好きなことは飽きるけれど、楽しいことなら飽きない:MATEI代表・鎌田弥隆さん

MATEI鎌田さん

今日は素敵な仕事人として、MATEI代表の鎌田弥隆さんをご紹介します。

MATEI(マテイ)は、代々木上原にある「結婚指輪を手作りできる」工房で、鎌田さんはその代表であり、ジュエリーデザイナーです。

ジュエリーを作る「職人」でありながら、多くの人に「手作りの良さ」を感じてもらいたいと、今は「結婚するカップルが2人で指輪を作る」というその制作過程を大事にされています。

鎌田さんは、前回の飯田さんからのご紹介(ウエディングつながり)で、インタビューさせて頂いたのですが、飯田さんには「鎌田さんは、職人だから」と言われていたので、ぶっきらぼうな、とっつきにくい人だったらどうしよう、と思っていましたが、実際にお会いすると、「2人の幸せな姿を見ているのが好き」という、優しさに溢れた、柔らかい感じの方でした。

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ジュエリーとの出会いは、たまたま

2人で作る結婚指輪MATEI鎌田さんは、ジュエリーの仕事をするようになって15年のベテランですが、最初の仕事として選んだのは、「内装の現場監督」でした。

鎌田さんは、お父様は趣味が日曜大工、お母様はスイーツをよく作ってくれたという「ものづくり」が身近な家庭に育ち、子供の頃から漠然と、「物を作る仕事をする」と思っていたそうです。

そして、「なるなら大工かな」と、東京モード学園でインテリアを学び、現場監督になります。

しかし、休みもあまりない過酷な仕事だったのもあり、少しずつ「監督ではなくて、自分が作る側になりたい」という想いを強くしていきました。

そして、5年ほど続けていた現場監督を辞めたあと、久しぶりにできた自由な時間に部屋の片づけをしていたら、1冊のパンフレットを見つけました。

それは以前、勤めていた会社の事務の女性にもらっていたものでした。

その女性は、ある日、鎌田さんに「いいでしょう?」と結婚指輪を見せました。その指輪は、彫金教室に通っているその女性本人が作ったものだと。

「へぇ、指輪って作れるんですね」

そのとき、鎌田さんの知識はその程度のレベルだったそうですが、なんとなくそのことが頭にひっかかり、「気になるなら、資料、もらってあげるね」と言うその女性から、パンフレットをもらっていたのです。

それが、仕事を辞めて暇になったときに、目についたのです。

行ってみようか。

初めは「暇だしな」という程度の思いだったそうですが、やってみると、その面白さに目覚めてしまいます。

その面白さとは、

「自分で自分の身に付けるものが作れる面白さ。
友達に作って、喜んでもらえるという面白さ」

でした。

ただ、黙々とやっていたから

MATEI鎌田さんその教室は、就職を目指した専門学校ではなく、「カルチャースクールみたいなもの」だったそうです。

でも、ジュエリーを作る面白さに目覚めた鎌田さんは、その教室のスケジュールを優先して、バイトも調整するくらいのめりこみ、周りは女性ばかりだからというのもあり、「黙々と」ジュエリーづくりに打ち込んでいました。

するとその教室を運営する会社が、新しく結婚指輪部門を作ることになり、人手が必要になります。

そこで、ただ黙々とジュエリーを作っていた鎌田さんに「ここで働かない?」と声がかかります。それが、鎌田さんがジュエリーを仕事にすることになったきっかけだったそうです。

今までインタビューさせて頂いた「素敵な仕事人」にも、「まさか自分が、〇〇を仕事にするとは思っていなかった」と話されている方が何人かいましたが、鎌田さんも、仕事になるかならないかは度外視で、ただ好きだから、黙々と打ち込んでいたら、それを人から認められて、「好きなことを仕事にする」道が開いていったタイプなのですね。

自分で決めて、道を切り開いていくというのも格好いいですけれど、こんなふうに周りから応援されて、いつの間にか目の前に道が開いていたというのも素敵だなと、最近思います。

喜ぶ顔が身近で見られる仕事は楽しい

2人で作る結婚指輪MATEIそして、「結婚指輪部門」で働き始めた鎌田さんですが、基本的にはオーダーされた指輪を作る仕事をしていました。オーダーしてくれた人の写真を見ることはあっても、お客さんに会うことはありません。

そのことに最初は疑問を抱かなかったそうですが、「自分で作る結婚指輪」のサービスに携わったのをしたのを機に、「幸せな2人が、楽しそうに指輪を作っている姿を間近で見られる仕事って楽しい」と感じ始めます。

そして、勤めていた会社が次第に大きくなり、やりたいことをする自由が減ってきてしまったのもあり、「2人で結婚指輪を作るサービス」を主軸にした独立を決意します。

色々話を伺って、この「喜んでくれる顔を間近で見たい」「幸せな現場に自分もいたい」というのが、鎌田さんの仕事に対する想いの中心なんだな、ということが分かりました。

独立して3年経った今も「2人で作る結婚指輪」がMATEIのメインのサービスですが、さらに「幸せの現場」に向けて、鎌田さんがじわじわとにじり寄っていっているのが感じられて面白かったです。

というのは、最近は、「フォトウエディング」の現場に出向いて行って、指輪を作っている写真も一緒に撮ってもらう、というサービスもされていますし、今後は、「挙式で指輪を作るというサービスをしていきたい」という野望も持っているそうなのです

指輪には金槌で模様を入れていくのですが、

「結婚する2人だけでなく、参加者に一打ずつ刻んでもらえば、素敵な思い出になる」

と。

本当、そうですよね。

私も、結婚する前に、鎌田さんや飯田さんや、ウエディングの現場でよく歌を歌われているというソプラノ歌手・竹林加寿子さんやソングレターアーティスト・安達充さんなどに出会っていたら、もっと素敵な結婚式ができていたかも、と思います。

営業は、共感してくれる人を探す活動

2人で作る結婚指輪MATEIそんな、将来の広がりを見つめながら、今は様々な人とのコラボなどを画策しているという鎌田さんは、

「一人じゃ大したことはできないからね、色々な人の力を借りて、広げていきたいと思っている」

と話され、実際に写真スタジオにアプローチしたり、飯田さんが主催されているウエディング業界のセミナーなどに積極的に参加されたりもしているそうです。

でも「営業は苦手」とのこと。

営業とか、何していいか、分からないし。
でも、新しい出会いとか、新しくウエディングのことを知るのは新鮮で楽しい。
そういう、“楽しい”を大事にしたいなと思っている。

無理に“営業しよう”と思うのではなくて、絶対誰か共感してくれる人がいるだろう、という気持ちでいればいいと思って。

私も営業は苦手ですが、営業が苦手な人は、営業に何か重苦しいイメージを持ちすぎているだけなのかもしれません。

もっと気楽に、営業は「自分の想いを広げる活動」「一緒に何かできそうな人を探す活動」くらいに考えれば、もうちょっとフットワークが軽くなるのかもしれませんね。

楽しもう、と思うことが大事

2人で作る結婚指輪MATEI鎌田さんは「手作り」であることや、「喜んでいる人の姿を身近で見ること」にこだわりを持っていらっしゃいますが、でも、一番大事にしているのは、この

「楽しむ」

ということなのかもしれないな、とお話を伺っていて、感じました。

鎌田さんのインタビューで一番私の心に残ったのは、こんな言葉です。

それは、私が「好きなことを仕事にするにはどうしたらいいと思いますか?」と訊いたときの答えです。

好きなことだけだと、飽きるんじゃないかな。
でも、楽しいことは、飽きない。
だから、楽しいことを求めて、広げていくことが大事じゃないかと思う。

鎌田さんは、元々はジュエリーを作ることが好きだった。
でも、オーダーメイドのジュエリーを作っているだけだと、少し飽きてきた。
そんなとき、お客さんが指輪を作りながら喜んでいる姿を身近に見て、「こういう仕事は楽しい」と思えた。
それを仕事にしたから続いているのだ、ということなのですよね。

もしかしたら、この仕事に飽きることがあるのかもしれないけれど、でもだからこそ、次はフォトウエディングだ、次は挙式で実際に参列者にやってもらおう、と広げていくことを考えられる。

新しく広げていくことで、今の仕事にも必ずプラスは出てくるだろうし、だから、“今の仕事を完璧にしてから次”というのではなくて、どんどん広げていってもいいんじゃないかな、と思っている。

フリーでやっていくために大切なことは?

2人で作る結婚指輪MATEIそんなふうに鎌田さんが「仕事を楽しむこと」を大切にしているのには、こんな訳があるそうです

結婚というのは、人生のゴールではないけれど、確実に幸せのピークの1つではあると思う。
そういう幸せに関わる仕事だからこそ、自分自身が満たされているというのも大事なことだと考えている。

そして鎌田さんは、普段からできるだけポジティブに考えるように心がけていること、そのために「何があったとしても、起こったことは必然」と思うようにしていることなど、色々教えてくださいました。

毎日会社に出社し、同僚と接するのが当然の会社員生活と比べ、自ら積極的に動かないと人と会う機会も減ってしまうフリーの立場だからこそ、自分の気持ちのコントロールには気を遣っているという鎌田さんの姿勢からは、やっぱりどこか「職人的」な潔さみたいなものも感じました。

また、鎌田さんに「フリーでやっていくために大切なことは何だと思いますか?」と訊いた答えは、

人の意見を踏まえても、それに左右されすぎないことかな。
それはダメじゃない?などマイナスのことを言われても、できる!と決めたことは、絶対やり通すようにしている。

ということでした。

結婚する2人が自分たちで結婚指輪を作るというサービスはとても素敵ですが、やはりオーダーメイドで、依頼されて指輪を作る方が「効率的」です。
そのため、2人で作る結婚指輪のサービスをしている他の会社には、オーダーメイドやセミオーダーメイドなどをしているところもあります。

それに、まだ結婚指輪を自分たちで作るという考え方は、メジャーではありません。

そんななかで、自分のポリシーを貫き、仕事にしていくのには、やっぱり覚悟が必要なのだということが、鎌田さんの言葉からは伝わってきました。

でも、
「手作り指輪を軸に、もっとウエディング全体に関われるように、仕事を広げていきたいとも思っている」
と話す鎌田さんには、きちんと明るく、楽しいビジョンが見えているようでした。

自分の軸足をしっかり持って、そこから多方面に広げていく、というのは素敵ですよね。

鎌田さんのこれからの広がりも楽しみです。

素敵な言葉をたくさん、ありがとうございました!

 


◆2人で作る結婚指輪 MATEIのサイト → http://www.matei.jp/

素人が手作りしたとは思えない本格的なリングが並んでいて、びっくりします!

 

◆鎌田さんのブログ → http://matei.jp/blog/

素敵な写真満載のブログ。
幸せな指輪づくりの様子が伝わってきます。

 

◆MATEIのfacebookページ → https://www.facebook.com/MATEIjewelry/?pnref=about.work

ブログの更新情報などが見られます。

 

◆フォトウエディング&ふたりで作る結婚指輪 → http://matei.jp/blog/?p=2952

鎌田さんが写真スタジオの方と連携して始めた新サービス。
指輪を作っているシーンまで含めた写真集ができます。

 

◆愛鎚で作る結婚指輪 → http://www.matei.jp/aizuchi.html

結婚指輪を作る道具(金鎚(愛鎚/AIZUCHI))から作ろう、というMATEIオリジナルのサービス。
「この愛鎚を使って、結婚指輪の次はベビーリングを、さらにその子供が結婚するときにまた結婚指輪を……と、代々受け継がれるものになったら」という鎌田さんの素敵な想いが詰まったサービスです。

2人で作る結婚指輪MATEI

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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>> メインサイト「凪」



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