昨日「冷静に相手との対立を解決する方法」という記事で、人との感情的な対立を解決する一つの手法として「エンプティ・チェア」というものを紹介しました。
ただ、このエンプティ・チェアというのは、カウンセリングの現場でもよく使われる手法で、「自分自身と向き合う」ときにも威力を発揮します。
今日はそんな、もう一つの「エンプティ・チェア」の活用方法をご紹介したいと思います。
好きなことができない本当の理由
ちょっとだけ脱線しますが、1年ほど前にベストセラーになった心屋 仁之助さんの「「好きなこと」だけして生きていく。」という本。
「好きなことをやって生きていっていいんだよ」という優しいメッセージが散りばめられているのだろうと思い、本屋でぱらぱらめくってみたら、飛び込んできたのは、
「好きなことをするには一番嫌なことをする必要がある」
というメッセージ。「え? 苦労しないと好きなことはできないとか、そういう話?」と、本を閉じてしまいました。
(多分その日はあまり心に元気がなく、もうちょっと温かい言葉を欲していたのだと思います(笑))
……が、この言葉が真に意味していたのは、
「好きなことをやろうとすると、世間の目は冷たくなることが多い。
人から批判されることを恐れて、多くの人は、本当に好きなことをやる人生を選ばない。
でも、本当に好きなことをして生きていこうと思ったら、安定した生活を捨てるとか、人から褒められる生き方を諦めるとか、そういう”楽でないこと(多くの人にって”一番嫌なこと)”をする覚悟を持たないといけないよ」
ということだったようです。
それなら、納得です。心屋さんは他のところで、こうも言っています。
本当は、そんなふうに安定を捨てたり、人から非難される覚悟をもてないから、好きなことができないだけなのに、多くの人は
「やれない環境」を自分で作り出して愚痴を言う。
「時間がない」
「才能がない」
「誰も手伝ってくれない」
「お金がない」
「あの人が反対する」「子供が」
「夫が」
「親が」
「上司が」
「みんなが」「病気」になったりもする。
でも本当は、自分が「一番嫌なこと」を引き受ける覚悟ができないだけ。
なんか、刺さってくる言葉ですね。
自分自身に鋭く指摘してもらっても
と、「脱線」が長くなりましたが、人は、そんなふうに本当の自分の心から目を背けたり、もっともらしい行動の理由(本当は嘘の)を作って、自分の行為を正当化してしまうことも多いものです。
でも、気づかない振りをしていても、心のどこかで分かっていることも、実は結構あるはずです。
やりたいと思っているはずなのに、どうしても行動できない、
頑張っているのに、どうも思ったほどの成果が出ない。
そういった場合、心のブレーキがどこかで効いている可能性があります。
そんなときには、是非、2人の自分の「エンプティ・チェア」をしてみてください。
向かいに座らせる相手は、
- 自分の嫌いな部分(行動力のない自分、変化を恐れる自分、内向的な自分など)
- やりたいことをやって幸せそうにしている未来の自分
- 言いづらいこともびしっと言ってくれる「辛口な自分」
誰でもいいです。
またちょっと話は少しそれますが、2年ほど前のベストセラーで、アドラーの心理学を紹介した「嫌われる勇気」という本には、「自分には短所しかない。自分が嫌いだ」という主人公が出てきます。
その主人公に対して「哲人」は「自分が嫌いだと思う、あなたの”目的”は、他者との関係の中で自分が傷つかないように、自分を守ることだ」と言い切っています。
「哲人」は主人公の「青年」とは違いますが、この本自体を「青年」と「年を取ったあとの青年」の会話だったと理解しても面白いと感じました。
あなたのやや問題がある行動や思考の原因を一番鋭くつけるのは、本当はあなた自身かもしれません。
まずは、エンプティーチェアーで自分の本音と向き合ってみましょう!
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