私は30歳で社会保険労務士の資格を獲り、31歳で「開業社労士」として登録しましたが、多くの人に「独立するなんて、勇気がある」とか、「私にはとてもできない」と言われました。今でも、言われることがあります。
ただ、一度、正社員の立場を捨てて、外に出てしまうと、特に「個人で働く」ということは難しくないのではないかと感じます。
年収1000万円稼ぎたいからとか、正社員だった頃よりも稼ぎたいからという理由で独立するのなら、ハードルはかなり高いですが(社労士でも平均年収は300万円という話もあります)、「自分は●●できます(文章を書けますとか、WEBを作れますとか、コンサルができますとか)」と旗を上げるのは簡単です。
むしろ難しいのは、仕事を辞めると決断し、実行するところのほうかと思います。
今日はそんな、独立・開業・起業するときに問題になる壁について書いてみようと思います。
起業するのは、年収1000万円稼ぐのが目標?
私は、社労士として開業する前には色々なセミナーに行き、開業や営業のノウハウを学んだりしました。
その結果、様々な人と出会うことができましたし、新たな仕事も見つかりましたし、非常に良かったのですが、ただ、セミナーで話される内容には、「ずれ」のようなものも感じてしました。
それは、基本的に開業塾などは、
「社労士の平均年収は300万円ほどというのは、情けないのではないか。皆さんはもっと稼げるようになるために、こういう風に活動しましょう」
というようなスタンスで語られるものだったからです。
細く長く続けていく、という考え方も
そんなときに出会ったのが、たけながかずこさんの「女性のための『スロービジネス入門』」でした。
2002年出版の本で、多分絶版になってしまったのでしょう。私もアマゾンで中古を手に入れたのですが、この本は、出会ってよかった本の1冊です。
たけながさんは、妊娠・出産などがあり、仕事のために割ける時間やエネルギーが変化する女性にこそ、「個人事業主」という生き方は合うということを書かれています。
タイトルの「スロービジネス」というのは、多分当時はやっていた「スローフード」などとの絡みのネーミングだと思いますが、「1000万円稼ぐぞ!」という男性的な起業精神ではなく、自分の「ライフ」も尊重し、ライフステージによって仕事の量は調整しながら、「長く続けていくことが大切」と言われているのに、共感しました。
(たとえ育休のような時期があっても、「●年から●年間やっています」と言えば、やはり信頼になるのです)
「働く=人に雇われる」ではない
妻子を養わなくてはいけない状況で社労士として開業した知り合いも多く、そういう人たちは、「最初の2,3年は本当にきつかった」と言われていました。
でも、自分は〇〇ができるとアピールし続けてさえいれば、少しずつは必ず知り合いも増えていき、仕事も増えていきます(良質な仕事さえしていれば)。
すぐに年収500万円以上にしなければ、と思うと、厳しいですが、「家計の足しにパートでも」というような環境なら、「個人事業主」は「パート」と並列される選択肢かと思います。
もちろん、子育て中の主婦であっても、「事業主」になったからには、もちろん責任はずっと「パート」より重いです。
でも、「子供が数日寝込んでしまったとしても大丈夫」というくらいの余裕をもって仕事量やスケジュールを調整したり、いざというときに頼れる仲間を作ってさえおければ、パートよりもずっとやりがいのある仕事を、心地よいペースでやっていけるかもしれません。
※このあたりのことは、「女性が起業して成功するための5つのヒント」や「ママになっても自分のペースで働くために知っておきたいこと」にもっと詳しく書いていますので、参考にしてください。
「働く=人に雇われる」という考え方の枠を外すと、世界はきっと一気に広がると思います。
起業・開業なんて自分には関係のないことと思う人も多いと思いますが、「個人事業主として生きる」という可能性も頭の片隅に置いておくことをお勧めします!