大きな本屋に行ったときには、写真集のコーナーを時々見ます。
先日、「幸せのしずく」という素敵な写真集を見つけました。
この写真集、平日は会社員として働く女性のアマチュアカメラマンが、趣味で家や庭先で撮り始めた写真をネット上に投稿して話題になって、出たものだとか(しかも写真歴はまだ2年ほどというから驚きです)。
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良い写真は家のなかでも撮れる
写真集というと、有名な写真の賞を獲った人の芸術的な作品、あまり人が行かないような「秘境」や、遠い外国の地を旅したもの、もしくは動物写真がほとんどのように感じます。
つまり、狭き門を通過して何か賞を獲るのでなければ、「重い機材を担ぎ」「時間をかけて遠くへ出かけ」「シャッターチャンスを求めて長時間、過酷な環境に耐え」なければ、写真集を出せるような写真は撮れないというようなイメージです。
でも、こんなふうに特に専門的に写真を勉強したわけでもない女性が、自分の感性だけを頼りに、「家」や「家の庭」で写真を撮って、それが評価されて、写真集になるなんて、素敵、と思ったわけです。
この作者の浅井美紀さんは、会社員ということで、そうしばしば遠くに行く休みはとれないでしょう。でも、たとえ「家から出られない」という制約があったとしても、感性さえあれば、良い写真は撮れるということを、この写真集は教えてくれます。
※そういえば、私が学生時代に話題になっていたHIROMIXさんは、一眼レフが主流の写真界で、コンパクトカメラでポップな写真を撮るということでも話題になっていました。
自分に制約を課す三谷幸喜さんの制作法
写真の話ではありませんが、以前、劇団を主宰していた頃の三谷幸喜さんは、インタビューでこんなことを語っていました。
「舞台は、暗転を使えば、いくらでも場所も時間も変えられるけれど、僕は敢えて、暗転を使わない。1つの場所で、実際の演劇と同じだけの時間の流れる芝居を作る。僕はそういう制約がある方が、書きやすい」と。
※正確な表現ではなく、あいまいな記憶ですみません。
ドラマを作るようになってからも、「1話は1日に起こったこと」にするとか、「ワンシーンワンカットで作る」とか、様々な制約を課して、作品を作っているとか。
選択肢は多ければ多いほど、選べなくなる?
シーナ・アイエンガーの「選択の科学」によると、実験の結果、「選択肢は多ければ多いほど、選べなくなる」ということが分かったそうです。
Aスーパーには試食のジャムを24種類置き、Bスーパーには6種類置いた場合、足を止める人は、Aスーパーの方が多かったものの(Aスーパーで60%、Bスーパーでは40%)、実際に購入した人が多かったのは、Bスーパーだという実験です(Aスーパーは試食した人の3%、Bスーパーは試食した人の30%)。
選択肢が少ないとか、制約があるというのは、マイナスに考えられることも多いですが、案外その制約を楽しむ視点があれば、制約がプラスに働くこともあるかもしれません。
人事の世界ではここ数年、「残業ゼロで結果を出す」というような考え方がはやっていますが、それも同じですね。
今、「〇〇できない」「〇〇がない」など、マイナス部分に目が向いている人は、それを逆手に取る方法を考えてみてはいかがでしょうか?