このブログでは、好きなことや得意なことなど「自分らしいこと」を仕事にし、日々楽しく働いている「素敵な仕事人」を紹介しています。
今まで14人の「素敵な仕事人」から、しあわせに生き、しあわせに働くヒントをもらってきました。
そのなかで、多くの「素敵な仕事人」に、「好きなことを仕事にするにはどうしたらいいと思いますか?」という質問にも答えてもらいました。
その答えもふまえ、今日は
- 仕事がつまらないと感じている人
- このまま今の会社で働いていていいのかなと思っている人
- いずれは独立したいと考えている人
などに、「好きなことを仕事にするヒント」を提供できたらと思います。
Contents
好きなことを仕事にする方法 その1
まずは値段をつけて、売ってみること。
好きなことを仕事にするまでの手順を一番具体的に教えてくださったのは、問題整理の専門家・大谷更生さんでした。
大谷さんは、こんなふうに言われていました。
まずは値段をつけて、売ってみること。
たとえば料理が好きで、仕事にしたいと思っているのなら、お弁当を作って友人に売ってみる。
人の話を聴くのが得意と思っているのなら、1時間あなたの話を聞きます。1000円です、などと言って、やってみる。
それで、実際に1時間話を聴いて、1000円もらったら、その人に「1000円って高いと思った? 安いと思った?」と訊いてみる。「安いと思った。5000円くらいでもいいと思った」と言ってもらえたら、5000円に改定して、またやってみる。
もし売れないのなら、値段を下げてみる。でもゼロにはしない。
とにかく売ってみて、その人に感想を聞いて、値段を見直して…それを続けていけばいい。
大谷さん自身も、元々は「週末起業」から始め、自分が提供できそうなサービスをモニターを募集してやってみて、値段を決めて……ということを繰り返して、サービスメニューを増やしていかれています。
リスクを最小限にして、まず一歩を踏み出すために、「ひとつメニューを考えてみる」→「今の仕事を続けたまま、周りの人に試にそのサービスを提供してみる」→「どれくらいお金がもらえそうか検討する」というのは、有効な手法かと思います。
好きなことをしていても、誰からも評価されず、収入も増えないのなら、独立した意味がありません。固く押さえるところは押さえることも大切ですよね。
好きなことを仕事にする方法 その2
自分で自分の仕事を定義して、発信すること
ソングレターアーティストの安達充さんは、作曲の技術だけ見たら、自分はプロのレベルではないかもしれないけれど、「ソングレター」を作り、歌うプロではある自信があると言われていました。
つまり、安達さんは音楽を仕事にしながらも、その技術で勝負しようとはしていないのです。
そんな安達さんは、好きなことを仕事にする方法について、こう語られていました。
自分で定義するってことかな。
僕は、最初から自分は「アーティストです」と言っていたけれど、それは“だから技術的にどうとか、下手だとかいう批判は受けつけませんよ”という防御でもあった。
結構、チキンハートだから、批判されると傷つくし(笑)世の中のルールとか基準に合わせると大変だから、自分は「この範囲で勝負しているんですよ」と定義するのって大事。定義すれば、その自分が作った自由な世界でやっていける。
プロという言葉の定義もしたもの勝ち。世の中的に「それってプロ?」と言われるレベルだって、それはその人の“プロ”のレベルの話をしているのであって、自分の定義する“プロ”はこういうもの、と決めちゃえば、プロだから。
また、ほとんど独学で一眼レフを使い始め、今は立派にカメラマンとして仕事をしているまーしーさんも、こう言われていました。
自分の想いをきちんと”設定”して、それを”発信”していれば、そんなにずれた依頼は来ない。
まーしーさんは、色彩を大切にし、基本、自然光を生かした写真を撮っています。無理に仕事用に作ったかっちりしたプロフィール写真ではなく、その人らしい魅力がきちんと伝わる写真を撮ることも大切にされています。
そういうことが、まーしーさんのサイトなどからは、はっきり分かるので、たとえばスタジオでのかっちりした商品撮影の仕事とか、モノクロの風景写真を撮る仕事などは、基本来ない、ということなのでしょうね。
まーしーさんは、「サイトを作ったのが良かった」と話されていましたが、手始めにサイトを作ってみるのもいいかもしれません。
作るなかで、自分は何を売りにした、どんなサービスを、なぜ提供したいのかがクリアになってくるでしょうし、その「定義」が発信できるからです。
「好きなことを仕事にするための方法 その1 まずは値段をつけて、売ってみること」をある程度クリアできたら、次は、「定義して、身近な人以外にも発信する」ステップに進むのがいいように思います。
好きなことを仕事にする方法 その3
●×▲で勝負する
先日の「素敵な仕事人にいつも訊いている質問に自分も答えてみます!」という記事でも書いたのですが、「●×▲」など、自分の強みを掛け合わせることが大切かなと思います。
たとえば、「書くスキル」×「社会保険労務士としての知識」とか、「書くスキル」×「電車マニア」とか、能力・強み・スキルを掛け合わせることで、ライバルが減ります。
需要がある程度にニッチなレベルになるといいですよね。
私の周りの社会保険労務士として成功している先生の多くも、たとえば「●●業界特化」とか「人事制度メイン」とか、自分の色付けをきちんとされています。
「その1」の「身近な人に売る」ことから、つまづいた場合は、うまく提供するサービスを絞れていない可能性もあります。
逆に、好きなこと1つでは勝負できそうもない場合でも、他に既に持っているものを掛け合わせることで、「そういうのが欲しかった」と言われるサービスを提供できるようになるかもしれません。
自分の「好き」やスキルや能力、強みを棚卸してみるのもいいですね。
【参考記事】
好きなことを仕事にする(2)
http://vitarals.com/2015/10/post-71.html
好きなことを仕事にする方法 その4
遠回りする覚悟を持つこと
会社を立ち上げて12年。
さらに今年、新たな協会まで設立した飯田祥子さんに言われたのは、
好きなことを仕事にする、という考え方は自分中心。
仕事は相手があってこそ成り立つもの。だから、仕事になるのは、「好きなこと」より「自分が得意なこと」や「人の役に立つこと」だと思う。
でも、得意なことや人の役に立つことを繰り返していたら、自分の好きなことも仕事にできるようになる。
そういう順番だと思う。
ということでした。
いくら好きなことを仕事にしたいと思っても、需要がなくては、それは仕事にはなりません。
需要がないのに、好きなことをし続け、でも誰からも評価されないというのは、嫌いな仕事をしてお金をもらい続ける以上に、厳しいことのようにも感じます。
私も、元々は「小説家になりたい」と、小説を年に4,5作書いて投稿しては、予選落ちして落ち込むような生活をしていましたが、「文章を書く」というスキルを、「宣伝文を書く」ことに使い始めると、周りから非常に重宝され始めました。
いずれ小説もお金になるといいな、とは、いまだに夢見ていますが、でも、小説を書く時間は減っても、自分の「書く」スキルが社会にきちんと役立っているという手ごたえを得られる今は、しあわせだと思います。
まずは、自分の「好き」の周辺で、仕事になりそうな種はないか、その可能性を考え、周りからじわじわ、自分の「本当にやりたいこと」に近づいていくのでも、遅くないのかなと感じます。
その頃には、世の中のニーズもきちんと理解できているでしょうから。
好きなことを仕事にするための方法 その5
1つのゴールに到達する道は、何万通りもあると信じること
素敵な仕事人にインタビューしてきて驚いたことは、「好きなこと」を仕事にしている人の半分くらいは、「気づいたら、好きなことが仕事になっていた」というパターンだったことです。
「自分は何が何でも、これを仕事にするぞ」と思って、好きなことを仕事にしてきたわけではないんですよね。
前述のまーしーさんや、夢の空想画家・栗原進さんは、好きなことをやっていたら、周りの人が「いいね」と認めてくれ、依頼が増えていき、「どうせなら、お金をもらって、本格的にするか」と、仕事にしていったというパターンでした。
また、ジュエリーデザイナーで、2人で作る結婚指輪のサービスをされている鎌田さんが、ジュエリー制作を仕事にしたのは、好きだから彫金教室に足繁く通っていたら、「人が必要だから、働かない?」と声を掛けられたからだったそう。
考えてみたら私も、初めは、小説の賞を獲ってデビューする以外、文章を仕事にする方法などないと思っていました。
でも、社労士の資格を獲り、開業塾などに通っているとき、話題作りのために「●●文学賞受賞」などと名刺に小さく入れていたら、「文章書けるなら、メルマガ書くのとか、うちで手伝ってくれない?」と、開業塾を主宰する会社の社長から声を掛けてもらいました。
それがなければ、自分の文章がお金になるほど価値のあるものだとは、今でも思えていなかったかもしれません。
そんなふうに、人生、どこで何があるか分からないものです。
自分で可能性を狭めすぎず、好きなことや得意なことは、色々なところでアピールしたり、逆に、たまには「好きなことを仕事にしたい」などと考えるのをやめて、ただ目の前のことに黙々と取り組んでみてもいいのかもしれません。
安達さんのソングレターアーティストとしての初仕事が決まったのは、安達さんが資格の学校のテレフォンオペレーターの仕事を一生懸命にやっていたときだったそうですし。
何であれ、黙々と、目の前のこと、目の前の人のために頑張ることが、案外、好きなことを仕事にする近道なのかもしれません。