基本的に、物事にはメリットとデメリットがあります。
会社で社員として働くことにもメリットとデメリットがあり、フリーで働いたり、自分で事業を始めることにもメリットとデメリットがあります。
ただ人は、往々にして、選択に迷う際、両方のメリットとデメリットと比較して、自分にとってメリットのありそうな方を選ぶ、という思考方法を取りがちですが、実は、もう一つ、方法があります。
それは、「両方の良いとこどり」=折衷案がないか探すということです。
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フリーで働くメリットとデメリット
たとえば、会社という組織を抜け出して、一人で何か仕事をしようとしたときのメリットとデメリットを考えてみます。
下記は私の考え+周りの自営業者の意見を参考にまとめたものです。
【メリットは】
1.自分で自由に事業内容も値段も設定できる
2.仕事のスタイル(いつ働くか、どれくらい働くか)も選択できる
3.やりたくない仕事は断ってもいい
4.社長や上司の気まぐれに振り回されなくてすむ
5.無駄だと思われる会議に時間を使われなくてすむ
(↑フリーになる前、重要なポストに着いていた人は、これを一番に挙げました)
6.職場の人間関係で悩むこともない
【デメリットは】
1.会社という組織に比べ、顧客から見たときの信用度が下がる
2.自分が倒れたときに、仕事に穴をあけるかもしれない
3.自分で仕事を取って来なければ、仕事はない
4.仕事がなければ、当然ながら収入はない
5.営業から技術職から、経理から総務から全部しなくてはいけない
6.本当に一人でする仕事が続くと、孤独を感じることもある
フリー・自営である限り、「仕事がなければ、収入がない」というのはどうにもなりませんが(まぁ、株を運用するとか、不労収入を得る仕組みを構築する方法はありますが)、
それ以外の「1」~「3」「5」~「6」のデメリットは、なくすこともできます。
それは、自営業・フリー同士の組織を作るということです。
(あとは、自分が長になって、人を雇って、新たな組織を作るということですね)
「個人事業主」のまま、集団に所属するという形
社労士にも、同業や他士業とアライアンスを組み、協力して案件を行っている人は多くいますが、メンバーが「個人事業主」のまま、組織を作っているところは、少ないのではないかと思います。
ただ、社労士ならでは、社会保険関係の知識を活かし、働き方としては「個人事業主」であるけれど、厚生年金に加入できるようにしたり、工夫している組織もあるようです。
私はいっとき、フリーライターの集団に所属もしました。
表向きは「会社」としてホームページを持ち、「プロ集団」として名のある企業から仕事を取ってきている組織でした。
当時所属していたライターのほとんどは、小さい子供や介護が必要な親などを抱えていて、一人では思うように動けない、という立場の人でした。
そのため、ほとんどすべての仕事を責任者+ライター2人という3人体制にしていて、一人が家庭の事情で仕事に穴をあけるようなことになっても、しっかりフォローができるということを売りにしていました。
ほぼ全員が自宅で働くフリーライターでしたが、同じ会社という建物で働いているのでない分、メールやパソコンの使い方など、徹底して共通のルールが定められていて、確かに、ここまでしっかりやれば、名のある企業から仕事を受けられるだろうという体制がとられていました。
私自身は、もっと「一匹狼」的な性格だったようで、会社よりも会社っぽい縛られ方が窮屈で、どうもその場所には合いませんでしたが……、でも、こういう組織に馴染む人には、一つの大きな可能性です。
フリーになったからといって、「一人で全部やる」と考えるのが、そもそも間違いなのです。
政府の施策は「正社員」に偏りすぎかもと感じる
政府は最近、さらに非正規社員の「正社員化」を進めようと力を入れているように感じます。
最近、非正規を正規にしたときの助成金の拡充を検討しているという記事もありましたし、ある一定数以上の社員を1年間に雇った場合に法人税が減税される制度も「今後は正規社員を雇った場合に限る」という方向での改正が行われそうです。
自分の望みではなく、「非正規」の状態でいる人も多いというデータもありますから、それはウエルカムなことですが、ただ、「正社員、正社員」と言い過ぎる政策もどうかなと思う部分もあります。
企業にとっても正社員を雇うというのはハードルが高いですし、働く側にも正社員としてフルタイムで働けない事情を抱えた人も多くいます。
正社員を増やす施策と同時に、非正規や個人で働く人に対するセーフティネットを充実させるというのも、今後必要な視点なのではないかと個人的には考えたりします。