昨日は、「人に行動を変えてもらいたいとき」という記事で、褒めることで、他人の特定の行動を増やすことができるということを書きました。
ただ、人が行動を続けるためには、褒める、ごほうびをあげるという「外的要因」ばかりに頼っていてはいけません。
大切なのは、やはり本人が「こうしたい」と思って、その行動をすることです。
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「いい成績を取ったら〇〇を買ってあげる」は効果的?
たとえば、勉強嫌いの小学校4年生くらいの子供がいたとしましょう。
その子にどうにか勉強をさせ、いい成績を取らせたい、もしくは、あなたが家庭教師などの立場にあり、どうにかしていい成績を取らせなくてはいけない、という状況にあるとします。
まず思いつくのは、どんな方法ですか?
「いい成績が取れたら、○○を買ってあげる、と言う」
「ここまで宿題をやったら、ゲームをしていい、と言う」
という方法を考えた方も多いのではないでしょうか?
もちろん、このように言われた子供は、やる気になって、今までより熱心に勉強をするでしょう。
こういう、外から与えられた動機付けを「外的動機付け」といいます。
「外的動機付け」は、短距離走のようなものには向きます。
たとえば、1週間だけ勉強させて、この試験でだけはいい成績をとらせないと、というような場合ですね。
「ごほうび」の副作用
でも、この方法には副作用があります。
それは、「○○を買ってあげる」などの、「ごほうび」がなくなったとたん、もしくは、提示された「ごほうび」に魅力を感じなくなったとたん、勉強に対するやる気もなくなってしまうということです。
これを証明する心理学の実験もあります。
1つのグループには、ただ単純にパズルのような問題を解いてもらい、もう1つのグループには、1問解くごとに「○円払います」と言って解いてもらいます。
すると、はじめのグループの中には、実験が終わっても、パズルを続ける人がいるのですが、あとのグループの人は、実験が終わったあとまでパズルを続けた人がいなかったのです!
大人も同じ:外的動機付けだけでは、すぐ息切れする
今回は子供のことを例にしましたが、仕事をする大人も、同じです。
目標を達成できたら賞与を増やす、というのは「外的動機付け」にはなりますが、長くやる気を維持させるためには、「内的動機付け」が必要だということです。
仕事における「内的動機付け」で一番強いのは、「自分がこの仕事をすることによって、人の役に立っているという喜びを感じられる」ということだと言われています。
子供が勉強をするための「内的動機付け」は、「将来、いい大学に入って、〇〇の勉強をして、△△の仕事をしたい(研究をしたい)」などという夢を持つことや、単純に今、勉強することで、ひとつひとつ新しい知識が増えていくことを楽しめる、または試験などでいい結果をとることで、努力が報われるという達成感を得られるということなどでしょうか。
自分自身や子供、部下や後輩をやる気にさせる「内的動機付け」はなにか、じっくり考えてみられるといいですね。