自分の「まんなか」を取り戻す:個性筆インストラクター 佐藤由美さん

佐藤由美さん

今日は素敵な仕事人として、個性筆インストラクターの佐藤由美さんをご紹介します。

と、紹介しておいてすぐになんですが、由美さんは本当は、「個性筆インストラクター」などという一つの肩書には、とても収まらないような、すごい深さと幅を持った、素敵な女性です。なんというか、「職業・佐藤由美」という方が、しっくりくるような。

そして自身が様々な経験をしてきたからか、とても柔らかい、ふんわりとした雰囲気を出していらっしゃり、初対面でありながら、長年の友達に再会したかのような気分で、つい寛ぎ……気づいたら、長居しすぎてしまいました(^_^;)

そうそう、インタビューさせて頂いたのは、由美さんがお住まいの佐倉(千葉県)にある「おもてなしラボ」という場所だったのですが、そこも古い家具屋を改装した、地域の人が気軽に集まれるような場所で(泊まるスペースや、イベントができるスペース、図書室のような部屋もあります)、そこに流れる空気もとてもゆったりしていて、心地よく、本当に、「うわっ、気づいたらこんな時間!」という感じだったのです。

様々な経験を融合させた結果のオリジナルな仕事

佐藤由美さん作品由美さんの経歴を、おおまかに紹介すると、こんな感じの人生を歩んできた方です。

 主に外科やオペ室担当の看護師として25年間忙しく、充実した日々を送るも、病院の経営方針の変化に違和感を覚え、自分のやっていることとやりたいことの差が大きくなるなかで心を病み、休職。

 休職中、自身でパステルアート・アロマセラピーなど多くのセラピーを体験すると同時に、代替療法各種を併用した訪問介護を行う“NPO国際ヒーリング看護協会”と出会い、その手伝いもするようになる。そのなかで、病院ではチューブに繋がれ、苦痛を感じながら死を待つだけだったような人が、アロママッサージなどによって、死の最期の日まで笑顔で過ごす、素敵な看取りを何件も経験する。

 またその頃、路上で「書き語り」(あなたの名前を描きますという)をしている草刈さんという方に出会い、「看護師・佐藤由美ではない、人間“由美”」を取り戻す。そして、草刈さんのされている「個性筆」教室に8回も通い、自身も個性筆教室を開くことを許される。

 その頃から、自分の人生を楽しむことを許し始め、自分が人生を楽しめるようになると、子供や家族、周りの人まで勝手に変わっていくことに気づく。

その気づきと、自身を癒してくれた個性筆、パステルアート、アロマセラピーや、病院の看護ではできなかった癒しを提供するヒーリングタッチなど、様々なものを融合した、本家の草刈さんとはまた違う、オリジナルの「個性筆教室」開催に行きつく。

 現在は、佐倉のおもてなしラボなどで個性筆教室を開催することをメインに、パステルアート教室の開催、個性筆やパステルの作品販売や、作成依頼に応える仕事をしている。

……と、おおまかにまとめても、こんな文章量になるくらい、本当に、本当に様々なことを経験し、それを今、上手に融合させ、由美さんにしかできない仕事をされている「素敵な仕事人」です。

個性筆は「ありのままの自分」とつながる講座

佐藤由美さん作品 由美さんのことをただ「個性筆インストラクター」と紹介すると、「あぁ、なにかのアーティストなのね。まぁ、アーティストなんて、みんな好きなことを仕事にしている人でしょう」と思われてしまうかもしれません。

確かに、由美さんの作品はどれも、とても素敵で、そういう意味では、由美さんは間違いなく“アーティスト”です。

でも、上記の紹介文を読んで頂いたら分かるように、由美さんの「個性筆教室」というのは、ただ、“おしゃれな文字を書いて、アートに浸りましょう”というような、表層的なものではないのです。

そうではなくて、個性筆やパステルアートという表現活動をすることによって、本来の自分を見つめ、少しずつ「ありのままの自分」を認め、取り戻していきましょう、という意図の、セラピーであり、カウンセリングなのです

由美さんは元々は看護師だと紹介しましたが、特にオペ室のナースでしたから、普通の人がまず見ることのない“人間の体の内部”を知っています。そんな知識を生かした、体の使い方とか、体の緩め方などから、講座は始まると言います。

体をほぐすために、みんなで稲わらや麻をなうこともあるとか。

また由美さんは、個性筆教室の時間は、「自分を感じてもらう時間にしたい」と言われていました。

仕事を持っていたり、子育て中のママだったりすると、普段はその役割に追われて、自分としっかり向き合う時間もなく、気づくと「頭でっかち」になっている。

だから、自分を感じる時間が大切なのだ、と。そして、自分をしっかり感じ、自分が満たされると、家族や周りの人は自然と変わってくるそう。

「自分を感じるために、体とも向き合ってもらう。
たとえば、梅雨の時期に苛々するのは、決して、その人の性格のせいじゃない。
梅雨の時期は、湿気のせいで、脇の下に老廃物が溜まりがちだから、それをリンパに乗せて流してやる。それだけで、本当はすっとする。
そんな体と心のつながりみたいなものも、体験してもらう」

本当に、看護師時代の経験と、それ以降の様々な人やセラピーなどとの出会い、すべてが融合された、これは由美さんにしかできない講座なのです。

自分が楽しんで、それでお金をもらってもいい

佐藤由美さん作品 ただ、「実は看護師の世界って、縦社会だし、何時に何を誰がやってという役割分担もしっかりあって、サラリーマン社会なのよ」と由美さんは言われれていましたが、そんな安定しているけれど、かっちりした仕事をしていた由美さんは、最初、自分の作品に値段をつけて売るとか、個性筆の教室に1万円以上の値段をつけることにためらいもあったとか。

そんなときに背中を押してくれたのは、草刈さんの親友でもあり、コンサルタントのまちゃさんという方でした。

その方は、由美さんに、個性筆の指導を本当に仕事としてしたいのか決意を確かめたあと、

「作品が売れても、売れなくても、講座に人がたくさん集まっても、集まらなくても、由美さんの価値に変わりはないよ」

と言われたそうです。その言葉で、由美さんは、自分が値段をつけられないのは、売れなかったらどうしよう、人が集まらなかったら恥ずかしいという想いがどこかにあったからだと気付きます。

そして、「集まらなければ、その時間、その場所で、自分の作業を進めればいいだけだ」と腹をくくり、募集をかけてみたところ、ちょっと勇気を出してつけた値付けでも、人はちゃんと集まってくれ、今は講座が収益の中心になっているそうです。

厳しい仕事現場にいた人ほど、「楽しいことでお金をもらっていいのだろうか」という迷いを抱くことが多いように感じますが、前回のインタビューのまーしーさんも言われていたように、「まず自分が楽しむ。仕事はその広がりのなかにある」というような考え方が、素敵な仕事人になるためには、とても大切なのかもしれませんね。

それから、由美さんの講座には、「自分の枠から出たい」「もっと突き抜けたい」という想いを持った方も多くいらっしゃるとか。

でも由美さんのこんな言葉も素敵でした。

壁も枠も、自分でつくった大事な一部。
壁も枠もありのままの自分として受け入れてしまえばいい。

たとえば丸い枠を切り抜いて、その中にいっぱい文字を書いてもらう。
で、枠を外して全体を見てみると、枠の外はみんな、余白になっている。余白って大切。

また、

枠を作って、粉にしたパステルでそのなかに色を重ねていくと、枠をはずしてみたとき、思ってもみない魅惑の色になる。フリーでかくより無限の色。

とも。

色々なものを全部受け入れたとき、今まで見たことがない世界が現れるのかもしれませんね。

そして「つなぐ」のも大切な役割

佐藤由美さん作品 と、由美さんのお仕事の中心は「個性筆インストラクター」なのですが、それ以外にもたくさんの活動をされています。

たとえば、田んぼを借りて耕してみたり、笛を習ってみたり、美塾という自分らしい美しさに気づく講座に参加してみたり……。

そして、そういう活動やそこで出会った人の魅力を、特別意識するわけではなく、ただ「楽しいよ」とか、「すごいおもしろい人なのよ」と伝えることで、外に発信していっています。

その発信が結果として、人と人をつなげる活動になっている。新しい仕事が生まれたり、イベントになったり、と。

以前、絵本の仕事を頼まれたときには、「でもその内容だったら、私の絵ではなくて、この作家の絵の方がいいんじゃない?」と、自分の好きな作家の方を紹介したこともあるそう。

それで、「そうすることで、一つ新しい仕事が生まれた」と、喜んでいる。自分の仕事が減ったのではなくて、この世に新しい仕事が一つ生まれたのだ、と。この発想もすごく素敵ですよね。

由美さんは看護師時代に心を病み、休職し、暇になったとき、こんなにただ時間をもてあましていていいのだろうかと感じ、神様に「どうか私をもっと使ってください」とお願いしたとか。

このエピソードも素敵ですが、本当に今、由美さんはちゃんと神様の望みどおりに動き、仕事をされているんだな、と思いました。

「頑張っていないと自分はダメだ」から抜け出せると……

佐藤由美さん作品ただ、今はとっても自然体で、毎日楽しく生きているのが伝わってくるや柔らかい雰囲気の由美さんですが、子供時代は意外にも、「私なんかが生きていていいんだろうか」と思うような子どもだったとか。

そして、なぜか選択のときには「つらい方、大変な方」を選ぶのが当たり前で、看護師になったのも、もともとは、その仕事に就きたかったからではなく、重度障害者の施設のボランティアに行き、その惨状を見たとき、「自分はこういう仕事をするべきだ」と思ったからだったそうです。

看護師時代には、“医者よりも患者のために看護師はいるのだ”という理念をしっかり持っている素敵な先輩に出会ったり、自身も患者さんの役に立てると嬉しく、有給休暇もほとんどとらず、ひたすら仕事に没頭する日々でした。

でも振り返って考えると、どこかで「頑張っていないと自分はダメだ」という思いがあったのではないかと感じると言われていました。

だから休職したり、リハビリのために週2、3日の勤務になったとき、自分が「廃人のようになった」と感じ、自己嫌悪に陥ったり、暇な自分に罪悪感を覚えるほどだったそう。

でも、そんな由美さんを救ってくれたのは、草刈さんをはじめとする「自分そのまま」を受け入れてくれる存在でした。その頃出会った人が運営している介護施設に手伝いに行ったときに言われた「ここでは役割や資格はいらないんだよ。ここで必要なのは、関係性だよ」という言葉も心に残っているそうです。人と人との関係性を築くのは、確かに肩書でも資格でもなく、人柄なんですよね。

そうやって今までとは違う人たちに会って、少しずつ自分の考え方も変わってきた日々について、由美さんは、「もう一度、人を信じてみてもいいかもしれないと思った。光が差し、風がすうっと通ったようだった」と表現されていました。

そして、少しずつ、ありのままの自分を認め、受け入れられるようになると、がむしゃらに頑張ってスケジュールを埋めるのではなく、「スペースを空ける」ことの大切さに気付いていったそうです。

自分の「まんなか」を取り戻す

佐藤由美さん作品このブログには、「自分の心を満たす」というキーワードで来てくださる方が多く、その記事がいつもアクセスナンバーワンなのですが、由美さんに「自分の心を満たす方法」を聞いてみたところ、

 自分の心が動くことを、じっくり観察することがまず大事じゃないかな。
心が動くというのは、いい方向にだけではなくて、嫌だな、と感じたというのも。

それで、やりたいと思ったらやる。気になったら、動く。
でもピンと来なかったらやらない。
そうやって、やらないことで、スペースが空くから、そこに不思議なご縁が生まれるもの。

というお話でした。

確かに私も、「もうちょっと仕事を入れようと思えば入れられるのだけれど、子供が熱を出して保育園を数日休まないといけないとなったときに、あたふたしたくないし、余裕をもっていたいな」と思った結果、意外と暇な時間ができ、「じゃあ、何か書くか」と、このブログを立ち上げ、そしてこうやって、素敵な方とたくさんご縁を頂き、それによって、確かに心も満たされています。

もっと仕事を詰めこんだほうが、経済的には潤うのでしょうけれど、日々の生活に支障がなければ、お金より、心の潤いの方がずっと大事ですよね。

由美さんのお話からも、「自分が楽しめることをした方が、結局は社会の為になる」という信念が伝わってくるようでした。

うつから立ち直ったときのことを、由美さんは様々な人やものとの出会いによって「自分のまんなかを取り戻せた」と表現されていましたが、きっと、個性筆やパステルの教室は、そのままの自分を受け入れられない人に、本当は素敵なその人の「まんなか」を気づかせてあげる過程なのでしょうね。

そしてきっと、「まんなか」をしっかり認め、満たせたら、その周りはぎっしりつめずに、「余白」の方がきっといい。「まんなか」が充実している人ほど、柔らかくて、一緒にいて心地いいのは、周りの余白のせいなのかもしれない。そんなことも考えました。

由美さんとお話ししていて、とても心地よく、寛げたのも、由美さんが私の「まんなか」をしっかり受け入れてくれていたからなのだと思います。

本当に、心地よく幸せな時間でした。

そして、貴重なお時間を頂いただけでなく、こんなに素敵なたくさんのお土産まで頂いてしまいました(この章の写真参照!)。きゃ~。

本当に、ありがとうございました!


◆由美さんは頻繁に講座や教室を開かれていますが、告知はfacebook中心です。
気になった方は、是非、facebookで由美さんとつながってみてください。

◆また、由美さんは、名刺や絵本、ハガキやカードのイラストの制作もされています。
是非、こんな柔らかいタッチの絵が欲しいという方がいましたら、連絡してみてください!(今回の記事に挿入した写真は、すべて由美さんの作品です! 幅広い表現活動ですよね)

→ 由美さんの「てくてく工房」

佐藤由美さん作品

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です