昨日は、「コミュニケーションがうまくいかないときに忘れていること」ということを書きました。
別の人だからこそ、自分と違うことを考えているはずですし、自分と違う価値観を持っているはずです。
その違いは、いつも目に見える形で表れているわけではありませんが、だからこそ、「自分と相手は違う」という、その「違い」をいつも心に留め、自分と違う相手の考えなどを想像し、思いやることが大切です。
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持っている情報も人それぞれ違う
この「自分と相手は違う」というのは、考え方や価値観だけではなく、その人の立場や持っている情報などの違いにも言えます。
以前、こんなことがありました。
友達にプレゼントするため、花屋で小さな花束を買おうとしたときのことです。
すでにきれいにまとめられていて、あとはリボンをつける程度で終わり、という感じで売られている花束を一つ選び、それをレジに持っていきました。
その店の店員さんは2人で、レジの奥で私に背を向ける格好で新たな花束を作る作業をしている女性と、レジの外で数十本の花を抱えている女性でした。
2人とも忙しそうでしたが、レジの外で花を抱えている女性の方が近くにいたので、その方に「これ、お願いします」と言ってみました。
その店員さんは、今、忙しいのにな、という顔で「ちょっと待ってください」と言いました。
そこまではよくあることで、大して何も思わず、その店員さんが対応してくれるものと思って待っていました。
しかし、いくら待っていても、その店員さんは自分の作業をやめる気配がありません。
さすがに心の中で、「待たせすぎじゃない?」という意識が芽生えます。
もう1回声をかけてみようかと思ったときでした。その店員さんは、レジの中にいた女性に非常に不機嫌な声で「お客さんだけど」と言いました。
私が言わなくても、気を利かしてあなたが対応するべきじゃない、という言外の意味が汲み取れる、きつい口調でした。
レジの奥にいた女性は「あ、あぁ、お決まりでしたか? すみません」と謝り、それからすぐに対応してくれたのですが、あまりいい気持ちはしませんでした。
見えているものも違う
この店には、レジの中にいる人が、お客さんの対応を先にするという決まりがあったのかもしれません。
でも、レジの中で作業していた人は、私に背を向けていましたし、作業に没頭していて、私に気づかなかったのでしょう。
それは、その人の不注意だと言えなくもありまえん。
でも、その人は、悪意があって、客を無視して、もう一人の店員に「あなたが対応してよ」と無言の圧力をかけていたわけではありません。ただ単純に、お客さんが見えず、対応できなかっただけなのです。
きつい口調で「お客さんだけど」と言った女性には、私のことが見えていますから、もう一人の店員も私のことが見えていて当然と思ったのでしょう。
でも、それは違います。
自分が見ているものを、相手も見ているとは限らないのです。
その違いを埋めるのが「想像力」であり、優しさです。
みんながもっと想像力を持ったら
鷺沢萌さんという作家の方が以前、
「みんながもっと想像力を持ったら、世界はもっと生きやすくなるのに」
というようなことを書かれていました。
好きな作家でしたが、30代で自殺されてしまいました。
みんながもっと「想像力」を持っていたら、亡くならずにすんだ人も、多くいるのかもしれません。
もっと生きやすい世界にするために、まずはちょっとした「想像力」を働かせてみましょう。
[…] ◆「私」と「あなた」の違いを埋めるのは想像力 […]