因・縁・果の道理を大切にしたい:雑貨店代表&商店会副会長 小林千津絵さん

雑貨の店もえぎ・小林ちこさん

今日は、素敵な仕事人として、市川真間駅(千葉県市川市)のそばで雑貨の店 もえぎを開かれている小林千津絵さん(ちこさん)をご紹介します。

雑貨の店 もえぎはお母様が20年前に開かれたお店ですし、お父様はずっとご自宅で呉服屋を営んでいらしたということで、ちこさんは、もともと「商人」の家の娘として育ちます。

しかし、40代半ばまで雇用されて働く「労働者」だった立場から、お店の「代表」という立場になり、商店会の活動もお父様から引き継ぎ、生活が大きく変わったそうです。

「雇われて働いていた頃の方が楽だった」と言いながらも、現在、精力的に商店会を盛り上げようと動かれている ちこさんのお話にも、しあわせに働くヒントがたくさんありました。

是非、インタビューをお読みいただけたら!

破天荒なアメリカ留学

雑貨の店 もえぎのサイトには、取り扱っている商品の写真やイベントの案内は載せられているのですが、ちこさん自身の情報はほとんどなく、インタビューも「ほとんど情報がない」状態で伺いました。

で、「新卒でどこか会社に勤めて、この店を継ぐまで、ずっとそこで働いてきたんですか?」などと質問してしまったのですが、まーったく違いました。

高校の頃、『ブルースブラザーズ』という映画がものすごく好きで、それに影響されて、私はアメリカに行って、こういう映画を撮るんだ、と思った。

それで、高校を卒業するとニューヨークに行った。

そこまででも、ちょっと驚きましたが、驚くのはまだまだ早かったです(笑)

でも、ニューヨークの街は人がいじわるで、なんだか嫌いで、そこの学校で仲良くなった直子ちゃんという子と、とりあえず他の街に行こうと決めた。

それで、アメリカの地図を開いて、目をつむって指をさして、指した場所にとりあえず行こう、となって。

テレビ番組のような展開……。指差した場所は、ワイオミングという州だったそうですが、州都に行っても人が誰もいないような「西部劇に出てくるような町だった」とのこと。

それでも、ちこさんと直子ちゃんは、全身刺青だらけのおじさんたちに「なんでこんな子供が2人で」と驚きの目を向けられながらも、1泊17ドルのモーテルに泊まり、デパートで出会った日本人女性(ミキさん)の「うちにおいでよ」という言葉を真に受けて、ニューヨークに荷物を取りに戻り、そのままワイオミングで暮らし始めたそうです。

ミキさんは「本当に来たの?」と驚いたそうですが、しばらく2人を家に泊め、面倒をみてくれました。

その後、子供のいない軍人の夫婦の家にホームステイさせてもらったり、その夫婦とケンカ別れして、結局一人暮らしすることになったりしながら、ちこさんは2年間、アメリカで過ごし、アメリカの高校を卒業したそうです。

なかなかできない体験ですね。

若い頃は怖いものなんてなかったからね。バカだっただけ。

とちこさんは言っていましたが、18歳の頃の私には、そんな度胸は欠片もなかったなぁ……。

この話を聞いただけで、ちこさんの根の性格が分かるような気がしました。

海外の書籍を扱う書店で週4日バイトしながら、週2日は劇団員を

アメリカの高校を卒業した後、ちこさんはアメリカの大学にも行きたかったそうですが、入学できることになった大学のそばには住める場所がなく、断念して日本に帰ってきました。

そして、日本のアメリカンクラブのなかにある書店のバイトを始めます。しかしアルバイトは週4日だったので、「残り3日はなにか他のことをしなさい」とお母様に言われて、「なにか」を探していたそう。

そんなとき、新聞の片隅に劇団員募集の記事を見つけます。ちょうどアルバイトが休みの平日に2日稽古があり、しかも場所もアルバイト先と近く、条件がぴったりでした。

ちこさんはそれまで、映画には関心があり、自分でも脚本を書いているほどでしたが、劇団は初めてだったそうです。しかし、見学に行った日の翌日に公演があり、見ると、とても素人の劇だとは思えない出来栄えで、すぐに入団を決めました。

その劇団は、税務署の労働組合員が主なメンバーになっているものだったそう。

ここでの経験は良かった。ほとんどが税務署の労働組合員だから、組織として非常にしっかりとした劇団で、ここで組織とは何かを学んだ気がする。あとは、書類の書き方とか。

劇団で書類の書き方を学んだって……おもしろい(笑)

ちこさんは、その劇団に役者として入りましたが、5,6年在籍した頃には、新人公演の台本を書かせてもらうほどになっていたそうです。

書籍の買付け担当に。そして、ドイツの出版社へ

雑貨の店もえぎ・小林ちこさんこの頃、仕事では「書店員のアルバイト」から、その書店を運営している海外書籍の輸入卸会社の本社勤務になり、さらに書籍の買付けをする部署に異動と、仕事内容が大きく変わりました。

買付けの仕事になってからは、海外に行って書籍を買い付けるような出張も増えてきたそうです。

しかし、少しずつ仕事を覚えてきた矢先、上司であるアメリカ人がドイツの出版社に引き抜かれ、ちこさんもその上司にくっつく形で会社を移ります。

ドイツの出版社は、日本事務所の立ち上げメンバーを探していたところで、すでに海外の書籍を買付け、日本の書店に卸す仕事をしていたちこさんたちは、欲しい人材だったのでしょう。

新しい会社での仕事には、以前の職場での経験が様々に役立ったそうですが、そう感じたとき、「自分は前の会社を裏切るようなことをしてしまったんだな、と気づいた」とも、ちこさんは言われていました。

でも、ドイツの出版社でも、海外での展示会に参加したり、買付けで海外に行ったり、東京にほとんどいないくらい忙しく動き回り、精力的に働きます。

そして、仕事で行った先のドイツで、運命の出会いをします。仕事で知り合ったドイツ人と恋におち、遠距離恋愛をし、そして、仕事を辞めて、ドイツに引っ越したのです。

なんとも……ドラマチック。

ただ、残念ながら、ドイツ人の恋人とは3か月で別れ、結局ドイツでは半年しか暮らさずに日本に戻ってきたとのことでした。

波乱万丈な人生ですね……。今までの「素敵な仕事人」とはまた違う話で、面白いです。

市川市で劇団を旗揚げ。輸入貿易の会社などを経て……

ドイツで失恋して日本に帰ってきた ちこさんは、派遣社員として仕事をしながら、今度は自分で劇団を立ち上げます。

この劇団では、8年ほど活動し、今は休止状態だそうですが、ちこさん曰く「私が生きている限り、劇団はあり続ける」とのこと。お店や商店会の活動が落ち着いたら、じわじわ始動するのかもしれませんね。

仕事の方では、短期の派遣社員を2社でしたあと、次の面接に行くと「正社員としてなら雇う」と言われ、インドネシアの製紙会社に勤め始めます。

そこで7年働いて辞め、次は銀座の画廊で絵を売ったそう。色々経験していますね~。

画廊の仕事は合わず、半年ほどしかしなかったそうですが、

ここで物を売ること、物を作っている先生を売ることを学んだ。

とちこさんは言われていました。

今の仕事にすべての経験が生きている

そんなふうに本当に様々な経験をしてきた ちこさんですが、画廊の仕事を辞めたあと、インドネシアの製紙工場のグループ会社(学習帳メーカー)でさらに5年勤めたあと、ご両親の仕事を継ぐことになります。

両親とも高齢になって、父の呉服屋の経営状態もあまり良くなかった。

それで、両親の店を今後どうするかという家族会議が開かれた。

父も母も、ずっと店で働いてきた人だから、店がなくなったら、急に元気をなくしてしまうんじゃないか、でも、高齢の父と母だけに任せ続けるわけにもいかない、そんな話のなかで、じゃあ、私が会社を辞める、ということになった。

雑貨の店もえぎ弟さんは大手の呉服メーカーで働かれ、妹さんは仕事で長野にいらっしゃるということで、一番身軽に動けるのが ちこさんだったというのもあるようです。

ちこさんは、先にも書いたように、「雇われて働いていた頃の方が楽だった」と店を継いでから思ったそうですが、それでも、働き始めてこんなふうに思ったそうです。

文具の仕入れは、前職の経験が生きている。当時営業に行っていた会社の、今はお客さんになれているのが嬉しい。

英語の絵本も扱っているのだけれど、それも海外書籍輸入卸会社に勤めていた頃の元上司が、いい本を紹介してくれる。

出版社にいた頃は、全国や海外の展示会によく行っていたけれど、そのときの経験が、店のレイアウトや商品の見せ方を考える際に生きている。

劇団を運営した経験は、商店会での活動に役立っているように思う。

劇団を主宰していた頃は、個性豊かな役者たちを演出家として“管理”する立場にいたけれど、管理の仕事って、同じことをみんなにやらせるということではなくて、同じ場所で同じ目指すものを持ちながらも、そのなかで、みんなそれぞれが自由に動けるようする、でも全体を見ている、というようなものだな、と思った。

商店会の人たちもみんな個性豊かだから、そういう意味では劇団の主宰も、商店会の副会長の仕事もなんか似ているな、と。

だから、今の仕事は、今まで自分がやってきたことの集大成になっているんじゃないかと思って。

素敵ですね。

最初、ちこさんは「2代目」とだけ聞いていたので、ただ流れで店長になった人なのかなと思っていましたが、きちんと自分で店を継ぐことを選び、そして、それを自分に与えられた運命の仕事のように捉えているのは、いいな、と思いました。

様々な人に助けてもらっているから

ただ、そうはいっても、やはりお店の運営は大変なのだそうです。

先日インタビューさせて頂いた漢方ソムリエの田辺さんも「2代目」でしたが、上向きのお店の2代目と、経営が厳しい状態から始める「2代目」とは、随分違うのでしょう。

もう辞めたい、と思うことも度々ある。

と、ちこさんは正直に言われていました。

でも、店を継いですぐの頃、「店の運営の仕方が分からない」とか、「数字が厳しい」と周りの人に言ったら、誰かが「じゃあ、市の塾に行ってみたら?」「県のここに相談窓口があるよ」などと教えてくれた。

そして、窓口に行ってみると、「こんな助成金があるから使ってみたら」などと教えてくれる人がいた。

そういう人に助けられながら、ここまで来た。

だから、期待して助けてもらっているからこそ、辞められないなと思う。自分がここで成功するのが、助けてくれた人に対する恩返しだと思うから。

商売をするって大変ですが(店舗を持って、賃料以上を売り上げないといけないとなると、私のようなフリーランスの人間より、もっとずっと大変なのでしょうし)、でも、大変な人生を選ぶと、一人ではできないことが多い分、本当にたくさんの人に助けられる経験をし、密度の濃い人生が歩めるような気がします。

起業することを選んだ人の話を多く聞いてきて思うのは、「大変な人生」とか「しんどい経験」というのは、人生を豊かにするのに欠かせないことなのかもしれないな、ということです。

リスクを取らない人生は楽ですが、その分、何か経験できずに終わってしまうものもあるのかな……と。

商店会の仕事はボランティアと考えてはいけないと思う

そんなふうに言う ちこさんですが、ちこさん自身も、商店会の副会長として、人のためにも積極的に活動をされています。

特にこの商店街マップは、ちこさんが編集人で、協力姿勢の商店会の会員と未会員店舗の協力者、そして千葉大学の学生さん達と一緒になって作ったものだそうです。

写真は商店会メンバーのカメラマンの松沢雅彦さんが撮られたそうですが、働く人の姿がしっかり写っていて、とっても素敵です♪
(是非、商店会に足を運んだ方は、現物を手に入れてくださいね!)

今まで、こういうものはなかったそうで、作るのには色々苦労があったそうです。

でも、商店会の活動は、お金をもらってやっているものではありませんから、「こういうのは、ボランティアとしてやっているんですか?」と訊いてみました。すると、ちこさんはこう言われました。

商店会の活動は、ボランティアだと考えてしまったら、間違うと思う。

あくまで商店会の活動は、自分の利益につながるものだと考えないといけないし、仕事の一部だと思ってやらないと、ダメだなって。

自分にとってもいいし、人にとってもいいし、社会にとってもいい。三方良しを意識することが大事。

なるほど!

大切にしているのは、「因・縁・果の道理」

そんな ちこさんに、「人生や仕事において大切にしている想いとか、譲れないところとかありますか?」と訊いてみました。

私は「歎異抄」という仏教書が好きなのだけれど、この本に7,8年前に出会って、随分救われている。

一般に「因果応報」と言われる、「因・縁・果の道理」というのがある。

「因果応報」とは、善い因(行為)は、善い果(幸福)を生み出し、 悪い因は、悪い果を引き起こす。

つまり、ひまわりの種をまいたら、ひまわりの芽が出て、ひまわりの花が咲く。ひまわりの種をまいたのに、かぼちゃの花が咲いて、かぼちゃが取れることはない、ということ。

うん、そこまでは私も知っています。

「因・縁・果の道理」というのは、因と果のあいだに「縁」もあって、それも大切だということを言っている。

つまり、ひまわりの種をまいても、よい土と適切な温度と太陽の光と水と肥料がないと、ひまわりの芽は出ないし、出ても育たないよ、と。

この言葉を知ってから、「因」と「縁」を大事にすることを意識し始めた。

なるほど~。

ちこさんが「因」を良くするために気を付けているのは、「すべてを善意に解釈すること」だそうです。

誰かに腹が立つことを言われたときに、「何よこの人、そっちの方が分かっていないんじゃない」と思うと、「悪い因」になってしまう。

そうではなくて、「これは私に、こういうことに注意しないと失敗すると教えてくれるためにあったことなんだ」と受け止めることで、ひとつの出来事が自分にとって「善い因」になる。

そうやって考えて、出来事に対する考え方を変えると、ずっと「あの人、ムカつく」と思って根に持つよりも、ずっと楽。

そう、歎異抄を読んで、私は随分「楽」になった。

雑貨の店もえぎ無理して「いい人」になろうと思うのではなくて、考え方を変えることで自分が「楽」になるっていいですね。

そして、「縁」を良くするために、ちこさんが力を入れているのが、商店会全体を活性化させようと動くことだったり、周りの人、一人一人との関係を大切にすることなんだろうな、と感じました。

「因・縁・果の道理」……私も覚えておきたいです。

起業家に大切なこと

ちこさんにも、恒例の「組織に属さず、フリーで働くために大切なことはなんだと思いますか?」という質問をしてみました。

漠然としたものであってもいいから、夢や希望を持つこと。

それを叶えられると自分を信じること。

人に助けてもらうことも多いけれど、最後は自分でやる、できると思えることが大事だと思う。

それから、忍耐力も大事。

「因・縁・果の道理」の話をしたけれど、種をまいても、芽が出て収穫できるようになるまでは、「桃・栗3年、柿8年」かもしれない。

でも、良い種をまいておけば、いつかは必ずいい果が出るから、結果が出ないときには「今は良い因の貯金をしている」と思って、結果が出るまで待つことも大切。

ただ、結果が出ない時期は、一人では本当に苦しいから、たとえば商店会の仲間とか、アドバイスをくれる先輩やプロの人とか、一緒にその時期を過ごしてくれる人の存在もとても大切。

ちこさんは、インタビューの前に、このブログの他の方のインタビューもたくさん読んでくださっていて、「私なんて、他の人に比べたらまだまだなんですけど……」と恐縮した感じでしたが、でも、自分自身や自分の状況を飾ることなく語ってくださり、日々真正面から人生や仕事に向かっている等身大の姿を見せて頂いたことは、とても貴重でした。

ちこさんは以前、映画の道を志したこともあり、将来の大きな夢は、

真間銀座商店街を舞台にした朝ドラを作ること。

だそうです。

ここでなくても、どこか商店街で店をやっている人にとっては、“あるある”な内容になるだろうし、そうでない人も“あれ、そういえばうちの近くの商店街って、どこだろう?”と商店街について考えるきっかけになる。そんな作品ができたらいいな、と思う。

楽しそうな夢♪ そのときは、私も通行人エキストラ役くらいもらえるかな(笑)

ということで、楽しいインタビューでした。
ちこさん、ありがとうございました!


★ちこさんの「雑貨の店もえぎ」

サイト → https://www.marufuji-moegi.shop/

facebookページ → https://www.facebook.com/moegimarufuji/

雑貨の店もえぎ雑貨の店もえぎには、本当に様々な種類の「雑貨」があります。伺ったときは、お父様の呉服屋の反物の在庫処分市もされていました(上記記事中の反物の写真がそうです)。

お店のコンセプトとしては、「人にプレゼントしたら、自分がちょっといい気持ちになれるようなものが揃っている店」だそうです。

確かに、食器・文具・服・小物・飾りものなど幅広くあり、色々な方のニーズにこたえてくれそうです。プレゼント選びのアドバイスもしてくださるそうですから、足を運んでみてください!

ちこさんは、気さくに色々お話してくれる、あったかい感じの方なので、是非♪


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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

オフィス言の葉代表
インタビューライター


千葉県市川市を拠点に「インタビュー記事作成」「WEB文章設計・ライティング」などをしております。

自分自身が多くの本やブログ、メルマガから「しあわせに生き、しあわせに働くヒント」をもらったように、自分もその知識と経験、文章力で、誰かの今日と未来を輝かせるためのお手伝いができたら嬉しいなと思っています。

文章を書くのが仕事であり、趣味。純粋な趣味として、花や風景の写真を撮っています。

写真と「しあわせに生き、しあわせに働くヒント」になる文章を合わせた本や、素敵な仕事人の名言を集めた本を出版したいと思っています! 出版社とつなげてくれる方がいたら大歓迎♪

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