前回は、「好きなことを仕事にする方法5選」という記事をアップしました。
好きなことを仕事にするといっても、会社の中でそれを実現させられる人もいれば、会社から独立する選択をする人もいるでしょう。
会社にいた方が、「規模の大きいことができる」「自分の得意分野に集中できる(フリーになると、最初は自分で経理や総務などもしないといけませんし、人を雇ったらそのマネジメントも必要になります)」「外部から刺激を受けられる」などのメリットがある場合もあるでしょう。
でも逆に、自分が思っている方向と会社の方針がずれてくるということも起こります。
また、今の仕事とはまったく違う分野でチャレンジしたいという気持ちを持つ人もいるでしょう。
そういうとき「独立」「起業」「開業」など、フリーで働くという選択肢が目の前に現れてくるはずです。
でも、フリーで働くというのは、正直、決して楽なことではありません。
(その「楽ではない」ところを楽しいと思える人が、フリーランスに向く人なのでしょう)
そこで、今回は、素敵な仕事人にもらった回答なども合わせて、「フリーで働くために大切なこと」について書いてみました。
Contents
フリーで働くために大切なこと その1
人の言葉より、自分を信じて選択すること
「フリーランスとして仕事をしていくために大切なことは何だと思いますか?」という質問をさせて頂いた素敵な仕事人のほとんどが、「人の意見に左右されないこと」を挙げていました。
ジュエリーデザイナーで2人で作る結婚指輪のサービスをされている鎌田さんは、分かりやすく、
人の意見を踏まえても、それに左右されすぎないことかな。
それはダメじゃない?などマイナスのことを言われても、できる!と決めたことは、絶対やり通すようにしている。
と言われていましたが、
「好きなことを仕事にする方法5選」でも取り上げたソングレターアーティスト安達さんの
プロという言葉の定義もしたもの勝ち。世の中的に「それってプロ?」と言われるレベルだって、それはその人の“プロ”のレベルの話をしているのであって、自分の定義する“プロ”はこういうもの、と決めちゃえば、プロだから。
という言葉も、世間の常識などに惑わされず、自分がこうと決めたことをやっていけばいい、ということを伝えてくれています。
「会社を辞めて、独立したい」と言った場合、会社員経験しかない友人などは「それで稼いでいけるの?」など、大抵は否定的なことを言います。
でも、そこで「やっぱり無理かな……」と思ってしまうか、「いや、やるんだ」と思えるか。
もしかしたら、友人の否定的な言葉は、あなたにフリーで働く素養があるか試す、最初の神様からのテストなのかもしれません。
と、思うくらい、フリーになったら、「常識や人の目を取るか? 自分の信念を取るか?」を試され続けます。
でも、だからこそ、
起業は、自分との関係性を深める最高の手段
という、逆転発想プロデューサー・さわとんの言葉も出てくるのでしょう。
試され続け、自分と対話し続けざるを得ないフリーで働く生活も、悪くはないです。……と、私は3年半経って、ようやく言えるようになったかな(笑)
フリーで働くために大切なこと その2
失敗しても当然と思って、まずは動くこと。
小さなところから試し、改善していく。
逆転発想プロデューサー・さわとんは、こんなふうに言われていました。
素直に、やりたいと思ったことを、小さなことでもいいからやってみること。
失敗を重ねるしかない。
失敗したくないとか、初めから大きく成功したいという人も多いのだけど、失敗するしかない。
小さなところから少しずつ試しながら、徐々に大きくしていくのが理想。失敗しても大した痛手でないようなところから、ちょっとずつやっていけばいいと思う。
そう言うさわとんは、8年半前にカウンセラーとして起業し、でも、なかなかクライアントができず、「困った」と思ったときに、自身の鬱の経験を生かし「うつ専門カウンセラー」と名乗りはじめます。
それが好評で、クライアントも増え、書籍の出版にもつながり、NHKなどに出演するほどになります。
そんなさわとんも、「うつ専門カウンセラー」の肩書を捨ててみたり、新しい協会を作ってみたり、今度は起業家コンサルを始めたり……決して、一か所にとどまらず、行動をおこしまくっています。
私が大好きな作曲家&ピアニスト(でも本業は大学教授)の小松正史さんも、
心が動いたらやってみる。
やってみないと、分からない。
やってみてダメだったら、違う方法を考えるだけ。
と言われていました。
小松さんは大学で、「音のフィールドワーク」を専門に研究・教育されています。
ですので「音」と無関係の仕事ではないのですが、14年前から、自身が作曲した曲をピアノ演奏し、CDの形にして流通させるということも行っています。
その音楽は、京都タワーであったり、丹後郷土資料館であったり、マンガミュージアムであったり、実在する場所に合うものであることがほとんどです。
今は小松さんの活動もメジャーになってきて、相手から依頼されることも多いそうですが、最初は「ここに必要なのは、こんな音」と考えて、勝手に音楽を作り、「ここで流してくれませんか?」と提案に行っていたそう。
小松さんは大学教授なので、それは「アクションリサーチ」という研究の一環だとも話されていましたが、でも、大学教授という肩書があっても、なかなか「ここに合う音楽を作ったので、どうですか?」と持って行くというのは、勇気がいります。
しかも、施設の「音環境の整備」には予算が採られていないことが多く、あまり経済的に潤う仕事ではないそうです。
それでも、小松さんは言っていました。
音楽を作って、ピアノ演奏するという自分の好きなことが、地域活性という社会貢献のためにどこまで使えるのか、その限界を確かめてみたいからしている。
小松さんは、さらりと言われていましたが、「限界を確かめるためにする」という言葉は、失敗を恐れている人には、決して言えない言葉だと思います。
傍から見ると、成功している人は、軽々とその場に到達したかのように見えることもあります。
でも、ほとんどの人、特に新しい分野を切り開いている人は、本当にたくさんの地味な「トライ&エラー」を繰り返しています。
そこに目を向けられるかどうか。そこに目を向けて、自分も同じようにコツコツやっていけば、成功できるかもしれないと思えるか。
フリーで働く人には、それが重要なのかもしれません。
フリーで働くために大切なこと その3
自分の北極星を探し、見つけたら、その方向に進み続けること
ウエディング業界で20年以上頑張っていらっしゃる飯田祥子さんは、「フリーランスとしてやっていくのに大切なことは何だと思いますか?」という質問に、こう答えてくれました。
ぶれないこと。
ぶれないためには、形のない夢を持つこと。目的を見失わないことが大切。
出版する、売上を年〇万円にする、など、形の見えやすい夢だと、それを叶えたあと、次に進むべき方向を見失ってしまうことがある。でも、もっと先に、北極星のような到達はできない「夢」を掲げ続けられたら、ぶれずにずっと同じ方向に進んでいかれるのだと、飯田さんは話されていました。
カウンセラーでもあり、起業家支援も始めたさわとんは、色々な活動をしてきたけれど、自分の中心に
「自分を人生最強のパートナーに」
というメッセージを持つようになって、すべての活動はそのためのものだと迷わず言い切れるようになったと話していました。
そういう北極星のような夢であり、自分の中心のメッセージであり、目指すべきものを、最初から分かっている人は、案外少ないのかもしれません。
でも、自分が一番大切にしている核は何だろうと日々考えながら、自分なりの北極星を探しつづけ、一度見つけたら、そこに向かって進んでいく。
フリーで働くことを選んだ人には、それがきっと大事なんだろうなと思います。
フリーで働くために大切なこと その4
人とのつながりを大切にすること
後輩の応援によって、思いがけないところに道が開け、好きな音楽を仕事にできたというソングレターアーティストの安達さんからは、本当にたくさん素敵な言葉をもらいましたが、なかでも印象に残ったのは、天国と地獄の長い箸の話でした。
長い箸を「自分が食べる」ことだけに使おうとすると、争いが絶えず、みんながひもじい思いをする地獄になります。
でも、その箸を「人に食べさせる」ものとして使えば、みんながお腹いっぱい食べられ、しあわせになる、と。
そして安達さんはその箸とは、「自分の才能のことだと思う」と話してくれました。
「Give and Take」という言葉は聞きますが、「Take」を考えない、「Give」だけを考えた行動を、自分が楽しいからというだけでしている人に、思いがけない道が開けたり、人からの思わぬ応援が起きたりするんだな、と思います。
独立してしばらくは、「とにかく稼がないと」という思いで、いっぱいいっぱいになってしまう人も多いのですが、長い目で見て、本当の「縁」を育てていかれた人が、最後には成功するのではないかと思います。
人脈って普通は、すごい人と知り合いになることだと思われている。でも、そういうときの人脈って、その人から何が得られるかというギラギラした感じでしょ?
でも『本当の人脈というのは、自分がつながっている人がすごくなっていくことなんだ』と言われて、すっとその言葉が入ってきた。
という安達さんの言葉も、自分には響きました。
あと、最近では、2人で作る結婚指輪のサービスをされている鎌田さんの「営業」についてのこの言葉も、気づきになりました。
無理に“営業しよう”と思うのではなくて、絶対誰か共感してくれる人がいるだろう、という気持ちでいればいいと思って。
慣れない人が営業活動をすると、なんだか嫌らしくなってしまって、失敗するものですが(ま、そんな失敗も成長の大切な糧ですけれど)、人とのつながりは、「共感してくれる人や同じベクトルで一緒に何かしてくれそうな人を探そう」というくらいの、ゆるい気持ちで作っていく方が、逆にうまく行くのかもしれません。
フリーで働く人にとって、本当に人間関係は重要です。仕事の話はたいてい人から来ますし、意外と社会は狭くて、全然関係ない業界のAさんとBさんが実は知り合いだったりしますからね。
フリーで働くために大切なこと その5
自分らしさを見失わないこと
これは「その1」ともつながることですが、どれだけ常識だとか、一般に思われている「成功」のイメージから自由でいられるか。
それが、フリーランスとして幸せに働けるかどうかを一番左右する要素だと思います。
「会社を作って、人を雇えるようになる」「年収2000万円を超える」「大企業の顧問契約を取る」など……社労士の世界では、一定の「成功」のイメージがありました。
でも、私が一番素敵だと思う社労士の桑原先生は、開業からもう13年ほど経っていますが、いっときアルバイトを雇っただけで、「自分は一人でやっていく方が合っていると思った」と、今も一人で活動されています。
「成功」のイメージに捉われることは、会社に勤め、就業規則や会社のルールに縛られること以上に、不自由なことだと思います。
もし私がフリーになってすぐの人に一言アドバイスをするなら、「せっかくフリーの立場になったのなら、自分らしさを追及しましょうよ」ということが一番言いたいことかな。
人はどうだから、世間で言われている平均はこれくらいだから、独立した手前これくらいは……などは、一度脇に置いておいて、自分はどうしたいのか、どうするのがベストだと考えているのかをしっかり考えること。
私自身、結構人の目を気にしたり、人からの評価を求めて行動する傾向にある人間なので、あえて「自由奔放」を心がけています(笑)
そして、起業してすぐは自分を大きく見せることに神経を使ったりしていましたが、それも等身大の自分でいいな、無理してもろくなことはない、と最近思います。
ラジオ番組も持っているジャンボさんのこんな言葉も素敵でした。
自分の表も裏もちゃんと見せる。
ダメな部分や苦手なところもきちんと出すと、相手のダメな部分を受け止めることができる。そこから本当の信頼関係が始まると思っている。弱いところを自分が出せるようになったことで、人とより深くつながることができるようになった。
数は減ったかもしれないけれど、よりあったかくて笑いあえる仲間が残った。
ここで私が書いているのは、「短期間で収入を上げ、成功する方法」ではありません。
でも、「長くしあわせにフリーで働いていくためのヒント」ではあると思っています。
長文になってしまいましたが、何かあなたの心に届く言葉があったら嬉しいです。