昨日は、「自己主張は悪いことではない」という記事で、自分も相手も尊重した自己主張もあるということを書きました。
今日は、相手との関係性を壊さず自己主張する方法について、具体的に考えていきたいと思います。
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復習:頼まれたことを断るとき
昨日は、忙しい時に無理な仕事を頼まれたときの断り方について書きました。
断るときに大切なのは
- 「今は無理」ということがしっかり伝わるように、はっきりとNOを伝えること
- 相手の気持ちも尊重して、断る理由をしっかり伝えること
- 可能であれば「明日なら大丈夫です」など、代わりの提案をすることの3点でした。
自分から人に何かお願いするとき
では、逆に自分から人に何かお願いするときはどういうことに心がけたらいいでしょうか?
たとえば、会社のルールで、毎週掃除当番が決まっていて、今週はあなたとAさんが給湯室の掃除をしなくてはいけなかったとします。
掃除は17時からすることになっていますが、Aさんは17時になっても、仕事の手を止める気配がありません。
そんなとき、どうしますか?
何も言わずに、一人で掃除をするというのは、「ノン・アサーティブ(自分を押し殺し、相手の要求を優先する態度)」ですね。
もし「給湯室の掃除くらい、1人でも3分くらいで終わるし、別にAさんの手を煩わせることもないや」と心からあなたが思うのなら、それでもいいかと思います。
でも、ちょっとでも「給湯室の当番には、重たいゴミを運ぶ仕事もあるし、一緒にやってほしいな」などと思っているのなら、しっかり「やってほしい」ということを伝えてみましょう。
こういったケースの場合、Aさんは、自分が当番だと忘れているだけだという可能性が高いですから、まず、「今週、私たちが掃除当番だよね」などと声をかけてみればいいでしょう。
「掃除当番なんだけどっ」とか「忘れてない?」とか、余計なことを付け加えず、まずは、ただ事実だけさらりと伝えるのが一番お勧めです。
それで「あぁ、ごめん。忘れてた」とAさんが席を立ってくれれば、これで終わりです。
言いたいことは、正しく伝える
でも、「あー、そうだよね。でも、忙しいし、やっといてもらえない?」と言われたらどうしましょう?
このときも、別に1回掃除を一人でするくらい大したことじゃないと心から思えるなら、「あぁ、いいよ」と引き受けてもいいでしょう。
でも、ちょっとでも「私だって忙しいのに」など、思うところがあるようでしたら、飲み込むのはやめて、何か言ってみましょう。
「あぁ、いいよ。でも、明日はお願いね」と、交換条件を出してもいいでしょうし、やっぱり今日、一緒にやってもらいたいということでしたら、なぜそう思うのか、しっかり伝えてみます。
たとえば、
「燃えるゴミと燃えないゴミ、2つを一緒に持っていくのは難しいんだよね。2人で運べば、1往復ですむから、3分もかからないし、手を貸してもらえると嬉しいんだけど」
などと言われたら、普通の人なら、きっとそこで腰を上げてくれるでしょう。
人にお願いするときのポイントは「Iメッセージ」
人に何か頼む場合のポイントは、
1.事実をありのままに伝える
(この場合は、「今週、私たちが掃除当番だよね」「2人で運べば、1往復ですむ」です)
2.自分の気持ちを伝える
(「手を貸してもらえると嬉しいんだけど」)
の2点です。
こういう、自分の気持ちを中心に伝えるコミュニケーションのことを「Iメッセージ」と言います。
「手を貸してよ」というと、「あなたは手を貸すべきだ」という「あなた」が主語の文章になってしまっています。それですと、少しきつい感じがしてしまいます。
ですので、人間関係を良好に保ったまま、自分の主張もするときには「私」が主語になる「Iメッセージ」を意識してみるのがお薦めです。(「私はこう感じている」「(あなたがこうしてくれたら)私は嬉しい」など、「私」主体のメッセージ)
まとめ:心に思ったことは、伝えてみよう
自己主張をするというと、やっぱりちょっときつい印象が残るかもしれません。
でも、自己主張というのは、ただ、あなたが心で思ったことを、できるだけそのまま相手に伝える手法です。
あなたが怒りを飲み込むのでもなく、感情を怒りとして相手にぶつけるのでもない、平和的な問題解決の手段です。
最初、慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、続けているうちに、コツが分かってくるはずです。是非、「平和に伝えるのは難しそうだ」と初めからあきらめてしまわず、心の内を相手に伝えてみる努力をしてみましょう。
ただ、当番をしないという「義務」の絡む話ではなく、たとえば「ノートを貸してほしい」「連絡先を教えて欲しい」など、自分自身の個人的な願望で相手に物を頼む場合は、「相手には断る権利がある」ということを忘れないようにしましょう。
あなたに嫌なことを断る権利があるように、相手にもその権利がありますから。
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