みうらじゅんさんは「『ない仕事」の作り方」で、自分探しより自分なくしが大切だと言われています。
どんな仕事であれ、「やりたいこと」と「やらねばならぬこと」の間で葛藤することが多いと思われます。それは私も同じです。
そこで肝心なのは、そのときに「自分ありき」ではなくて「自分をなくす」ほど、我を忘れて夢中になって取り組んでみることです。新しいことはそこから生まれます。(みうらじゅん)
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「『ない仕事」の作り方」
最近、メディアでも取り上げられている、みうらじゅん氏の「『ない仕事」の作り方」を読みました。
みうらじゅん氏は、「ゆるキャラ」の名付け親としても有名な「イラストレーター等」です(名刺の肩書に「イラストレーター等」と書いているとか)。
「ゆるキャラ」というものが、名もない、地方ごとにただ勝手に作られた“着ぐるみ”だったころ、それは決して洗練された姿でもなく、かわいいと追いかける人などはいなかったわけです。
しかし、みうらさんは、「何か気になる」と感じ、ひたすらそういうマスコットや着ぐるみを追いかけ、収集し、そして「今、これがはやっているんです」とばかりに発表していったそう。
そうやって本当にブームになれば、執筆や取材の依頼が増えてくる。
でもそれまでは、「ゆるキャラ」というものは存在もしていないわけだから、自分から動かないことには、「ゆるキャラについて書いてください」などという仕事の依頼は、来るわけがない。
つまり、「ない仕事の作り方」とは、今までなかったものに名前を付けて、「これがはやっている(はやるべきだ)」という情報発信をし、実際に、名前も実態もある仕事にしていく、ということ。
人は“大量な物”に弱い
そのために必要なことはなにか……
みうらさんは書いています。
「人は“大量な物”に弱い」
だからまず、人より先に、自分を洗脳する。「これだけ面白いものが、はやらないわけがない」と。で、後に“ゆるキャラ”となるマスコットを大量に買い集めていったそう。
こんなことをして意味があるのか、こんなことをして他の人は喜んでくれるのか、と疑問に思ったとき、みうらさんが言うのは、
「そこがいいんじゃない!」
という一言だとか。
そして、まずは「そこがいいんじゃない!」と自分を洗脳しながら、量を増やし、その集めた量を情熱の熱量のように見せて、人に発表していくと、人は影響される、と。
なるほど。
行動しない人ほど、「質」を大切にしているからと言い訳にしがちですが、行動できないときは「とにかく量」という合言葉で動いてみるのも大切かもしれませんね。
マイナスのものを、名前をつけて面白がってみる
そして、この本の中でもう一つ面白かったのが、「名づけ方」のポイントについて。
人は名前を付けるときに、良いイメージの名前を付けようとしてしまうけれど、そうすると名前負けしてしまうこともある。
ネーミングは「友達同士でつけた先生のあだ名」のように、相手から怒られるかもしれないくらい破壊力のある方がいい、と。
その例として、「もらっても嬉しくない土産物」を「いやげ物」と名付けてジャンル化した話なども載っています。
が、この名づけについて、「マイナスのものを、名前をつけて面白がってみると、自分の気持ちすら変わってプラスになる」と書かれているところに、一番、心惹かれました。
その例として、1時間半に1本しかないバスに乗り遅れ、ショックを受けてしまったとき、あまりにスカスカな(1日に7,8個しか数字が入っていないわけですから)バスの時刻表を写真に撮り、「地獄表」と名付けた、とか。
そうすると、「もっと本数が少ない時刻表を撮りたい」と思うようになる、と。
これは、心理学でいう「リフレーミング」の一種ですね。
同じ状況でも、捉え方を変えると、マイナスもプラスになるかもしれない、という。
この本には他にも、みうらさんが今まで成し遂げてきた「ない仕事」の実例が30個ほど書かれていますので、ただ楽しむためだけにも、「仕事を作るって、どういうことなんだろう?」という参考にするためにも、読んでみてくださいね!