていたSAPジャパンに入社します。

入社後配属されたのは、在庫購買管理で、「失敗したら3億円が飛ぶ」というようなプレッシャーを抱えるような仕事だったとか。

このときに、“お金って命を削ってもらうものなんだ”と知った。

と楊さんは言われていましたが、そんな大変な思いはしたものの、一つ一つしっかりと自分の頭で考え、着実に一歩一歩、目指す方向に進まれているところは、本当に、すごいなぁ、と思います。

私ももうちょっとしっかり考えてから行動を決めていたら、こんな紆余曲折ありまくりの人生になっていなかったような気がします……なんか、色々反省。

(ここまで書いてきて、気づいてしまった! 自分は行動力がないからダメだとずっと思っていたけれど、むしろ、ちゃんと考える前に“なんとなくこっちが良さそう”という野生の勘だけで動いていることの方に、逆に問題があるのかも! うわぁ、すごい発見!(笑))

Big5に入る外資系コンサル会社で気づいたこと

SAPジャパンで3年ほど「命を削る」ような仕事をしたあと、楊さんはBig5に入る外資系コンサル会社に入ります。

そこでも楊さんはめきめきと頭角を表し、20代でマネージャーにまでなります。しかし、楊さんはひとつの壁に突き当たります。

コンサルというのは、経営陣とロジカルに話し合って“こうしていきましょう”という解決策を非常に合理的に決めていくこと。

ただ、非常に合理的で、“こうした方が絶対にいい”と誰もが思いそうなことでも、決定事項を現場におろす時点で、多くの場合、抵抗にあう。

私はそれがどうしてだか分からなかった。

それで、はたと気づいた。自分は就職してからこれまで、プロジェクトの中で動き、組織から与えられた目標は“お客さんの問題を解決すること”だけだった。つまり、組織から“こうしなさい”という方針を押しつけられるという経験をしていなかった。

だから、現場の人の気持ちが分からないんだ、と気づいた。

そう自分の問題を分析した楊さんは、そのコンサル会社を辞め、今度は「社内の人間として業務改革ができる」環境に身を移します。

それが3社目に勤めた外資系の医療機器メーカーでした。

ここでは、仲間として、上に色々提案したり、逆に上から言われたことに反発したり、色々な経験ができた。

そうやって、楊さんは「経営者側」と「従業員側」と両方の視点を意図的に手に入れることに成功しました。

この「意図的に」というのが、繰り返しますが……本当にすごいと感じます。今までの素敵な仕事人のなかで一番、ロジカルに、最短距離で自分の目標に近づいていっている方の気がします。

私も今まで様々な「コンサルタント」と名乗る人に会ってきましたが(私も名乗っていたことありますし……)、意外と論理的にしっかり考えて、自分自身もその通りに動ける自律したコンサルタントって少なかったかも……(^_^;)

こういう人が、天性の「コンサルタント」なんだなぁ、と楊さんを見ていて思いました。

乳がんになり気づいたのは、「いつか」は来ないかもしれないということ

ただそんな「自分で計画して、その通り未来を作っていった」ように見える楊さんにも、自分の思い通りにできないことがありました。

それが身体の健康でした。

外資系の医療機器メーカーに勤めていた頃、乳がんが発覚したのです。

幸い、小さな手術で癌は取り除け、大事には至りませんでしたが、そのとき楊さんは思ったそうです。

いつか中小企業診断士の資格を獲ろう、いつか独立しようと思っていたけれど、今しなければ、“いつか”は来ないかもしれない。

外資系コンサル会社にいた頃は、「中小企業診断士の資格は使えない」というイメージが強く、ほとんど取得する人はいなかったそうです。

楊さんは子供の頃から気になっていた資格だったので、一度は受けていました。ただ、一次は合格、二次で不合格になっていました。当時は「1回受かれば、1次は永久に免除される」という制度だったので、「一次だけ合格」という状態で、そのまま放っておいたそう。

でも、癌が見つかり、休職したときに、「“いつか”はないかもしれない」と思った楊さんは、そのまま仕事をやめ、集中して中小企業診断士の試験の勉強をし、合格して、コンサルタントとして独立を果たします。

このときは想い先行だった。

起業・独立したいという人には、「まずは半年、仕事をしながらでもやれる準備をしましょう」とアドバイスしているのだけれど、私は、何の準備もなく、本当にゼロからのスタートだった。

独立への想いが、本当に強いものだったということが分かります。

でも、ゼロからのスタートとは言っても、楊さんには様々な立場からの多くの経験があり、コンサルのスキルもあり、しかもかなりエネルギッシュに行動できる方なので、お客さんは着実に増えていったそうです。

法人にするのは、大切にしている想いのバトンを渡したいから

楊さんは独立したときから、「五葉コンサルティング株式会社」という会社を立ち上げています。

コンサルタントはやはり「法人格」の方が信用も得られやすいでしょうから、法人にしたのはそのためかなと思って訊いてみたのですが、法人にする理由も、非常に論理的に説明してくださり、「ほぉ~」の一言でした。

これはお客様にも話していることなのだけれど、自分がしようとしていることが、自分の代だけで終わりでいいと思ったら、会社にせず、個人でいい。

法人にするということは、自分とは違う、別の人格ができるということ。

法人の使命は、永続すること。

自分の想いを他の人にもバトンとして伝えていき、大切にしていることをずっと社会に残していきたいと思ったら、法人にするべき。

こんな論理的に「法人」にする理由を語ってくれた方、初めてでした。
とても勉強になりました。

そして、楊さんの、コンサル会社に託している想いも訊いてみました。

五葉というのは、禅の「一華開五葉」から取ったもの。

人が悟りを開くには、一枚ずつ五枚の葉を開く必要があり、五つの葉が開いた状態になると、自分と人の境がなくなると言われている。

つまり、人の痛みを自分の痛みとして、人の問題を自分の問題として感じられるようにコンサルをしていきたい、ということ。

素敵です。

それとコンサルタントとして大事にしているのは、半年なら半年のプロジェクト期間が終わったあと、違う問題が起きたときに、社内で解決できるように会社の人を育てるということ。

ずっとコンサルタントがいないと、自分たちでは何もできません、ではダメだから。

確かにそうですね。

そして新たな出発:子供の頃からの教育が社会を作る

そして楊さんがすごいのは、コンサル会社を軌道の乗せ、前述した千葉県よろず支援拠点のコーティネーターなどの仕事もしつつ、昨年また新たに会社を作ったことです。

2つ目の会社は、五葉レーベン株式会社と言いますが、こちらはコンサル会社ではなく、学習塾を運営する会社です。

昨年8月に会社を立ち上げ、12月から南行徳(千葉県市川市)と東あずま(東京都墨田区)に個別指導の松陰塾をオープンしました。

松陰塾は全国展開しているフランチャイズの個別指導塾ですが、その運営に乗り出したのには、こんな想いがあったからだそうです。

コンサルティングの仕事を20年以上しているが、ここ10年で従業員の質が本当に変わってきたと肌身に沁みて感じている。特にこの5年の変化が激しい。

以前は、たとえば製造の過程で「不良品が多く出るけれど、どうしよう」という問題があったとき、「不良品」という物を見て、チームで問題を解決しようとすることができた。

でも今は、すぐに人のせいにする人が増えた。上司のせい、同僚のせい、ひどいときは、お客さんのせい、とか。

以前は、会社の目指すものと、自分の目指すものとの折り合いを、それなりにみんなつけられていたけれど、今はつけられなくなっているからだと思う。

日本を支えているはずの製造業の現場でそういうのをたくさん見てきて、これはまずいぞと感じ始めた。

コンサルの現場でも、まず、「仕事とは何?」「お客さんとは?」というマインドセットから入らなくてはいけなくなった。

そうしたときに、これは社会に出てからの問題ではなくて、その前、子供時代からの教育を変えていく必要があるんじゃないかと思えてきた。

うわぁ……すごい。こういう思考、痺れます!!

最初は問題意識だけあって、解決策はなかった。

でも、去年、松陰塾の方と会う機会があって、吉田松陰の「勉強で一番学ぶことは、人間として大切なことは何か、人間はいかに生きていくべきかを知ることである」という教えを今に伝える塾という考え方に共感した。

それで、自分もこの塾を増やすことで、子どもの頃から「目標を持つこと」「そこに向けてステップを設定すること」「やると決めたことはやること」の大切さを伝えていけたらと思っている。

塾だから、保護者の方は、成績を上げることを期待してくる。松陰塾のやり方だったら成績も確実に上げられる。

ただ、表向き、成績を上げることを目的に見せながら、実は子供に達成感を味わってもらうことで、自己肯定感を高めてもらったり、周りの大人が楽しそうに生きている姿を見てもらうことで、もっと生きることを楽しめる人になってもらえたらと想っている。

だからこそ、塾長には魅力的な人を起用し、「今は塾長という仕事をしているけれど、過去にはこんなこともしてきた」ということも伝えられる人にしていきたいそうです(写真は南行徳校の塾長・津田直毅さん)。

将来的には、コンサル会社で用いられる問題解決の手法を子供にも分かりやすい形に置き換えて伝える機会を作ったり、論理性を土台とした作文講座を開いたりしていくとのこと。

塾長としてではなく、オーナーとして、理想の教育を広げていくという考え方、私にはなかったです。さすがです、楊さん。

楊さんのこれからの活躍と、その思想の広まりに、とても期待します!!

起業するのに向く人とは?

そんな、起業家支援・企業支援のプロフェッショナルの楊さんに、「起業に向く人、向かない人っていると思いますか?」と訊いてみました。

起業に向くのは、人のせいにしない人。

経営というのは、意思決定の連続。上手く行かないことを人のせいにしていたら、苦しくなる。

なるほど。

そして、恒例の「起業してフリーで働くために、大切だと思うことはなんですか?」という質問もしてみました。

セルフコントロール。

フリーになったら、誰もお尻を叩いてくれないし、だれも責任をとってくれない。

やると決めたらやる。やらないと決めるのも大事。

やると決めたのに、やらないのはダメ。やらないんだったら、やらないと決める。

短いけれど、なんだか深い言葉です。
楊さんからは本当、たくさんのことを教えてもらいました。
私もちゃんと明確な目標を立てて、ステップを設定して、一つ一つクリアしたいと思います!
お忙しいなか、お時間を頂き、ありがとうございました!


★楊さんの2つの会社

・五葉コンサルティング株式会社(製造業に強いコンサル会社です)
http://goyo-c.com/

・五葉レーベン(松陰塾を運営しています。10年後には30教室になっている予定だそう)
https://www.goyol.co.jp/

楊さんは、非常に論理的・合理的な考え方ができる方ですし、それでいて話しやすい雰囲気のある素敵な方です。製造業以外でも、事業運営に悩まれている経営者の方は、一度相談されてみることをお勧めします。


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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

オフィス言の葉代表
インタビューライター


千葉県市川市を拠点に「インタビュー記事作成」「WEB文章設計・ライティング」などをしております。

自分自身が多くの本やブログ、メルマガから「しあわせに生き、しあわせに働くヒント」をもらったように、自分もその知識と経験、文章力で、誰かの今日と未来を輝かせるためのお手伝いができたら嬉しいなと思っています。

文章を書くのが仕事であり、趣味。純粋な趣味として、花や風景の写真を撮っています。

写真と「しあわせに生き、しあわせに働くヒント」になる文章を合わせた本や、素敵な仕事人の名言を集めた本を出版したいと思っています! 出版社とつなげてくれる方がいたら大歓迎♪

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