先月、バラエティー番組「アメトーク」の「波風立てたくない芸人」というテーマの回を見ました。
8人ほどの“穏やか”なタイプの芸人が出てきて、普通の人なら「それ、怒るでしょ」と言いたくなるような場面でも、どう“波風を立てない”のかを語る内容でした。
ただよく聞いていると、ただ本人が「我慢している」タイプと、考え方を転換して(タクシーが遠回りしていて、高い料金をふっかけられても、“もっと近い道を知らなかっただけで、この人に悪気はなかったんだな”と考えるとか)自分の心も波立たせていないタイプがいて、なかなか興味深かったです。
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自己主張することも時には必要
後者の話をしたのは、サンドイッチマンの伊達さんでしたが、司会の宮迫さんに「相手に怒りをぶつけなかったら、夜、眠れなくなるでしょ」と言われても、「いや、ぐっすり眠れていますよ」とのこと。
確かに、ぐっとこらえている訳ではなく、自分の心のなかにも波風が立っていないのなら、眠れるわけで、一番の理想は、こういう考え方をして、穏やかに生きることだよな、と、心理学を勉強している者としては思いました。
ただ、全員がそんなふうに穏やかな思考ができるわけではありませんし、自分にさほど害がないことなら黙っていればいいですが、生きていれば、きちんと自分の主張を伝えなくてはいけないこともあります。
先日、「過労死」するのは飛行機事故に遭うくらいの確率という話を書きましたが、過労死しないまでも、会社や上司、先輩から“おかしな使われ方”をしている若い人が多いのは事実です。
明らかに自分の業務量が多いとか、無理な時間に来い、無理な時間まで残れと命令されたり、明らかなパワハラ・セクハラを受けたりしたら、それは誰かにきちんと主張しなくてはいけません。
自己主張=悪ではない
以前、IT企業で働く友人がこう話していました。
まぁ、忙しい会社だから、僕も9時とか10時まで働くことはあるけれど、やっぱり、ある程度年をとってくると、断ることができるようになるじゃない。
でも、新卒で入った若い子とかはかわいそうだよね。そういう子は、中途採用の人と違って、他の会社という比べる基準がないし、仕事を言われるまま、引き受けちゃうところがあるから。
若い人は、「比べる基準がない」ため、自分の働き方やその会社が異常だと気付けないというのもあるでしょうし、自分に自信がないから言えないというのもあるかと思います。
でもそれに加えて、最近の若い人はよく「空気を読む」と言われますが、「自分がこんなことを言ったら、上司や先輩がどう思うだろう」と気にするあまり、自分の思っていることを言葉にできないということも大きいように感じます。
そういう人たちには、「自己主張」というのは、悪いことではないのだと伝えていく必要があると思います。
自分も相手も尊重する「自己主張」
あるコミュニケーションの考え方では、人の人に対する態度は下記の3つに分けられると考えられています。
◆ノン・アサーティブ(非主張的)
◆アグレッシブ(攻撃的)
◆アサーティブ
ノン・アサーティブというのは、忙しいときに新たな仕事を頼まれ、心のなかでは「今は忙しいから無理だよ」と思っていても、自分の本音は伝えずに、「いいですよ」と引き受けてしまうような、「自分を押し殺し、相手の要求を優先する」態度です。
これは「自己主張」ではありません。
逆にアグレッシブというのは、「今、忙しいの、見て分からない?」と冷たく言い放ったり、「いつもいつも私にばかり頼んで。たまには自分でやりなさいよ」と怒ったりする、「自分のことを優先し、相手のことは考えない」態度です。
多くの人が「自己主張」という言葉に対していいイメージを持たないのは、「自己主張=アグレッシブ」という図式になってしまっているからの気がします。
でも、自分の気持ちや言いたいことを押し殺さず、自分も相手も尊重するコミュニケーションもあります。
それが最後のアサーティブです。無理に訳せば、自他共に尊重した自己主張といえるでしょうか。
アサーティブな対応の場合、上と同じ状況においては、まず、「ごめんなさい、今は忙しいので、無理です」と、自分の状況を相手に伝えつつ、「無理」ということをしっかり主張します。
ただそのあとで、「でも、来週でよければ、できると思います」など、相手のことを考えた提案も付け加えます。
これが理想的な「自己主張」です。
このように相手も尊重しつつ断ったのに、「自己主張するなんて生意気だ」「つべこべ言わずに、やれ」などという上司や先輩がいたら、それは相手がおかしいのであって、自己主張した人が悪いわけではありません。
ぜひ、人間関係になにか問題を感じたときには、我慢することが一番いいとは思わず、「自分」も「相手」も尊重する主張の方法がないか、考えてみてくださいね。
明日は、「人に物を頼む場合の、上手な自己主張のしかた」について書きます。
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