人を育てる立場になったとき大切なこと

部下を持ったり、子供を持ったりしなくても、会社で一年後輩の面倒を見ることになることもあるでしょうし、学生でも塾のアルバイトをするとか、サークルや部活で後輩に何か教えるとか、「人を育てる機会」というのは、多くの人が持つものです。

私自身も、学生時代から塾のアルバイトをし、学習塾業界に10年ほど関わってきました。そんな経験からも感じることなのですが……

人に何かを教え、人を育てるとき、一番大切なことはなんだと思いますか?

 

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「この人(この子)は伸びる人(子)だ」と信じること

もちろん、何か具体的な物事を教えるのなら「相手に分かりやすく教える」とか、「相手がどこまで理解しているかしっかり把握する」とか、色々な能力が必要にもなってくると思います。

相手に信頼されるというのも重要ですね。

でも、一番大事なのは、
「この人(この子)は伸びる人(子)だぞ」
と自分がまず信じることです。




ピグマリオン効果

「ピグマリオン効果」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

「ピグマリオン効果」とは、簡単に言うと、教える側の期待によって、教わる側の成績が向上することを言います。

アメリカの学校で、偽物のテストを行い、そのテスト結果とは関係なく、学者が適当に生徒数名を名簿から選び、「この生徒たちはこれから伸びますよ」と先生に伝えました。
すると数か月後、本当にその生徒たちの成績が伸びたのです。

つまりこの実験は「この子は伸びる」と先生が信じると、その生徒は本当に伸びるということを実証しているわけですね。

 

相手の可能性を信じればこそ

以前、「社員もパートもみずから動き出す『心の報酬』の与え方」という本を紹介しましたが、そのなかにも、こんな一節がありました。

「(誰にでも持ち味がある、本領がある、可能性があるという)よい思い込みがあるかどうかが、部下の可能性を引き出す上司と、部下の可能性を潰す上司の違いなのです」

可能性というのは、まだ表には出てきていないものですので、あるかどうか信じられるかは、その人を見る側にかかっています。

今、表に出ている勤務態度や意欲などが悪い部下や後輩の場合、可能性を信じるのは難しいかもしれません。でも、「誰にでもいいところはあるはず」と信じることで、その人の秘められた才能が開花する可能性も高いわけです。

この本には、仕事にやりがいが感じられず、遅刻を繰り返す常習犯だったスーパーのアルバイトが、きゅうりの販売方法を自由に決めてやっていいと“役割”を与えられた途端、仕事が面白くなり始め、遅刻も減ったという話も載っていました。

普通に考えたら、遅刻するような人に責任のある仕事を任せようとは思わないかもしれません。でも、「この人はまだ仕事にやりがいを見つけられていないだけで、本当はもっと可能性を秘めているんだ」と思っていたからこそ、敢えてその人にとってチャレンジングな仕事を与えるということができたわけです。

部下や後輩、子供や生徒が思うように育ってくれないなと思うときこそ、「自分は相手のことを信頼し、その可能性を信じられているかな」と考えてみるといいですね。

それが、人を育てる立場の人間に、一番大事なことです!

そして、自分自身に対しても「もっとできる奴なんだ」と信じて、定期的にチャレンジングな課題を与えているかどうか、合わせて確認してみたいですね。

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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