先日、2歳くらいの女の子に食事をさせているお母さんを見ました。
その子はもう、自分でスプーンなどを使って食べられるのですが、まだあまりうまくは食べられないようです。
そのため、お母さんがかなり口うるさく、ほとんど黙っている時間がないくらい、注意をし続けるのですが、その言葉というのが……
「そんなふうにすると、落とすよ」
「ほら、落とした」
「そんなふうに傾けると、こぼれるよ」
「ほら、こぼれた」
という繰り返しなのです。
うちにも1歳半の子がいるので、子どもに食事を食べさせるのは、かなり大変だということが分かるのですが、これでは、どちらもしんどいよな……と感じてしまいました。
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簡単な進路変更の方法
以前、ウィンドサーフィンを習ったとき、始めたばかりの頃はよく、インストラクターの人に、
「ぶつかりそうだ、危ないと思ったら、とにかく、そっちは見ないこと。
見ると、そっちに行っちゃうからね」
と、言われました。
確かに、向こうからボードが近づいてくると、つい気になって目がそちらに向いてしまうのですが、見ると自分のボードは、自分の意志に反して、どんどんそちらに近づいていってしまいます。
でも、視線をあえてそこから外し、逆方向を見ると、あら不思議、まだボードの向きのコントロールもまともにできないはずなのに、きちんと相手を避ける方向に進みました。
否定語でも逆効果
たとえば「これから3分間、絶対にパンダのことを考えたらダメだよ」と言われたら、この1年間、パンダのことなど1回も考えたことがない人でも、つい、パンダのことを考えてしまいます。
そういうふうに、たとえ否定語で言われても、人は言われたことの方に注意を向けてしまいます。
そして、注意を向けると、意識しなくても、そちらに行動が向かってしまうのです。
まだ体や心の動きが未発達な子供の場合は特にです。
ですから、子どもには、
「転ばないように」「すべらないようにね」ではなく、
「ゆっくり」「気を付けて」「足元を見て」など、注意を向けて欲しい言葉の方を伝えた方が効果があるのです。
イメージトレーニング
同じことは、実は大人にも言えます(子供の方が、顕著に差がでますが)。
ですから、なにか大事なことをする前に「失敗しないようにしよう」と思ったり、人前で話す前に「緊張しないようにしよう」と思うのは、逆効果です。
これから大切な人に会う、大事な商談があるというときには、その前にリラックスして、いいムードで相手と話しているシーンをイメージする。人前で話す前にも、ゆったりくつろいで笑って話している自分と、笑顔で聴いてくれている相手をイメージする。
イメージトレーニングというのは、スポーツ選手だけのものではないという考え方も大分広まってきていますが、頭では分かっていても、気が重いことが先に待ち構えていると、「あぁ、きっと今回もこうなるだろう……」とあらかじめ憂鬱なシーンをイメージしてしまうこともあるのではないでしょうか。
言っている私にも、そういうネガティブな部分がありますが……、気づいたら、意識を向ける方向を変えてみましょう。