周りの人に不満がつのるとき,最初に意識したいこと

オフィス街でランチをしていると、よく聞こえてくるのが、職場の同僚などに対する不満の声です。

「△△さんさえ、自分の仕事をちゃんとやってくれれば、もっと上手く行くのに」
「□□さんの言い方って、きついよね。もうちょっとお願い口調で言ってくれればいいのに」
等など……職場の人に不満を感じている人は多いのだな、ということを感じます。

職場に限らず、家でも、
「夫(妻)がもっと●●してくれればいいのに」
「子どもがちゃんと▲▲してくれたらいいのに」
と、人に言わないまでも、心のなかで思っていることはあるのではないでしょうか。

1つ、2つの不満なら、あって普通。
ない方が不自然かと思います。

でも、近くにいる人に、数えきれないくらいの不満があり、
「●●さんさえ、同じ職場にいなければ」とか、
「もっといい人と結婚していたら良かった」と思うくらいなら、要注意です。

 

旅人のたとえ話

私が好きな、「旅人」の話があります。

ある村に、旅人がやってきて、村の人に聞きました。
「この村は、いいところですか?」
聞かれた村の人は逆に聞き返しました。
「あなたが今までいた村はいいところでしたか?」
「みんな親切で、明るく、とてもいい村でした」
すると、村の人は言いました。
「良かったですね。ここも同じように、みんな親切で、明るくいい村ですよ」

次の日、同じ村に他の旅人がやってきて、同じ村の人に聞きました。
「この村は、いいところですか?」
また村の人は同じ質問を返しました。
「あなたが今までいた村はいいところでしたか?」
今度、その旅人は答えました。
「いじわるな人が多く、気の休まる間もありませんでした。それで逃げてきたのですよ」
村の人は言いました。
「それは残念です。この村も同じように、いじわるな人が多く、居心地の悪い村ですよ」

この話、「なるほど」と思いますか?
それとも「おかしいんじゃないか」と思いますか?




問題があるのは、本当に相手?

よく使われるたとえですが、コップに水が半分入っているのを見て、
「水がまだ半分も残っている」と思う人と、
「もう半分しかない」と思う人がいます。

同じひとつの物事を見ても、同じ出来事を経験しても、感じることは一人ひとり違うのです。
物の見方、考え方には一人ひとり「癖」があるということです。

よく「あの人はポジティブだな」とか「ネガティブだな」と言われるのは、その考え方の癖のひとつです。

周りの人間に(過度な)不満を感じている人は、そういう考え方の「癖」を持っているのです。
だから、職場の「この人さえいなければ」という相手がたとえいなくなっても、自分が転職しても、自分の思考の癖が変わらなければ、残念ながら、また、「この人さえいなければ」と思う人に出会ってしまいます。

この相手だからいけないのだと、離婚して、再婚しても、きっとまた同じような不満を相手に抱いてしまいます。

心理学の世界ではよく、「変えられるのは自分だけ。人は変えられない」といいます。

でもそれは逆に言えば、「自分が変われば、世界が変わる」という可能性の言葉でもあります。

自分の意識を変えることができれば、世界の見え方が変わります。
世界の見え方が(よい方に)変われば、世界そのものは変わらなくても、自分は心地よく過ごせるはずです。

世界を変えようと思ったら大変ですが、「世界の見え方」はすぐにでも変えられます。

人間、欠けた部分の方に目は向きやすいものです。

次、近くにいる人に不満を感じたら、ちょっと思考をストップして、相手の「欠けていないところ(いいところ、その人がいて助かっていることなど)」を探してみませんか?

相手は変わりませんが、自分の気持ちはちょっと変わるはずです。

そして、自分が変われば、身近な人は、少しずつ変わってくるものですよ。

※「人のせいにするより、自分の責任だと思った方が楽な理由」も良かったら読んでくださいね。

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執筆者:遊部 香(あそべ かおり)

文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

現在は、『凪~遊部香official site~』で主に活動中。

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