最近、「文章を書けるようになるための練習法」という記事のアクセスが急に増えていて、何だろうと思ったら、googleで「文章 練習」で検索すると、その記事が一番上に来るみたいです。
あの記事で書いたことは、間違ってはいないと思うのですが、あくまで「少しずつ実力をつけて、上手になっていく」ための方法でした。
本当にいい文章を書く実力をつけようと思ったら、毎日コツコツ、できるだけ多くの文章を書く、そして良い文章を読むということが必要です。
でも、世の中には「そんな悠長なことは言っていられない。すぐに、ある程度のできの文章を書かないといけないんだ」というニーズを持った人もいるでしょう。
「じわじわ実力をつけたい」という人も、半年、1年と頑張っても成果が見えないと嫌になってしまいます。できれば苦労せず、「文章、うまくなったね」と周りの人に言われたいですよね?
ということで、今日は、「手っ取り早く、平均点以上の文章を書くコツ」について書いてみたいと思います。
Contents
良い文章には型がある
ポイントは一言でいえば、上記小見出しの通りです。
「良い文章には型がある」のです。
良い文章というのは、芸術的な文章ということではなく、「読みやすく」「伝わりやすい」文章のことです。
文章の型で多くの人が知っているのが「起承転結」だと思います。
でも学生生活が終わって、ビジネスで文章を書くようになったら、「起承転結」は忘れた方がいいです。
作家とかエッセイストとか、そういう職業で文章を書く人なら「起承転結」で文章を書くこともあるでしょうけれど、いわゆる普通の会社員になって、宣伝文を書かなきゃとか、ちょっと込み入った内容を伝えるメールをお客さんに書かなきゃ、となったとき、「起承転結」で書いてはいけません。
ビジネスにおいては、「結論が先」です。
たとえばビジネスメールなら
ビジネスメールでしたら、宛名や挨拶、最後の署名などは定型で決まっていますから、それを守りながら、本文でできるだけ早く、用件と結論を述べ、必要であればそのあとに理由を書きます。
例えば……
(株式会社A) 鈴木様
いつもお世話になっております。
Bの田中です。先日は見積もりをありがとうございました。
(これで相手は「見積もり」の件だなと分かる)基本的には頂いた内容でお願いしたいと思っているのですが、
1点、ご相談があります。
(基本的にはOK、1点相談したいことがあるという要点を伝えます)(そのあとに、相談したい具体的な内容や、その理由などを伝えます)
ご検討頂けますと幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、
どうぞよろしくお願いいたします。==================
会社既定の署名
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私は中小企業でしか働いたことがないので、大企業の方には「え?」と思われる文例だったかもしれませんが(大企業だと「稟議」などがあって、一部分相談したいなんてないのかも)……そこはご容赦ください(^_^;)
でも大体こんなふうに、「挨拶・用件を切り出す・言いたいことを端的に伝える・詳細や理由を述べる」という流れでメールを書いてれば、「この人、文章下手だな」とか「仕事ができない人かもな」と思われることはないはずです。
ビジネスにおいては、本当に頭がいいかより、「仕事ができそうだな感」を醸し出すことって結構重要ですからね(笑)
たとえば宣伝文なら
私は前職の会社では、セミナーの企画・宣伝・運営をメインの業務にしていました。
そのなかでも特に、宣伝文を書く必要が出てくるとその部分は「じゃあ、遊部さんに」と回ってくることが多かったので、そこに勤めていた5年間で100くらいセミナー告知文を書いたような気がします。
100も書いていると、気づくと型ができているんですよね。
私の場合は、こんなふうに作っていました。
- タイトルとサブタイトル
(タイトルは結構重要ですね。同じ内容でもタイトルで集客に差が出ます)- こんなことで悩んでいませんか?という問題提起
(実はこのブログの記事でも、冒頭に2つ入れています。「そんな悠長なことは言っていられない。すぐに、ある程度のできの文章を書かないといけないんだ」「できれば苦労せず、「文章、うまくなったね」と周りの人に言われたい」)- このセミナーではそれが解決できます。
&解決できると、こんな状態になれます。- 他のセミナーと比べたこのセミナーのメリットはこんなところです。
(たとえば講師がこんな経歴の人ですとか。こんな特典をもらえますとか)- こんな人に特にお薦めです。
(そのあと、「〇〇という問題を感じている人」「もっと〇〇したいと思っている人」など箇条書きで羅列。ここは「あ、自分も対象者だ」と思ってもらえるように書く)- 講師の先生からのメッセージ
(前職では、外部の先生に講師をお願いすることが多かったので、講師の先生から直にセミナー参加を迷っている人に届くようなメッセージをもらうことも多かったです。結構、講師の言葉は見込みの参加者の心に届きます)- セミナー受講者の声
(以前に同じ内容や同じ講師で講座をしたことがあれば、そのアンケート結果などを載せると、第三者の声が入るので、信ぴょう性が増します)- セミナー内容
(できるだけ具体的に書けば書くほど、内容がイメージできていいように感じました。数が多い方が、色々学べてお得感が出るし、相手のニーズに触れる可能性も増えるわけです)- セミナー詳細
(日程や会場・値段など。ここに到達するまでに、「このセミナー受けてみたい」と思わせることが大事です。高い教材を売っている企業のランディングページは、大抵値段は最後にありますよね。で、大体「今だけいくら値引き!」みたいにありますが、値引きは一長一短あります)
上記はセミナーの告知文の話ですが、商品でも同じです。
ただ、会社の中で宣伝文を作る必要がある人は、会社の色を意識することも大切ですね。営業職の強い会社なら、「こんなにメリットがあります」ということを、これでもか、これでもかと盛って伝えた方が「それらしい」文章になりますし、上品で伝統的な風土なら、営業色は弱めた方がいいです(事実をできるだけ淡々と伝えながらも、じわじわメリットが伝わってくるように書く。第三者の声を充実させるといいですね)。
今はサイト上に、宣伝文はあふれかえっています。その中には質のいいものもあれば、いまいちなものもありますし、自分の好みと合うものもあれば、嫌悪感を抱かせるものもあるでしょう。
でも、「これはいい」と思ったものをいくつか集め、分析し、「型」に落とし込み、その「型」を真似することで、あなたの文章も確実に上手くなるはずです。
手っ取り早く文章を上手くしたい方は、是非、それをお薦めします。
ブログの記事なら
プロブロガーのイケダハヤトさんの「武器としての書く技術」という本にはこんなことが書かれていました。
今までの(書く技術についての)本は、伝える人がいて、伝えることがあって、その上で、どう文章を書くのか、ということについて語っています。つまり「読者がいる」「伝えることがある」というのが前提としてあるわけです。目の前の椅子に座っている読者に対してどういう文章を提供すべきか、というわけです。(略)
(それに対して)ウエブで文章を発表することは「ストリートライブ」に似ています。駅前などで若者が歌っている、あれです。
ストリートライブは、当たり前のことながら、はじめはお客さんなど一人もいません。多くの人が行き交う雑踏の中、あなたは歌い始めます。とてもいい曲なのに、誰も足を止めてくれない。イントロ部分で止まってくれても、途中で帰ってしまう人もいるでしょう。ストリートライブは、実力にプラスして、人を引きつける力も必要になるのです。
分かるわ~、と思いましたね。
先週「起業(独立・開業)したら、ブログを書いた方がいいですか?」という記事で、ブログの目的ごとに7つのレベル分けをして考えたのですが、「5」~「7」の「リアルの場で知り合った人に向けて書く」のなら、大した内容でなくても、付き合ってもらえる可能性は高いです。
でも、そうでなく、見知らぬ人もファンとして開拓していきたいと思うのなら、自分が「ストリートミュージシャン」である自覚を持って文章を書かないといけないということです。
そうやって、新たな人を開拓したいと思うなら、ブログもやはり、
- 目を引くタイトル(ベネフィットが分かりやすいタイトル)
- 問題提起
(〇〇だと困りますよね。もっと△△になりたいですよね。みたいな話しかける言葉)- 具体的な解決法
という型にはめるのがいいのではないかと感じます。
私はブログを書いていながら、人のブログはほとんど読みません(^_^;) ただ、以前とてもいいなと思い、定期的に訪れていたブログがありました。
ブログがきっかけで出版に至りながらも、今はもう作者の人はブログやネットの世界からは身を引いてしまったようで残念なのですが、「earth in us」というブログです。
もともとは「はてな」のブログで作っていて、「はてなブックマーク」を数多く集めて注目されていたブログでしたが、「タイトル」「問題提起」「解決法」すべての書き方が秀逸でした。
(解決法も非常に具体的で、すぐにチャレンジできるようなもので、思わずブックマークしてしまうのも納得の内容です)
そういう「このブログ、いいな」と思うブログが見つかったら、型を真似るのは一つの方法です。内容を真似たら盗作ですが、型はいくら真似ても大丈夫ですからね。
本当にオリジナルのものを持っている(考え方なり、生き方なり)人は、型など気にせず、自分が思う形で発信しても、人に伝わります。
でも、特にオリジナルな形にこだわりがあるわけでなく、自分が伝えたいことを一番伝わる形で発信したいと思っているのなら、「型」を取り入れてみてはどうでしょうか?
自分は文章が下手だと思っている人は、「上手い文章」を勘違いしている
最後に書いておきたいことは、「文章が苦手なんですけど」「文章が上手く書けなくて」という人の多くは、「良い文章」がどんなものか勘違いしていることが多いように思います。
文章が上手い人ほど、易しい、小学生でもわかるような言葉だけで、すべてのことを表現しようとします。
文章が下手な人ほど、難しい言葉を使いたがります。
文章が苦手と感じている人ほど、「一文(。から次の。まで)を短くする」「本当に意味を理解できている言葉だけを使う」ということを意識するといいと思います。
※特に文章が下手な人は、主語と述語の関係がおかしくなることが多いので、一つの文章に主語はひとつという意識で書くといいです(できるだけ、でいいと思いますが)。
またWEBやメールの文章なら、一文ごとに改行と空白行を入れるくらいでちょうどいいです。
密度を薄めるだけで、文章は随分読みやすくなります。
良い文章とは、気の利いた表現がされている文章やお洒落な言い回しのある文章ではありません。
「伝えたいことが相手に正しく伝わる文章」であり、「相手が負担を感じることなく、意味を理解できる文章」です。
文章が苦手だという人は、まず「読む人の負担を減らす」ことと、文章が上手な人の「型」を自分の文章に取り入れることから意識してみてください。
それだけで、絶対にあなたの文章は変わるはずです!
私の経験とアドバイスがお役にたてば幸いです。
★さらに良い文章を書くために必要なポイントを「人の気持ちを動かす文章の書き方:ストーリーとイメージが鍵」という記事に書きました。こちらも参考にしていただけたら。