本当の夢を思い出してもらうためのお手伝い:夢の空想画家・栗原進さん

栗原進

今日は「素敵な仕事人」として、夢の空想画家・栗原進さんを紹介したいと思います。

このブログで紹介する方は、肩書からオリジナルな方が多いのですが、「夢の空想画家」というのも気になる肩書ですよね。

栗原さんの仕事が、具体的に何なのかというと、「人の夢をヒアリングして、絵にする」ことです。その絵のことを栗原さんは「ユア ディレクション ピクチャー(通称:夢ピクチャー)」と呼んでいます。意訳すると、「あなたの人生の羅針盤となる絵」ということでしょうか。

自分の夢を明確にしようという話は、自己啓発書を数冊でも読んだことがある人なら、「分かっているよ」ということでしょう。でも、「夢はできるだけ具体的に思い浮かべて、五感で味わった方がいい」などと言われても、なかなか普通の人はできないものです。

かくいう私も、いっときは望月俊孝さんの「宝地図」の本を読み、コルクボードを買ってみたものの、いまいち良い「宝地図(ヴィジョンボード)」が仕上がらず、がっかりした経験があります。

Contents

自分の夢が1枚の絵になる

以前「素敵な仕事人」としてご紹介したソングレター・アーティストの安達さんは、「自分で作詞・作曲なんて無理」という人に代わって、人の想いを音楽に翻訳し、オリジナルの音楽を「手紙」や「プレゼント」として活用してもらうことを目指されている方でした。

栗原さんの仕事もそれに少し似ています。

栗原さんのされていることも、あまり表現が得意ではない人の形になりきらない想いを「絵」に翻訳する仕事なのだと思います。

「いつか、こんなことができたらいいな」「こんな暮らしができたらいいな」という夢はきっと誰でもが抱いているはずです。

でも「自然が豊かなところで暮らしたい」と漠然と思っている人は多くても、「海のそばの、近くに花の咲き乱れる公園もある場所に三階建ての家を建てて、そこの間取りは……」など、本当に具体的に夢を描けている人は少ないはずです。

そこで、栗原さんの登場です。

栗原さんは絵を頼まれると、じっくり1時間ほど「夢」をヒアリングします。

その内容は主に……

1.テーマ
夢実現への題目、BIGキーワードなど

2.ロケーション
山、海、川沿い、湖、森林、街中、乾燥地、世界遺産……etc

3.時間帯・季節感

4.その他
建築様式、こだわりのアイテム、ペット、パートナー(似顔絵)等、
アナタだけの特別な夢を叶える必要アイテムや対象。

なのだそうです。

そういった質問に答えていくと、最終的に……

夢ピクチャー1

 

夢ピクチャー

 

こんな感じの絵が仕上がるそう。

初めに水彩パステルでざっと色を付けたあとは、色鉛筆でひたすら細部を描きこんでいくという緻密な世界です。

自分の夢を明確にするためにもいいですが、プレゼントとして活用するのも素敵ですよね!

絵を仕事にするなんて思っていなかった

栗原さんの仕事は、「それ、素敵。頼みたい!」と思うものですが、同時に「そんな仕事もあるんだ?!」と驚きもするものですよね。

そんなユニークな仕事を栗原さんはどうして始めようと思ったのか、訊いてみました。すると意外にも、きっかけはただの思いつきの行動だったそうです。

絵は子供の頃から好きだったけれど、仕事にしようとは思っていなかった。というか、仕事にできるものだとはまったく思っていなかった。僕は美大を出ているわけでもないし。

でも好きだから、描いてはいた。

あるとき、知り合いと飲んでいたら、その人がすごく熱く将来の夢を語りはじめたんだよね。で、その場ではただその夢の話を聴いていたんだけど、2,3日経った頃、なんかあの聴いた話を絵にしてみようかと思い立って、なんとなく描きはじめてみたんだ。

で、仕上がったからには、どうせなら本人に見せようと思って。本人は驚いていたね。

そんなやりとりを、当時SNSの主流だったmixi上でやっていたんだけど、そうしたら、僕たちのやりとりを見ていた人が『自分も描いて欲しい』と言い始めて。

で、無償で20人限定って感じで描いたんだよね。

それだけ反響があったにも関わらず、栗原さんはまだそのときも、「自分の絵が仕事になる」とはまったく考えていなかったそう。

でも、「限定20人」のなかに、描いてもらうならお金を払うという人が現れ、「いらないですよ」と栗原さんが断っても、「自分がお金を払って描いてもらった第一号になりたいから」と、お金を払ってくれました。

「それが一つの転機だったかな。そこから少しずつ、ビジネスとしてきちんとこの夢の絵を描くということに取り組んでいこうと思い始めた」

先週、「素敵な仕事人の共通点 その8」として、素敵な仕事人は「まず目の前の人、目の前の一歩」を大切にして、先に進んでいくということを書きましたが、栗原さんもまさにそうだったのだな、と思います。

先に「大儲けをするぞ。儲かる商売はないかな」などと考えて動くのではなく、ただ気になったことを行動に移し、別にお金のためではなく、おもしろいからやっていたら、気づくとそれが「お金」にも結びつく「仕事」になっていた。

今までに紹介した「素敵な仕事人」にも何人かそんな道を通ってきた方がいましたが、こんなふうに仕事が生まれていくというのは、素敵ですよね。

みんなが大事な構成員

栗原さんに描いてもらう絵が、海のそばか山のそばか、湖のほとりか……は、あなたの夢や理想次第ですが、でも、一人ひとりの一つひとつの絵は、独立しているようで、していないのだそうです。

どういう意味かというと、栗原さんの頭のなかには一つの夢の「町」のイメージがあり、すべての人の夢はそこで叶えられているのだそうです。

夢ピクチャー 全体像
↑これがその街の全体像

だから、一人の人の夢の絵のなかに、他の人の夢の一部が紛れ込んだりもしていたり、どの絵にも必ず同じ特徴的な山が描かれていたりするのです。

面白いですね、と言ったら、栗原さんはその理由をこんなふうに語ってくれました。

「僕が描くのは、夢の話だけれど、やっぱり現実にしてもらいたいから。
みんなで夢を叶えることで、ひとつの町興しをしているイメージ」

なんか素敵な言葉ですよね。

栗原さんは、ブログを読んでもかなりヒールで硬派で、「僕はあまり多くの人に理解はされない人間だから」とインタビュー中もしきりに言われていましたが、それはただの照れであって、本当は心のなかにとてもピュアで、温かいものを持った方なんだろうな~、と感じました。

でなければ、こんな素敵な絵は描けません。

どんな人の、どんな突拍子もない夢も、「なるほど、そういうのが夢なんですね」と受け止めて、絵にしていくということも。

そうそう、話は少し変わるのですが、インタビューのなかで、最近、鬱など心の病を抱えた人も多いよね、という話になったのですが、そのときの栗原さんの言葉もとても印象的でした。

「心を病んでいる人の中には、周りの目を気にして、びくびくしているような人も多いように思うけれど、もっと堂々としていていいと思うんだよね。

そういう人だって、大事な世の中の構成員なんだから」

心の病気については私も栗原さんも専門ではないので、あまり踏み込みませんが、でも、この話のときに栗原さんがさらりと言った「大事な世の中の構成員」という言葉は、なんだか胸に響きました。

世の中には色々な理由で自分に自信を持てなかったり、自分なんて役に立たないと思ってしまったり、上手く社会に溶け込むことができなかったりする人もいます。

でも、成功している人も、活躍している人も、落ち込んでいる人も、ちょっとドロップアウトしてしまった人も、分け隔てなく同じ「構成員」だと思えるかは、結構大事な視点なんじゃないかなと感じました。

多くの人がそういう視点を持つことで、世の中の生きづらさは確実に減っていくんじゃないか、というか……。

夢が具体的に描けない人には?

栗原さんのところに絵を依頼されに来る人は、ある程度、夢を持ってくるわけですが、でもなかには、いまいち自分の夢がどんなものか描けていない人もいるそうです。

そういう場合、どうするのですか? と訊いてみたところ、こんな言葉が返ってきました。

30歳の人なら、今まで30年間生きてきた自分がいる。
そのなかで何にも興味を持たなかった人なんていない。
なにかしらにときめいたり、好きだったりしたことがあるはずでしょ。
だから、それを思い出してもらうようにしている。

たとえば子供の頃はプラモデルを作るのが好きだったという人がいる。
でも、大人になるにつれて、プラモデルを作っても仕事に繋がらないし、何の足しにもならない、くだらない趣味だと思うようになってしまう。
でも、プラモデルを作ることにニーズがないかどうかなんて、やってみなければ分からない。

僕だって、自分が絵を描くことを仕事にするなんて思っていなかった。
でも、自分の絵をただのガラクタだと決めつけてしまっていたら、今の自分はいなかった。

栗原さんが夢ピクチャーのターゲットとして設定しているのは大きく3つのタイプの人で、

  • 社会に出て1,2年目で、なんとなく就職したけれど、実は何も考えていなかったなとあとから気づいた人
  • 60歳の定年を目前に控えて、定年後はどうしたらいいんだろうと漠然と思っている人
  • 自己啓発セミナーなどのセミナージプシーになって、自分を見失いかけている人

なのだそうです。

栗原さんも、大学を出て就職したものの組織に合わず、退職してフリーになったという経験があるそうですが、とりあえず気になったので、

「社会人なって1,2年の人にヒアリングして、もっと別にやりたいことがあった、と見えてきたら、今の仕事をやめちゃえって言うんですか?」

と訊いてみました。

「いや、急に辞めろとは言わないけど。でも、辞めなくても、頭のどこかに将来のビジョンがあるかないかでは、その先は変わってくると思うんだ」

なるほどな、と思いました。自分は本当はこんなことをやりたいと自分で分かっていれば、会社を辞めなくてもそれに近い部署に移れるように努力したり、週末や夜にセミナーや講座に参加して勉強したり、人脈を作ったり、なにかしらはできるんですよね。

やっぱりビジョンを掲げるって大事です。そしてそれが、ぱっと一目で伝わってくる絵が手元にあれば、本当に素敵ですよね。

セミナージプシーについては、私はそこまで具体的な人をイメージできなかったのですが、栗原さんは、何人もそういう人を見て、歯がゆい思いをしているようで、そこにはかなり強い想いがあるようでした。

「そういう人に、本当の夢を思い出させてあげられる手伝いが、絵を通してできたらいいなと思っている」

と、真っ直ぐな姿勢で伝えてくれました。

話を聴いているうち、この人は商売としてではなく、天職として、本当に人の夢を叶える手伝いをしたいと思っているのだなということが、ひしひしと伝わってきました。

栗原さんに将来の夢を訊いたところ、「もっといいアトリエが欲しい」ということも言われていましたが、そのあとに

「自分が描いた夢を実現している人に会いに行く旅をしたいな」

と言われていたときの表情は、とても幸せそうでした。

本当に、夢を叶えた人ばかりが住んでいる素敵な町ができたらいいですね。

 

絵だけではなく、ライター業もされ(元々は音楽ライターだったとか)、さらに自身でもギターを弾いたり、歌ったり、音楽活動もされている多才な栗原さんからは、いろいろ面白いお話を伺えました。
楽しい時間をありがとうございました♪


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他のサイズにも対応できるそうですよ。
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素敵な仕事人の定義と一覧

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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栗原進