過去の心の傷、本当に癒えていますか?

行動を起こそうとしても、心のなかに何かブレーキのようなものを感じることがあります。

行動を阻むのは、基本的には「自信のなさ」ですが、過去の失敗や、トラウマが原因になっていることが少なくありません。

このブログでも、「ソリューション・フォーカス」という「過去の出来事をほじくり返すのではなく、今、ここから進んでいくにはどうしたらいいか考える」という新しい心理学の流れを何度か紹介してきました。

確かに、いつまでも今更どうにもならない過去の出来事をほじくり返し続けても仕方ありません。

でも、過去に目をつむりすぎるのも問題だと、私は感じています。

今日は過去の心の傷とどう向き合ったらいいのか、その方法について書いてみたいと思います。




いじめを受けた過去が原因で産まれた心の傷

さきほど「過去に目をつむりすぎるのも問題だと、私は感じています」と書きましたが、それは、自分自身が、過去に受けた心の傷を「もう昔のこと」とずっと見てみない振りをしてきていたと気付いたからです。

私は、小学校5,6年から中学生にかけて、「いじめられっこ」だった時期が長くありました。

小学生の頃は、仲良しグループの友達から口をきいてもらえない時期もあり、休み時間が苦痛だった記憶があります。教室に一人でいたら、他のグループの女子からも「あの子はいじめられているんだ」と気づかれてしまうと、休み時間のたび、階段の踊り場に行き、時間をつぶしていました。

今でも、そのときの、ひんやりとした踊り場の空気や、近くの階で遊んでいる子供たちの声が階段に響いていた様子をクリアに思い出せます。

でも、卒業の頃には、その友達たちとの仲は戻り、今でも交流があるほどなので、自分のなかではその出来事は「とっくに終わったこと」と思っていました。

ただ、あるとき、ふと気づいたのです。

私は、あの頃の出来事を「自分がわがままで、人に合わせることをしなかったから、いじめられていたのだ。私が悪いのだから、仕方がない」と思っていることに。

そして、そのせいで、「わがままだから、自分は嫌い。自分と似たような人とは絶対、友達になんかなりたくない」と長く思い続けていた、ということに。

このブログにも、「自分で自分をどう扱うかによって、人に自分をどう扱ってほしいか伝えている」ということを書きましたが、上記のような自己イメージを持っていたら、親しい友達が増えるわけがないのです。

これはつまり、過去に受けた心の傷が、実は傷のまま心に残り続けていたということです。

大人になった自分が本当にしなくてはいけないこと

確かに振り返って考えると、自分自身の行動に嫌われる原因もあったとは思います。

でも、人とちょっと違うことをしただけで、お互いがお互いをけん制し合って、「いじめ」を生み出すのが、「外の世界を知らない」子供たちの世界なのです。

本来は正しい自己主張が、いじめの原因だったかもしれませんし、すべては「成熟していない子供の判断」だったわけです。それを大人になってからも、絶対視するなど、愚かなことです。

でも、親が絶対だと思っていた子供時代に、親からひどい言葉をかけられ続けた子供は、大人になってからも、なかなか自己肯定感を抱くことが難しくなります。

ただそれこそが、本来は間違った思考なのです。

大人になった自分が本当にしなくてはいけないのは、

  • 過去に自分を誤った評価を下した人間の視点に同化し、傷ついた過去の自分をさらに傷つける
  • 傷ついた過去の自分を「昔のこと」と無視する

ことではなく、

  • 過去の自分に「あなたにも素敵なところがたくさんある」「間違っているのは相手かもしれないよ」と伝えてあげる

ことなのです。

あるカウンセラーの方は、

傷ついた過去の自分を癒すには、「傷ついた年代の自分をイメージし、お風呂に入ったときなど、リラックスできるとき、その子を自分の膝に乗せて、背中からぎゅっと抱きしめてあげるといい。

と言われていました。

もし、昔の出来事を思い出し、少しでも胸に痛みを覚えたら、それはどんなに昔のことでも、「本当には癒えていない心の傷」である可能性が高いです。

親からひどい虐待を受けたなど、はっきりとした心の傷を自覚している人でなくても、「心の傷」を抱えている人は多いはずです。

ただ自分で、「こんなのは大したことじゃない」「もう終わったこと」と感情に蓋をし、見てみないふりをしているだけで。

でもこれからは、そんな傷に出会ったら、目をそむけず、「今まで無視してきてごめんね」と、少しのあいだ、その痛みに寄り添ってあげましょう。

無理に傷を癒そう、消そうとするのではなく、「傷ついたこと、わかっているよ。つらかったね」など、ただその傷に、その頃の自分に、優しい言葉がけをしてあげることで、傷はゆっくりと癒えていくはずです。

※タイトルはやや怪しいのですが、自分の心の奥とつながるためにはこういうCDを活用するのもいいかなと思います(書籍にCDがついています)。

それくらいでは癒えそうもない、思い出すと逆につらさが噴き出してくるような心の傷を抱えている場合は、専門家に相談されることをお薦めします。

以前インタビューさせていただいた臨床心理士・吉田美智子さんは、箱庭療法で「心のなかにいる傷ついた小さな自分」と向き合い、一緒に生きていかれるようになるお手伝いをされています。

心のなかの傷ついた小さな子どもと一緒に暮らしていかれるようにするのが目標:臨床心理士・吉田美智子さん

箱庭療法もお薦めです。→ はこにわサロン東京 

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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