私が社労士を辞めたわけ:資格で起業の落とし穴

3月末で9年7か月の社労士生活にピリオドを打つことにしました。

と、書くと、ものすごいことのようですが、この9年7か月で社労士資格がないとできない仕事は、数えるほどしかなかったように思います。

そんな社労士はほとんどいないでしょうが……、起業しようと思ったときに、「まずは資格を獲ろう」と考える人は多いはずです。

「まずは資格」が上手く行く人も、もちろんいます。でも、資格にこだわることが、遠回りになることも多々あるように感じます。

「資格で起業」を考えている人の参考になればと思い、今日の記事は書いてみます。


試験合格→開業準備→開業→勤務社労士→なぜかライターとして独立

社労士資格は、1年間、本当に一生懸命勉強して(社労士資格を獲るためには、1000時間の勉強時間が必要だという話もあります)、合格発表で番号を見つけたときは、本気で泣いたくらい、その当時(11年ほど前)は人生をかけて獲ったものでした。

実務経験がなかったので、75,000円ほどかけて事務指定講習を受け、合計で50万円以上かけて、開業塾や人事制度構築ができるようになるセミナーなどに通い、16万円ほどの登録費用・初期費用を払って、社労士登録をしました。

それなのに……実質社労士として開業していたのは5か月……。

5年間、一応「勤務社労士」ではありましたが(開業してもなかなかお客さんが獲れず、苦戦しているときに、以前通った開業塾を運営していた会社の社長から「うちで修業しないか」と声を掛けてもらい、勤めることになりました)、就業規則コンサル数社、人事コンサル数社、社会保険労務士と名乗ってした執筆数十件、社会保険労務士と名乗ってした研修十数件……程度のものでした。

あとは、人のセミナーの企画をしたり、告知文を書いたり、メルマガを書いたり、社労士の資格など要らない仕事をしていました。

(セミナーのターゲットが社労士だったので、社労士試験勉強をしたことや、開業して、お客さんを獲ろうと必死になった経験があるということは、非常に役に立ちましたが、資格自体は要らなかったですね……)

そして、4年ほど前、その会社を辞めるとき、開業社労士としてやっていくという道もあったはずですが、自分は社労士としてより、「文章を書く人間」としてやっていきたいという想いが強く、「ライター」として、独立しました。

ただ、社労士資格を獲ったことで、自分の人生が大きく変わったのは確かです。そういう意味では、必死に勉強して、お金をかけて開業準備をしたことは、本当に良かったと思っています。
このあたりのことは、下記の記事に書いています。

資格を獲ると、人生変わりますか?


登録抹消を決めた理由

ただ独立したときには、社労士資格(社労士周辺の知識)×文章力で勝負していこうと思っていました。

これは開業塾で教わり、今も自分の心に刻まれていることですが、得意なこと1つで勝負しようとするとライバルがたくさんいますが、「●×▲」など、関係のないジャンルを2つ掛けると、ライバルはぐんと減るのです。

1年8か月前にこのブログを始めたときも、「社労士として働くことについて、カウンセラーとして生きることについて書く」というコンセプトを打ち出していました(当時は「働くビタミン・生きるミネラル」というタイトルでした。ドメイン「vitarals」は、ビタミン+ミネラルから取りました)。

そして、社会保険労務士・遊部香として、このブログを本にして出版するのだ、と思っていました(^_^;)

でも、このブログのインタビューを始めてから、社労士でない人に会うことも非常に多くなり、それと同時に自分自身もだんだん社労士業界から遠ざかりはじめました。

社労士業界から離れ、違うところに世界が広がったということは、考え方によっては「ここで社労士と名乗れば、仕事になるかもしれない」という可能性は強まったということです。

でも私は、そうは思えず、逆にどんどん、「社労士」でない人から「社労士」と見られることに負担を感じ始めてしまいました。

社労士の資格の範囲が広いというのもあるのですが、社労士と名乗ることで、自分が全然アンテナを張っていないような範囲の質問が飛んで来たり、変な期待を相手に抱かせてしまったりするような気がしてきて……。
(考えすぎな部分もあるんですけど)

で、思ったのは、「資格」を肩書にすると、自分の仕事の範囲を人に決められてしまうのではないか、ということでした。

定義して発信する

起業して、ぶれずにやっていくために、何が大事かというと、自分の仕事はこの範囲で、こういうことをすることですと「定義」し、その定義を正確に「発信」することだと思うのです。

と、偉そうに書きましたが、これは素敵な仕事人インタビューで自分自身も学んだ、非常に大きなことでした。
(「素敵な仕事人から学んだ『しあわせな起業家』になるヒント集」にもこのあたりのことが書いてあるので、是非、読んで頂けたら!)

でも、国家資格とか、ある程度有名な資格になると、自分以外の人も「この資格を持っている人は、こういうことをしている人」というイメージを持っているんですよね。

資格に限らず、ある程度イメージが出来上がっている肩書を名乗るときには、そこは本当注意すべき点だな、と思います。
(「ライター」とだけ名乗っていた頃も、出版社の仕事をしていると思われ、誤解を解くのに苦労したので、「起業家支援ライター」という肩書を自分で考えて、つけました)

社労士の開業塾では、「最初は頼まれた仕事をやっていけばいい」とも言われました。そういう考え方なら、「社会保険労務士」とだけ肩書をつけた名刺を配って歩いてもいいでしょう。

でもフリーの立場もそれなりに長くなってきた今は、「なんでもできるという人は、なにもできない人」という言葉の方が正しいように感じます。

社会保険労務士には、資格がないとできない「独占業務」がありますから、獲るとメリットも大きい資格です。

でも、資格だけで食べられる時代は終わっています。社労士の先生で成功している人というのは、「〇〇コンサルタント」という名刺でも仕事を獲って来られる人です。仕事をする段になって「社労士の資格も持っていますから、この仕事もできます」でいいんです。

逆に言うと、資格がなければ、仕事が獲れない人は、資格があっても、仕事は獲れないのです。

世の中には、人の欲望をくすぐるようなキャッチで、色々な資格を獲るように促す広告も多いですが、資格も起業塾も、成功へのひとつの「手段」です。

成功につながるのは……

  • 自分にとっての「成功」をしっかりイメージすること
    (自分がどうなりたいかだけでなく、仕事を通してどう社会とつながり、社会に貢献したいかも含め)
  • その方向に着実に進めるステップを考えること
  • それを実行すること

だけです。

自分の目指す成功の道筋に「〇〇資格取得」が欠かせないのなら、獲るべきです。でも、その道筋にあるのが「まずは身近な人にモニターになってもらい、サービスを提供する」ことなら、そちらをするべきです。

まとめ

ということで、私は遠回りに遠回りを重ねた人生を送っておりますが……、色々経験したからこそ、リアルに語れることも多いかなと思います。反面教師的に参考にして頂けたら……。

今日伝えたかったことは、

  • 定義して発信することの大切さ
  • 自分にとっての成功をイメージして、そこまでのステップを計画する大切さ

です。

それから、迷ったときは「ゼロベースで考える」ことも大事ですね。一生懸命獲った資格だから、ここまで頑張ったんだから、としがみついてしまうと、軌道修正ができません。

私も社労士登録抹消になかなか踏み切れなかったのは、初期の登録費用18万円が頭にあったからです。でも、登録を抹消しても、試験に合格した事実は消えないので、18万円払ってでもやりたい社労士の仕事ができたら、社労士に戻ろうと思います(多分、ないと思いますが。でも、「やめるの、やめた」も人生において、ありだと思うんです)。

とりあえず4月からは、「1つ手放したら、1つ入ってくる」そう信じて、新しい道を進みたいと思います!

あと2日で新年度。みなさんも迷っていることがあったら、ゼロベースで考えて、今できる最良の選択をしてくださいね。

執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

オフィス言の葉代表・起業家支援ライター

仕事では主に、起業して間もない人、これから起業しようと思っている人に対する文章支援を行っています。「ライターが作るホームページ」サービスも人気です。

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