自分の「成功」を捨てる：山本圭一（山本ケイイチ）さん

私は朝日新聞を取っているのですが、2面にある「ひと」の欄が結構好きです。

少し前ですが、その欄で、山本圭一さんという方が紹介されていました。名前だけ聞いても、すぐに誰か分かる方は少ないと思いますが、「仕事ができる人はなぜ筋トレをするのか」という本の著者だと言えば、分かる人も多いのではないでしょうか（本は「山本ケイイチ」というペンネーム？で出されています）。

上記の本は13万部のベストセラーになったそうですが、山本さんは他にもトレーニング関係の書籍を何冊も出していますし、パーソナルトレーナーとして成功されていました。

でも、「されていた」と、その仕事が「過去」のものになっているとは、知りませんでした。

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確立した地位を捨てる勇気

新聞によると、山本さんは「ビジネスの拡大を進める人間関係に疲れ、自分を見つめていたとき、（3.11の）震災を経験し」、今は被災地である石巻市に移住し、過疎の進む町に人を呼び込むため「海の幸トレイルランニング」を開催することに力を入れているそうです。

しかも、それはまだあまりお金を生み出すものではないようで、今は「毎朝６時から海で養殖銀ザケに餌をまくアルバイトで生計を立てている」とか。

その紹介文を読んだとき、なんだか、ぞくぞくっと来ました。

山本さんは今、37歳ということですから、また新たな領域でこれから「成功」していかれるのではないかと思いますが、でも、予約がとれないと言われるほどパーソナルトレーナーとして成功し、ベストセラー本も出して、一定の地位を築いておきながら、それを捨てる勇気を持てるって、すごいですよね。

よほど、世間で「成功している」と思われていたときの状況が自分にとって居心地が悪かったのか、それとも、パーソナルトレーナー時代に出会った経営者から「過去の成功に固執しない大切さ」を学んだりしていたのか……。

ジムで鍛えるより、自然相手に鍛える

……気になって、名前で検索してみると「勧善道場」なるサイトもひっかかりました。

当道場は、雄勝町の山々に埋もれた十数キロに渡る古道や廃道を、機械を使わずナタやノコギリだけで整備・再開拓し、また地元の主産業である養殖業の繁忙期にはその手伝いをし、自然の中で肉体を鍛えることを目的とした道場です。
しかしながら、当道場の目的は肉体鍛錬だけにあらず、鍛えるその過程で心を磨き、全人格的な成長を目指す場でもあります。

ジムの機械ではなく、自然相手に、実際に産業の役にも立つことをして体（と心）を鍛えようよ、という趣旨のようで、しかも“入門に際しては費用や経験は不要で、体力に自信のない方でも参加可能です。ただし「まずはやってみる」と言う前向きな気持ちだけお持ちください”とのこと。

新しいビジネスを場所を変えて始めたのかと思いきや、そういうことではないようで（必要なのは「実費だけ」だそうで）、さらに気になってきます。

以前、CMで「『学歴なんて関係ない』東大出てから言ってみたい」というフレーズがありましたが、一度、いわゆる「成功」を手にしたからこそ、そんな「成功」にこだわっても仕方ないということを、身をもって感じられたのかもしれませんね。

山本さんとは面識はありませんが、いつか実際に会って話を聴いてみたい「素敵な仕事人」ということで、ブログに書き留めておきました。

そうそう、サイトのタイトルを少し前に変更した後、さらにマイナーチェンジしました。

「“素敵な仕事人”100人インタビュー」ではなく「“素敵な仕事人”紹介ブログ」に。

それは、こうやって新聞や本で知った素敵な仕事人のことも書きたかったのと、身近にいて何度も話を聴いたことがあるから、今更改まってインタビューをするより、知っている情報をまずはまとめてみたい、という方のことも載せたかったからです。

今は面識はないけれど、「いつか会って話を聴いてみたい」と思ってここに書いた人に、将来的にどんどん会って、インタビュー記事が増えるのも夢です！