先週は「自分の短所が気になるとき」という記事で、「短所は人に愛されるかもしれない大切な人間性の一部」であること、些細な短所からカミングアウトしてみたら、ということを書きました。
今日も「短所」のメリットを書いていきたいと思います。
「でくのぼう」だからこそ
昨年「村上海賊の娘」で本屋大賞を獲った和田竜さんのもうひとつの代表作「のぼうの城」(直木賞候補・本屋大賞2位・2012年に映画化)も、「短所」について学べる良い教科書です。
「のぼうの城」は、戦国時代を舞台にしたフィクションです(実在の人物も出てきますが)。
小説の主人公は、国の城主の息子なのですが、太っていてひとりで馬にも乗れないし、百姓にもバカにされているような人間で、「でくのぼう」の意味で「のぼう様」と呼ばれています。
頭もあまり良くないので、秀吉の軍が攻めてきて、良識ある大人たちが「秀吉に下ろう」と決意を固めているときに、勝手に「戦うぞ」と、使者に宣戦布告をしてしまい、さぁ、どうなるか、というのがストーリーです。
(その後、どうなったか、気になる方は、本を読んでくださいね)
ここでおもしろかったのは、戦になり、「田畑を捨てて城に籠もれ」と命令された百姓たちの行動です。
家臣が脅したり、説得したりしても田畑を捨てるなんて、と抵抗していた百姓が、「この戦を決めたのは、のぼう様だ」と聞くや、すんなり城に向かうのです。
なぜか?
それは、「のぼう様にはお世話になっているから」ではありませんでした。
そうではなくて、
「のぼう様は、ひとりでは何もできないから、俺たちがいないと」と思ったのです。
この話はフィクションではありますが、なんとなく“あぁ、分かるな”と感じた人も多いのではないでしょうか?
その欠点があるからこそできることは?
松下電器を一代で築き上げた松下幸之助は、実は、体が弱かったそうです。
でも、なぜこんなに成功したんだと思いますか、と晩年、問われた松下幸之助は
「体が弱かったからだ」
と応えたそうです。
自分は体は弱いし、小学校しか出ていない、だからこそ、周りの人から助けてもらわなければやっていかれなかった、それが成功の秘訣だ、というわけです。
確かに松下幸之助が、体力も知能もすべてが完璧で自信があったら、自分ひとりだけの力でつっぱしる、中小企業のワンマン社長で終わったかもしれません。
先日紹介したメンタリスト・DaiGoさんの本にも書かれていました。
「(味方を利用しようとしたら批判されるが)、敵は思う存分利用しなさい」と。
敵というのは、気に入らない人間ではなく、自分自身の「短所」かもしれません。
「〇〇だから、××できない」と考えそうになったら、敢えて「〇〇だから、××できる」と思考を切り替えてみる。
「その欠点があるおかげで、逆にいいことはないかな」と考えてみるようにする。
……そんなことをちょっと心がけてみてはいかがでしょうか?
自分や人の欠点を受け入れられると、人との関係もまた変わります。
[…] 昨日、「弱みは強み」という記事を書きました。 […]