子どもの頃から、私たちは、「好きなことは仕事にしないほうがいいよ」とか「好きなことで食べていくのは大変だよ」などという言葉をたくさんかけられてきたと思います。
でも、好きなことを仕事にすると、それを嫌いになってしまうのでしょうか?
好きなことで食べていくのは、不可能なのでしょうか?
今日から3回にわたって「好きなことを仕事にすることは可能なのか?」「その方法は?」「好きなことを仕事にしないほうがいいって本当?」などについて書いていきたいと思います。
好きのレベルを分ける
キャリアカウンセラーの養成などをされている香本祐世さんが、『人事が変われば、会社は変わる』という本で、下記のようなことを書かれていました。
自分のキャリアを考えるときは、
「娯楽」「趣味」「特技」は分けて考えるのがよいと思います。「娯楽」は必要ではあるにしろ発展性のないその場の息抜きですが、
「趣味」は「特技」に変化していく可能性があり、
「特技」は仕事に進化・発展することが多いものです。
非常に、的を射た指摘で、この言葉を読むと、なぜ「好きなこと」を仕事にするのが難しいのか、分かってくると思います。
子どもが「サッカーが好きだから、サッカー選手になりたい」というとき、その「サッカー」は、ほとんどの場合、「娯楽」や「趣味」のレベルどまりです。
でも、明らかに周りの子たちとは違うスキルや身体的な優位性を持っていた場合、その子にとって「サッカー」は、「特技」になります。
「特技」だと、自分が思うだけではなく、周りからも思われるくらいになったら、その「好き」は、ただの遊びではなく、仕事にもなるはずです。
仕事というのは結局、自分がしたいと思うだけではだめで、お客様なり、企業の人なりに「あなたにこの仕事をしてもらいたい」と思われないと成立しないわけです。
ですから、大人が言う「好きなことで食べていくのは大変だよ」という言葉は、「好きなことを仕事にするのは難しいから、やめたほうがいい」ということではなく、
「好きなことで食べていこうと思ったら、そのスキルを周りから”特技”と認められるくらいまで磨き上げる必要があるよ。それは大変けれど、できるか?」
という意味だと解釈するべきですね。
大人も、子どもの夢を奪うようなことを、深い考えなく、抽象的な言葉で安易に口にしてはいけませんね……。
仕事になるほどの「特技」のレベルとは?
たとえば「プロのサッカー選手になる」ということで考えると、「サッカー」のスキルが、日本中で大体1000番までに入らないとダメです(J1 J2の選手が大体1000人くらいらしいので。ただ、全員がそれだけで「食べていかれている」のかは分かりません)。
1000というと大きな数ですが、1億3千万の人口のなかでの1000ですから、10万人のなかの1番になるくらいのレベルの話です。
ですから、「サッカーが好きだから、プロのサッカー選手になりたい」というのは、完全に不可能でないにしても、スキルが、相当なレベルの「特技」になっていないとダメだということです。
ただ、たとえば体育の先生になってサッカーの指導もする、サッカー部の顧問になる、サッカーチームの非常勤の監督になるなど、「サッカーを仕事にする」を広くとらえれば、その「特技」に必要なのは、「100人のなかの1番になるくらいのレベル」になるかもしれません。
〇〇を仕事にしたいというとき、子供時代は純粋に「プロのサッカー選手」を目指していいと思いますし、むしろ目指すべきだと個人的には思います。
ただ、少しずつ大人になるにつれ、「自分はプロのサッカー選手にはなれない」と思ったとき、すっぱりその道を諦め、まったく違う道を進むのもいいですが、「夢の周辺」にいることを選ぶのも、悪くない選択の気がします。
[…] 昨日の「好きなことを仕事にする(1)」では、「「夢の周辺」にいることを選ぶのも、悪くない選択」ということを書きました。 […]
[…] 参考 「好きなことを仕事にする(1)」「好きなことを仕事にする(2)」 […]