職場で部下や後輩、先輩や同僚とぶつかる。家で妻や夫と、子どもと意見が対立して険悪になる。……そういうこと、ありますよね。
特に職場に意見が合わない人がいると、「あの人さえ、いなくなってくれれば」と思いがちです。
でも、問題を「あの人」のせいにしていると、その問題はなかなか解決しません。
今日は、問題を意見の合わない「あの人」から、他のものに移して考えるという思考の転換をご紹介したいと思います。
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仕事が残っていても退社してしまうBさん
分かりやすく、今回は店舗のマネージャーAさんと、販売員のBさんの例で考えてみます。
Bさんは入社してもう2年ほど経っていますが、Aさんの担当する店舗に最近移ってきました。
Bさんは接客は上手で、売り上げを伸ばすことには貢献しています。
しかし、接客さえしっかりやって、結果を出せば、それで十分だろうと考えている節があります。
そのため、店を閉めたあとの伝票の整理や商品棚の整理などはおざなりで、仕事が残っていても、就業時間になると、一人でさっさと退社してしまいます。
他の販売員もBさんのそのような態度には不満を抱いているようですし、AさんもBさんの態度をどうにか改めさせたいと思っています。
残業しないとできないことを命じるAさん
しかし、BさんはBさんで、「お客さんがいなくなってから伝票の整理をしたり、翌日のために棚の整理や商品の配置換えをしろと命じるなんて、なんて無能なマネージャー。そんな残業当然の働き方を強いるなんてどうかしている」と、Aさんのことが気に入りません。
ですから、AさんとBさんはよく言い争いをしています。
「仕事が終わっていないなら、残ってやっていきなさい」
「私の勤務時間は8時までです。明日の朝、やればいいじゃないですか」
でもこのような言葉のやりとりでは、いつまで経っても平行線をたどるだけです。
AさんはBさんを問題に思い、BさんはAさんを問題に思っているのですから。
外に「課題」を見つけてみる
こういうときは、ちょっと視点を変えて、
「どうしてBさんの仕事は時間内に終わらないのか?」
と考えてみましょう。
「Aさん(の行動・考え方)が問題」「Bさん(の行動・考え方)が問題」という思考から、いったん離れてみるのです。
そうやって外に問題(課題)をうまく作り出せれば、それを解決する方法が見えてきます。
この場合、上手く話し合いが持てれば、Bさんから、
「アルバイトの子が来てくれている夕方に、その時間までの伝票の整理ができれば、店を閉めてから伝票の整理に時間はかからないかもしれません」
「商品の入れ替えは、お客さんが途切れた時間にすればいいのではないでしょうか」
などという提案が出てくるかもしれません。
そして、そういう具体的な案が出てくれば、Aさんも、「他にも、こういうことが考えられるね」と他の案を出したり、Bさんの出してくれた案を実現させることができるか、考えることができるようになるでしょう。
ここまで来ると、2人の関係は、はじめのときから変わっています。
AさんはBさんにとって「意見の合わない人」ではなくなり、BさんもAさんにとって「意見の合わない人」ではなくなり、お互いに「同じ問題を解決する同志」になるのです。
まとめ:「意見が合わない人」も「味方」にする方法
話し合いが平行線だったとき、
Aさんの課題はBさん、Bさんの課題はAさん、でした。
でも、視点を変えたことによって、
Aさんの課題は「どうやったらBさんの仕事が速く片づくのか」ということになり、Bさんの課題も「どうやったら私の仕事が速く片づくのか」というものになっています。
つまり、二人とも見ている「課題」が同じものになったのです。
歴史の授業では、国内に政治に対する不満などが広がったとき、手っ取り早く解決する手段として外に敵を作る“戦争”をした、ということを習ったかと思います。
これはあまり良くない法則の使い方ですが、考え方は実は同じです。
つまり、同じ敵を持ったもの同士は「味方」なのです。
どうしても意見が合わない、衝突しがちな人が社内や身近にいた場合、二人に共通する「課題」は見つけられないか考えてみてください。
「本当の課題は何か?」を考えてみることで、「敵」に見えていた人が、「味方」に変わることがあるかもしれませんよ。
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